見上げる空の蒼さを求めるも、その輝かしいブルーが己の手に堕ちるはずもなく、それならばと手近な花を摘み取れば、手にした瞬間こそ美しいものの、それもやがて悲しく枯れ果てる。本当に欲しいものは手に入れられず、手に入った美しきものは腐りゆく一方である。
それでも求めてしまうのが人の性なのだろう。物欲にあかせては様々なものを購入し、一通り愛でたのち、さて、次は何か無いかな？とばかりに新しい玩具を探すのだ。それは街中の腐敗したドブ川に魚を探す子供の様子に似て虚ろな行為であり、終わりのない螺旋階段のようなものであるが、その階段を登り続けていると錯覚できるのもまた、人のカルマであり、その想像性の成せるワザなのであろう。故に物欲や消費といったような行動は人間が人間であるという証明であると考えられ、それこそが心のゆとり(『心の無駄』と置き換えても良い)というものであろうなと思い至るのである。
わたしは感情ではなく言葉を脳内で紡ぎ出すことにより行動するように心がけてはいるが、稀に感じるより考えるより速く体が反応する場合がある。それは突然海に行きたくなったりだとか、海に行ったら行ったで、服のまま飛び込んじゃったりだとか、少々頭の弱い子の行動であるのだが、年々そういった行動が少なくなっていっている。老化現象なのかなんなのかは解らないが、恐らく脳のシナプスとかなんとかの伝導が悪くなって、若いころは、【海→行動】だったシナプス伝達が現在では【海→仕事どうしよ→準備どうしよ→現地のホテルとかどうしよ→行動】になってしまったのである。これは由々しき事態である。実によろしくない。全く以て遺憾であります。
『テキトーに生きる事にブレない』というわたしの人生のモットーが揺らいでいるのだ。確たる信念なんかは人生において邪魔にしかならないから、テキトーに生きることにブレない、というなんだか日本語としてどうなんだろうというモットーなのだが、人生33年目にして用意周到な大人っぺー生き方になろうとしているのだ。このままでは筋金入りの女性版ピーターパン・シンドロームを自認しているわたしのアイデンティティが崩壊してしまう。死ぬ！
そんなわけで明日から海に出かけてきます。海からの風に吹かれて鼻水でたら服でこすって、ジャンパーの袖口ガビガビにして帰ってきます。
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