松本清張「憎悪の依頼」感想 | リタイアライフのつぶやき

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65才でサラリーマン生活からリタイア。さて、これから何をしていこうか。ブログでつぶやきながら日常生活を報告。参考になれば幸いです。

松本清張の短編集が面白く今度は、「憎悪の依頼」です。短編10話です。

①憎悪の依頼②美の虚像③すずらん④女囚⑤文字のない文字のない初登攀⑥絵はがきの少女⑦大臣の恋⑧金環食⑨流れの中に⑩壁の青草です。

以下簡単な内容です。

①憎悪の依頼

主人公は、9万円をある男に貸したが、返して貰えないので殺して服役した。実は、誰も知らないが付き合っていた女にその男が関係をもったので嫉妬して殺したのが真実の話。

②美の虚像

新聞記者の都久井は、石倉が保有していたフォン・ダイクのスケッチが偽物てあるという話を聞いた。しかし、その絵には、遠屋教授の鑑定付であるが、調べていくうちに、偽造は、一か所から出ているようだ。遠屋教授は、新人の小坂田二郎を見出し褒めまくった。しかし、小坂田は、今は没落している。当初は、新人の小坂田二郎が偽物を書いたのではないかと思われた。しかし、実際は、遠屋教授に女がいた。なんと女の亭主が小坂田二郎だった。別れさせるため金がいる。贋作を書いたのは、遠屋教授だった。弱みを握られた遠屋教授は、小坂田二郎の絵を持ち上げ推薦した。遠屋教授が死んでから小坂田二郎は、没落した。

は③すずらん

画商藤野の愛人砂原が失踪した。札幌市内から、彼女が預けたカメラとフィルムが発見され、花盛りのスズランの群生を背景にした彼女が写っていた。しかし、実際は、行ってなく東京方面の高原に咲いていたスズランをバックにしたもので、画家の秋村も砂原と関係を持っておりパトロンである藤野にばれるのを恐れて殺したのである。

④女囚

飲んだくれで博打や酒代に母がや長女の金を巻き上げられ、母に暴力を繰り返し、母を殺す寸前のところ、長女が斧で殺してしまう。刑期15年だが殺したことを長女は、後悔していない。妹2人も、父が死んで生活が楽になり喜んでいるが実際は、殺人者の妹として結婚はできないという現実の話。

⑤文字のない初登攀

今から6年前に主人公は、V壁の登攀に単独で成功した。日本初であった。しかし、カメラも持たず、同伴者もおらず成功の証明できるものはなかった。皆が祝福してくれていると思ったが

仲の良かった友人の和久田が、登攀は成功しておらず記録をでっち上げたと言いふらしており、皆それを信じていたのである。しかし、主人公の登攀成功を双眼鏡でみていた男女がいたが、絶対秘密にしてくれと言われていた。証明の最後の手段として、男女を訪れたが、男性は、自殺し、女性は、外交官の妻で不倫であった。証明を頼むことはできなかった。

⑥絵はがきの少女

少年の頃からとっておいた富士山の絵葉書に写っていた少女を探して、現地を訪れたり、勤務先の新聞社の地方局に問い合わせたりして、消息を突き止めるが少女は、大人になり離婚を繰り返して最後は自殺していた。しかし、女の子が生まれていてその子が、絵葉書の子にそっくりと主人公は思った話。

⑦大臣の恋

新たに大臣に任命された布施は、40年前に別れた園田くに子からの手紙を待っていた。別れるとき、彼が出世したら手紙を出して祝うと言っていたことを思い出した。彼女は、福岡県直方市の雑貨商に嫁いでいた。彼女が直方市にいることを突き止めた布施は、直方市での演説会の機会に彼女に会うことを試みた。しかし、その日の朝刊に夫婦喧嘩で園田くに子が包丁で刺された模様とある。その夜の大臣の演説は、近来にない不出来であった。

⑧金環食

昭和23年5月、新聞記者の石内は、天文台の妹尾博士が金環食の正確な観測位置をつきとめたこと、アメリカの計算には600メートルの誤差があったことについて記事を書き、新聞に大きく扱われ、好評を得た。しかし、アメリカは、だまったてはいなかった。敗戦国は取り消しの記事をだせという。取り消しは、出さなかったが石内は、地方に左遷された。

⑨流れの中に

笠間宗平は、勤続30年の慰労休暇を利用して3歳ころの小さな時過ごした土地を訪ねる事から始めた。父が50才をすぎて亡くなるまでの足跡(そくせき)を旅したのであったが、弁護士の下働きからはじまり、主に飲食の仕事が大半で常に貧しかった。
⑩壁の青草

少年受刑者の日記。主人公は、受刑者の健ちゃんが好きでたまらない。いつも健ちゃんが気になる。健ちゃんが、復帰寮へ行った。少年受刑者が同性愛の目からみた日常の生活を綴っている。

以上は短編を簡単にまとめました。

推理物と主人公の生きざまを描いたものがありました。

一般的に犯罪の裏に女性が関係しているのが多く、しかもあまりにも偶然も多いです。二人の男に挟まれた女性が原因になったりしています。この短編集の中では、美の虚像と文字のない初登攀が面白かったです。美の虚像は、偽物を書いていたのが権威ある教授だとは、最後までわかりませんでした。しかも愛人がらみでさらに驚き。字のない初登攀は、証明の最後の手段として、男女を探し出し、ハッピーエンドかと思ったら男は死亡、女は不倫でとても解決できない暗い話でした。

この短編は、何か人生のやるせない、つらい不条理の部分が多い内容でした。

最後までご覧になりありがとうございます。

 

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