ぼく、ロンです。




ぼくは被りもの、乗せものは

「断固拒否」です。







江國香織
『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』
集英社文庫





こちらの小説の冒頭は、こうです。

『いちばん好きな花はフリージアだった。
清潔な匂いがすると、陶子は思う。』



「フリージアの香り」は

フルーティ(黄色系のフリージア)
スパイシー(白系のフリージア)
グリーン(紫系のフリージア)

の3タイプに分けられていることを

この小説の主人公の陶子さんは
知っていたかな。



冒頭の部分は、さらにこう続く。

『そのフリージアにブプレウルムとストックをあわせ、緑の多い花束にしてもらう。』



ママは黄色のフリージアに
「青文字」という枝物を合わせてみたそうだよ。









青文字はクスノキ科の小高木。

緑の粒々は実ではなく、蕾。
開花直前になると苞がはじけて
白色の小さな小さな花が複数咲くんだって。


ママは青文字を手に取り
そっとそっと、枝をためていく。

まっすぐな茎や枝を曲げていくことを
「ためる」っていうらしい。


フローラルテープを巻いたワイヤーで固定して
青文字のリースの出来上がり。









さて

『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』

の陶子さんは

「公園で出会った男のひと」に対して
こう思う。


『やさしそうな目だ、と陶子は思った。犬でいえばビーグルだな。初対面の男を犬にたとえるのは陶子のくせだった。』 (P. 39より)






ママは

「パパを犬に例えたらなんだろう」

と考えてみる。そして


「ゴールデンレトリバーとチャウチャウのミックスだな」


と、結論づける。


穏やかでおっとりしていて器が広いところがゴールデンレトリバーで

頑固でちょっと独特なところがチャウチャウらしい。


パパの名誉のために
ぼくからつけ加えるとしたら

ママはチャウチャウに「気品」も感じているらしい。