梅原猛さんが1月13日亡くなりました。梅原猛さんの本は「百人一語」「梅原 猛の
授業仏教」「日本仏教をゆく」しか読んでませんが特に印象に残った本は、「日本仏教
をゆく」です。
この本は、作者が、「聖徳太子、鑑真、空海、親鸞、日蓮、蓮如から西行、円空、千利
休、一休、良寛、宮沢賢治」まで、42人の仏教者の思想と人生をたどり、日本人の精神構
造に深大な影響を与えてきた仏教の真の姿をさぐる力作です。
この中の「聖徳太子」で聖徳太子が造った法隆寺は、実は新たに再建したものであり聖
徳太子の怨霊の鎮魂であると述べています。それは、聖徳太子の跡を継いだ山背大兄王
をはじめとする一族25名が法隆寺で自殺し、子孫断絶となり、その後、天災、疫病がはやっ
たため、太子一族惨殺の責任があると思われる皇極帝、藤原鎌足の子孫か太子の怨霊
の復讐を恐れて再建したという考え方でした。
本来、怨霊の鎮魂は、神道が行ったってきましたが仏教も引き受ける事になったという事です。
菅原道真の「北野天満宮」も同じだという事です。お寺の建立目的が怨霊鎮魂とは知らなく
初めて読んだとき、びっくりしました。今となれは、古くから御霊信仰というのがあり、それは、
人々を脅かすような天災や疫病の発生怨みを持って死んだり非業の死を遂げた人間の
「怨霊」のしわざと見なして畏怖し、これを鎮めて「御霊」とすることにより祟りを免れ、平穏
と繁栄を実現しようとする信仰の事だと後で知りました。
興味深いのは、怨霊の鎮魂には、真言密教が最も有効であり、空海が力を発揮したという事です。
そして、真言密教は、神と仏を合体させ共存させていましたが、明治維新政府は、神仏分離、
廃仏毀釈の政策をとり今なお公教育より締め出され「一木一草に神仏をみる」という千年の間、
日本人の心性を培った信仰は失ってしまっているという事です。今こそ神仏融合を図った空海
の思想を復活させなければならないといった作者の気持ちが特に印象に残りました。
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