昔から俗に景気の悪い月を二八(にっぱち)という。２月と８月には売上が上がらないとされる古い業界用語である。例えば大工などの建築の場合、正月明け早々の２月や先祖が帰ってくる８月に家を建てる人は少ないし、小売店の場合は２月は寒さ、８月は暑さで客足が減り景気が悪くなるというものだ。[参考：wikipedia]
現代にそのまま当てはめられるものでもないとは思うが、２月はやはり稼動日が少ない分だけ売上が下がる。あたりまえだ。日数が少ないから一日あたりで割り込むと単価は下がる。
では８月はどうかというと、わたしに限っていえば売上が上がる。俗にアクセサリー業界はクリスマスがある年末が一番売上が上がるとされているが(プレゼント需要等で)、カジュアルなものに限って言うと夏に売上が増大するのだ。Canecryの場合は春夏ものと秋冬ものではガラリと路線を変えて、夏場には気軽に買えて原価の安い(←お店側の都合)リーズナブルな商品を提供するという路線に転ずる。
具体的には２月現在のCanecryでは一万円程の天然石やシルバーのアクセサリーがメインだが、夏場にはシーグラスやレザー・アクセ等の数千円のものがメインになる。どちらもわたしが作る作品には変わりがないが、季節的なニーズによってニュアンスや素材を変更するのだ。夏にコートは売れないだろうし、冬場にはアロハシャツの売上は落ちるだろう。常夏の島や極寒の大地にお店を構えているなら年がら年中売れるものは変わらないだろうが、わたしはインターネットを使って商売しているので対象は全国である。おのずと季節によってガラリと路線を変更せざるを得ない。
ここで、個人のハンドメイド作家やクリエイターの陥りやすい罠がある。季節に関係なく、ずっと同じようなモノを販売してしまうのである。わたしはずっと広告業界にいるので、ニーズには敏感だ。『素晴らしい作品＝売れる作品』ではないのが身に沁みているので、季節に応じて素材も変更するという方法を採用している。自称芸術家の「わたしは素晴らしいものが作れる、だから売れる」という勘違いは商売にとっては邪魔である。こだわりが深すぎると対象が狭くなる。逆に拘りが少ないと対象は広くなるがありきたりの商品になるってしまうというジレンマのなかで、バランスをとっていきつつも個性を捨てないようにするのが、個人で作品を作って売る者に必要な要素であるのだ。
マクドナルドのハンバーガーは世界で一番売れているハンバーガーだが、一番美味しいハンバーガーではない。解るかね？このリクツが。
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そんなわけで、材料が余りつつあるので、『素材 De Canecry』という別SHOPをオープンします。オープン予定は５月くらい。具体的にはわたしが使っている素材と同じものをハンドメイド作家さんたちに提供していきましょう、っていうコンセプトである。
当初取り扱う商品は、
● 国産シーグラス
● オリジナル柄の刻印レザー
● オリジナル・カットの天然石
● チャーム等のオリジナル・パーツ
になる予定。もちろんハンドメイド作家さん向けの商品なので、これらを使って作品を作り、売ってもらって構わない。
毎度おおきに、これからもよろしゅうにな。
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