既に映画「起終点駅」の感想は、書かせてもらいましたが今回は、小説です。6つの短編で成り立っています。
以下は、アマゾンの作品紹介を一部抜粋し本の解説を加えました。
「かたちないもの」
笹野真理子は函館の神父・角田吾朗から「竹原基樹の納骨式に出席してほしい」という手紙を受け取る。真理子は、竹原と深い中であったが、10年近く連絡が途絶えていた。生涯独身で会社を辞め10年、地元の函館で母の介護をし看取り一人で死んでいった。角田吾朗も身寄りがなかった。
「海鳥の行方」
道報新聞釧路支社の新人記者・山岸里和は、釧路西港の防波堤で石崎という男と知り合う。「西港で釣り人転落死」の一報が入ったのはその一月後のことだった。実は、石崎も身寄りのない男だった。
「起終点駅(ターミナル)」 映画化原作である。
鷲田完治が釧路で法律事務所を開いてから三十年が経った。国選の弁護だけを引き受ける鷲田にとって、椎名敦子三十歳の覚醒剤使用事件は、九月に入って最初の仕事だった。
椎名敦子もまた、10代の頃に、家を出て家族とは、縁を切っている。
「スクラップ・ロード」
飯島久彦は地元十勝の集落から初めて北海道大学に進学し、道内最大手・大洋銀行に内定した。片親で大手地銀に就職するのは、当時異例中の異例のことだった。しかし、今は、自主退職し無職で、失踪して死亡した事になっている父を見つける。彼と行動を共にする女性も周囲と縁をきっている。
「たたかいにやぶれて咲けよ」
道東の短歌会を牽引してきた「恋多き」歌人・中田ミツの訃報が届いた。ミツにはかつて、孫ほどに歳の離れた男性の同居人がいたという。みな血縁がないわけではないが一人で生きている。
(「潮風(かぜ)の家」
久保田千鶴子は札幌駅からバスで五時間揺られ、故郷の天塩に辿り着いた。三十年前、弟の正次はこの町で強盗殺人を犯し、拘留二日目に首をくくって死んだ。
母は、亡くなっており身内の不幸で一人になった。故郷で連絡取り合っている老婆もまた、少女の頃吉原に売られ帰郷して一人で暮らしている。
【編集担当からのおすすめ情報】
「始まりも終わりも、ひとは一人。
だから二人がいとおしい。生きていることがいとおしい」
――桜木紫乃
桜木紫乃の本は、「ラブレス」「ホテルローヤル」と読んできましたが、「ラブレス」は、不幸にも負けず力強く生きようとした女性の話、「ホテルローヤル」は、優しい人ばかりで愛に溢れる内容でした。
今回の「起終点駅」に関し、作者は、インタビューで以下のように答えています。
「孤独は、悪い事ではなく恐れることもない。みんな孤独で目の前の相手も孤独。二人でいる時間が大事になる。世の中生きづらと思うと生きづらい。よくある事と感じること。」
困難に直面してもそれを受け止めて生きる姿を作者は、描き続けていると思います。
「ラブレス」「ホテルローヤル」がそうでした。この小説も縁のない人や孤独の人々をえがいてますが、たくましく生きています。
登場人物も生きづらさを抱えている人を登場させていますが、よくある事と感じることが良いと教えてくれます。
また違った桜木紫乃の本を読みたくなりました。
最後までご覧になりありがとうございます。
←よろしかったらクリックお願いいたします。
にほんブログ村