松本清張「影の車」感想 | リタイアライフのつぶやき

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65才でサラリーマン生活からリタイア。さて、これから何をしていこうか。ブログでつぶやきながら日常生活を報告。参考になれば幸いです。

松本清張の短編集が面白く今度は、「影の車」です。短編7話の連作短編集です。

①潜在光景、②典雅な姉弟、③万葉翡翠、④鉢植えを買う女、⑤薄化粧の男、⑥確証、⑦田舎医師の7話です。内容が解ります。ネタバレ注意願います。

最初は、①潜在光景

浜島幸雄は、会社帰りのバスの中で、小磯泰子から声をかけられ、学生時代以来の再会を果たす。急速に接近し、結ばれた泰子は、夫を失い、六歳の健一という名前の息子と二人で暮らしている。息子の健一は、なつかず殺意すら感じる。何度も恐ろしい目に遭い、最後、健一の首をしめ殺人未遂で捕まる。健一の殺意を警察は、理解してもらえず、最後、自分も幼い時同じ目に遭い叔父を殺したことを自白する。

②典雅な姉弟

麻布に、高貴な面影を持つ姉弟が住んでいた。この家にはもう一人の女性がいた。若くして亡くなった兄弟の妻お染であった。弟には今までも何度か縁談があったが結婚までには至らなかったのには、人には言えないわけがあった。

そんななか、姉が殺されて、犯人は、いつも姉にいじめられてたお染が疑われたが、事件は意外な展開を見せる。弟の縁談を邪魔し続ける姉を目障りに感じた弟本人の犯罪だった。邪魔し続けたのは、姉と弟が近親相姦の関係だったようだ。

③万葉翡翠(wikipediaより抜粋)

考古学助教授の八木修蔵は3人の男子学生(今岡、杉原、岡村)に「万葉考古学」という自らの学説を語る。歌に出てくる「沼名河の 底なる玉」は、翡翠ではないかと示唆する。3人の男子学生のうち杉原が、今岡の探す姫川流域こそ有望な翡翠産地と考えて彼の後を追った。そして、杉原は翡翠の原石を目の当たりにして独占欲を起こし、今岡に襲い殺してしまう。そのときにフジアザミの種子をポケットに入れたままだったため、種子が3,4粒地上にこぼれ落ちた。その種子が芽吹いて花を咲かせたのである。フジアザミが本来、生育しない場所であった。今岡の彼女がそれを見抜いた。

④鉢植えを買う女

浜楢江は精密機械会社に勤めているが、最年長で、不器量の彼女は、恋愛の対象から除外されていた。結婚に諦め、金銭的に苦しむ社員に対して、金貸しを始める。会計課の杉浦淳一も楢江から金を借りる常連となった。返済が溜り、利子も払えなくなった杉浦は、楢江と関係を持つようになる。借金が膨らみ、会社の金800万円を盗み、楢江のところへ来る。楢江は、杉浦を殺し、風呂に鉢植えの土を大量にいれ土の中に葬るという話。

⑤薄化粧の男

3月3日の午前5時半頃、練馬区の路上に止まっているルノーの車内から、ゴム会社の課長・草村卓三の死体が発見された。草村には、妻のほかに愛人がいた。草村はすでに54歳になっていたが、自己の美貌に未だ自信を持っており、顔に薄化粧を施したりする男であった。草村は、ケチで暴力を振るい妻から嫌われていた。愛人にもケチでお金をあまり渡さなく別に好きな男が現れた。妻と愛人は、仲が当然悪いが、草村から逃げたい気持ちが一緒で、二人共謀して草村を殺してしまう。2年後、愛人は、自殺するが妻は、遺書に草村殺しを残してないか気になり周りに聞きまわり犯罪がばれてしまう話。

⑥確証

主人公 は妻が浮気をしていると疑う。会社の同僚の片倉政太郎と怪しい。ただ、確証はない。片倉は、女房をやたらほめるし、片倉の夫婦仲はうまくいってない。確証を得るには、自分が性病(淋病)になり、妻にうつすことだ。売春婦より運よく、淋病をもらった。妻は、夫からもらったものか、片倉からもらったものか判断がつかない。妻は感染し、片倉も感染したようだ。

ある日、家に帰ると何と、妻が殺されていた。近所の肉屋の主人が犯人だ。肉屋は、妻との愛情の証に互いに家庭での性交渉は、しない事にしたが、妻は、淋病になった。それが許せなかった。

⑦田舎医師

良吉は、父親から聞いていた中国山地の山奥にいる親戚を訪ねてみた。親戚の杉山俊郎は医者で、地域の信頼も厚く、田舎ながらに裕福だった。

しかし訪ねたその日に俊郎が雪の深い崖沿いの道から崖下に落下し死亡したようだ。兄弟の博一の家に診察に行った帰りであった。博一は、戦前羽振りがよかったが戦後無一文で満州から帰ってきた。豊かな医師の博一に嫉妬して殺害して事故にみせかけたようであった。

感想としては、①潜在光景は、6才の子が殺人を犯すとは、警察が思わないのでつい自分の体験談を話すという話ですがこれが標題につながるとはさすがだと思いました。

②典雅な姉弟では、兄が結婚できなかったのは、近親相姦の関係にあったとは驚きでした。

③万葉翡翠では、植物が趣味の杉原が、たまたま手に入れたフジアザミが、殺人現場で咲くとは偶然すぎる気がしました。

④鉢植えを買う女では、殺した死体を風呂場で土に埋めるという話ですが、発想は面白いと思いました。⑤薄化粧の男は、殺人を犯した不安心理がわかるような気がしました。

⑥確証は、妻の浮気を確かめるため自分が性病になりうつすという発想は、あるのだろうか。どうも現実離れしていると思った。⑦田舎医師は、豊かさの嫉妬で簡単に人を殺すか疑問でした。

納得できる内容、腑に落ちない内容等色々あって面白かったです。

最後までご覧になりありがとうございます。

 

 

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