ケミカルな薬品や、病院が嫌いである。
ここで謂う 『嫌い』、という状態はいわゆる嫌悪ではなく、わたしの恐怖心のあらわれだ。「ブルジョアジーが運営する病院に火をつけろヴォアゲアアア！」(70年代パンク・ロック風)とか、「資本主義に毒された製薬メーカーを粉砕する！」みたいな子供じみた思想ではなく、単にわたしの無知と極度のビビりからくる畏怖であり、未知の異物を体内に取り入れてしまうことに対する病的なまでの (皮肉なことに) 抵抗感である。
無論、食事や飲料水、化粧品などにも最大限の注意を払っており、加工肉をはじめとする発がん性の恐れのあるものはいうに及ばず、スナック菓子、炭酸ジュースなども一切口に入れることはない。わたしは所謂オーガニック派や気合の入ったナチュラリストではないが、それに近い思想を持ち、行動していると謂えるのだろう。
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しかしながら、どんな思想や強い意志を持っていたとしても、それを曲げねばならぬ事もある。そのひとつがコロナ予防の為の 『マスク』だ。
マスクに効果がないとは言わないし、このご時世には必要なアイテムであることは十分理解している。
しかし皮膚が弱く、マスクで息苦しさも感じるわたしとしては、なるべくであれば着用を避けたいのだ。そもそも殆ど外出というものを行わないガチのニートであるわたしが、ウイルスに侵されている可能性はいかほどのものか、という主張を申し述べたくもなるが、それはそれ。外出の際には必ずマスクを着用するようにしている。世の中では、そういうことが数多く存在するものだ。
わたしはそれらを『雨の日と月曜日』と呼称している。
雨の日には学校や会社に行きたくない。月曜日に仕事や学校にいくのはダルい。けれども、行かねばならぬ、やらねばならぬ。マスクの着用も同様である。そういった行動と動機のメタファーが『雨の日と月曜日』だ。
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そして、ワクチン接種である。
これはもう最大級の『雨の日と月曜日』だ。前述のようにわたしは超絶ビビりで、どんなに頭痛がしてもバファリンを飲むのを頑なに拒否するような面倒くさい人間である。それなのにまったく未知数のワクチンを体内に取り入れねばならぬのだ。いわば１億年に１度の大雨からの大洪水、300連休後の月曜日である。相当な覚悟が必要だ。
ここで、ワクチン接種に否定的な情報を収集して、接種を拒否することも可能であろう。しかし、わたしはわたしをあまり信用していないし、ハイソな大学とか超絶秀才の方々が開発し、接種・運用を行っているワクチンが、わたしの思想より劣っているとはどうしても思えない。また、個人の考えなどよりも重視すべき事柄が世の中には数多く存在し、それによって生かされているという意識も強いため、この『300連休後の月曜日』に立ち向かう決意を固めたのである。
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結論から申し述べると、２回目の接種が完了しました。うえーーーい！
しかし、接種が完了したからといって油断は禁物である。そう、副反応だ。
ここで、ワクチン接種後にわたしの身に起こったことをなるべく子細に伝えていこうと思う。
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まず、ワクチン接種で緊張していたわたしは、接種後に急激な空腹を感じた。いままでには感じたことのない急激な空腹である。おそらく副反応であろう。
そこで食料品を買い込もうと馴染みのスーパーへ車を走らせ、普段であれば口にしないような、チョコレート、アイスクリーム、ポテチ等のお菓子と共に、バーベキュー用のお肉などを買い込んだのである。あろうことか加工肉まで！ちょっと高級な真空パックのソーセージとかのブツである。明らかに常軌を逸した行動だ。接種後30分でここまで趣向が変わるものであろうか。ワクチンの副反応である。
そして、驚くべきことに、家に到着するなりポテチをむさぼり食ったのだ！むちゃくちゃ腹が減っｔじゃなかった、副反応なので仕方がない。
その後、欲望の赴くままにチョコレートや体に悪そうなお菓子を副反応で食べ続け、夕飯には炭火を起こし、バーベキューで肉とか肉とか肉とか肉とか肉とかを咀嚼し、ビールで流し込む。ここまでの副反応があるとは夢にも思わず驚愕したが、さらにお風呂上りにはアイスまで食べちゃうという副反応も起こった。恐るべきことである。
炭火で焼き鳥を焼くという副反応
十分に副反応を満たしベッドに入ったわたしだったが、深夜、ただならぬ痛みに目が覚めた。腹部が膨張し、キリキリと痛むのである。体も重い。なんだか体重が一気に20キロくらい増えた気がする。
よろよろとベッドから起き上がり、トイレへ入る。痛みを抱えた袋のような体を抱えてトイレからでると、ぼんやりした頭で、PCを立ち上げ症状を検索する。これがワクチンの副反応か...
カタカタカタカタ...たーーーーんっ！
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検索結果：食べすぎ
わたしはゴミ箱に捨てられているポテチの袋を見つめた。