ぼく、ロンです。






ママが、ぼやいている。


どうやら一緒にお仕事をしている人
(40歳くらいの男性)
ことあるごとにお休みをするらしい。


3月は10日も過ぎるというのに
まだ1日しか勤務していないという。

またその欠勤理由が

気持ち悪くて寝込んでいたら時間が過ぎていた
(と11時過ぎに連絡がくる)
肩甲骨が痛い
⬆︎をこじらせ肩が上がらない

と、続くらしい。
(少し前は胃腸の不良だったとのこと)


そして出勤した朝には
「ご迷惑をおかけしました」
の言葉もないそうだ。







「寛容」(あるいは「無関心」?)
を自負するママであっても
ちょっと気になるらしい。

「だってその人の仕事を負担しているんだもの」


こちらから声をかけると
肩がいかに痛かったかをあれこれ話し

まわりに負担をかけていることには
考えが及んでいない様子なのだという。







ママは、言う。

〇〇さんに

宮沢賢治『永訣の朝』を読んでいただきたい。



それは

宮沢賢治の愛する妹トシが
今まさに命尽きようとしている朝を

詠った詩で


「青白い顔で高熱に苦しむトシに頼まれ
賢治が雨雪をお椀にとってくる」

という内容から

「その雪が天上界の食べ物に変わって
トシと皆とに聖なる食べ物をもたらすよう願う」

という賢治の世界観にまで高められている


詩なのだそうだ。



その詩の中で妹トシはこう言う。

「今度生まれてくるときは
こんなに自分のことばかりで
苦しまないように生まれてくる」


(うまれでくるたて
こんどはこたにわりやのごとばかりで
くるしまなあよにうまれてくる)



自分の命が尽きようとしている瞬間に
言える言葉だろうか。


さすがは
「雨にも負けず 風にも負けず」
の宮沢賢治の妹だ。







ちなみに〇〇さんは
悪天候の日も休みがちなのだそうだ。

それに関してはママは

「南の島のハメハメハの子供だから♬」

だと言う。

どうやら南の島の子どもたちは
(名前はハメハメハ)

「風が吹いたら遅刻して
雨が降ったらお休みで〜♬」

らしい。





〇〇さんの名誉のために付け加えるなら
〇〇さんは出勤日には真面目に働き
言葉遣いはいたって温厚、なのだそうだ。