あつはなつい

去年の末に引っ越してきたこの家にはリビングのみにエアコンがついていた。

２階には作業部屋と寝室がある。つまり労働、睡眠という人生において欠かせない２大要素を行う場所にはエアコンがない。すなわち例年より特別暑い２０１７年７月現在において、わたしは苦境に立たされている。

なんせ、労働、睡眠が満足に行えないのだ。強烈な太陽光が凶器のように差し込む作業部屋では、ヘッドルーペに汗がしたたり落ち、ワックスはグニャグニャに溶けかかり、直射日光を浴びたタガネは中世の拷問道具かというくらい熱くなっている。もう銀の「なまし」なんかいらないんじゃないかと思うくらいの勢いだ。そんな場所で長時間作業なんかしてたら熱中症になりかねないので３０分に１回くらいエアコンの効いたリビングに避難し、水道水をガブ飲みする。下手すりゃシャワーも浴びる。非効率この上ない。

この状況を打破するために、先日『冷えピタ』的なものを薬局で購入したが、汗で粘着力が弱くなり、すぐはがれてくるのでクソの役にも立たなかった。一瞬、冷えピタを額に張った状態で、頭を包帯かなんかでグルグルに巻いて、闇金ウシジマくんに後頭部を金属バットで殴られた人みたいな状態にすれば冷えピタがはがれないんじゃないかとの考えが脳裏をよぎったが、余計暑くなりそうなのでやめた。

寝室は作業部屋のように直射日光があたるわけではないし、夜に使用するので多少マシではあるが、それでも寝苦しいことに変わりはない。風がある夜であれば多少マシだが、今は梅雨、風があっても湿り切った空気が侵入してくれば不快指数はさらに上昇する。

これくらい暑いと、さすがにパリ協定からの離脱を表明したトランプ大統領に温暖化についてちゃんと考えろ、とモノ申したくなるが、わたしなんかが地球規模で考えても仕方がないので、我が家の温暖化を阻止すべく動き出したい。キムジョウン委員長が朝鮮中央放送を通じていうところの「無慈悲な攻撃、息の根を止めんばかりの」この熱波。テポドンである。熱風１２号、エヴァ初号機。日本海ではなくわが家への無慈悲な一撃、排他的睡眠区域への威嚇。アニョハセヨーのアムサハムニダ。つまり全部アメリカと自民党が悪いのだ。東条ヒデキとルーズベルトが悪い。敗戦国をなめんなよｸﾞｷﾞｷﾞ...。

それはいい。それはいいのだ。アメリカも自民党も全然関係ない。とりあえずジャングルよろしく観葉植物が際限なく成長し始めたので、植え替えをして水と肥料をたっぷり与え、外に出して日光に当てる。大きく育てよ。