さて、そろそろ終えましょうか、「塾歴社会」。

ここまで、進学塾の大罪について書いてきました。

 

そして、世の中には残念ながらというか、当たり前というか、頭のいい子と悪い子がいることも判明しました。

 

そして、その才能の差は、死ぬほどの努力でも補えないのだ、ということもわかりました。

 

では、見ていきましょう。

 

「この本の中に何度も出てくる、塾に通うことによって失われている大事な何か。

 

それが何なのかを説明しよう。

 

充実した人生を歩むためには、私立受験、有名中学、有名高校、有名大学、官僚、といった王道だけでなく、たくさんの回り道を歩む必要があるし、たくさんの回り道をするためには、それに耐えうるだけの力を若いうちにつけておかなければならない。

 

残念ながら塾だけでは十分には身につかない代物だ。」

 

そう!

 

それを私の塾では、第一とし、子供たちに身につけさせているものなのだ。

 

挨拶をきちんとする、社会のルールを守る、困ったときには人に聞く、困ってる人がいたら助ける、困難にぶち当たったらみんなで協力して乗り越える、そんな力だ。

 

「合格という目的に向かってできるだけ効率的にアプローチしたいニーズに応えて存在する塾が、回り道を回避するのは当然だ。

 

批判される筋合いはない。

 

しかし、そのような受験競争という熱が過度に社会に影響力を持っているのだとしたら、それは塾のせいではなく、世の中全体が回り道を良しとしない、効率至上主義に染まってしまっているためではないか。

 

私たちが、回り道、無駄、不純物、遊びなど、円環的作用をもたらすものの価値を認める知性や教養や文化が欠けているのではないか。」

 

まぁ、結論、そういうことになるが、だからと言って、暴利を貪る塾が無罪であるとは言えないだろう。

 

本物の塾なら、そんな世の中の間違ったニーズにつけこんで金儲けをするのではなく、将来の子供たちのため、日本のため、回り道や遊びなどの価値をきちんと説明したうえで、そういった教育をしっかりと施していくのが筋であろう。

 

さて、最後に現役東大医学部生の座談会が載っていました。

 

もうね、とにかく、頭いい奴は生まれたときから頭がいいということがよくわかります。

 

「私は出身が北海道で、覚えてないんですけど、小5の頃に母に塾行きたいって言いだしたらしくて。

 

多分、小田原にいた従兄弟の影響だと思います。

 

やってみたら結構できたので、小学校の時、夏期講習だけ、東京に出てきて受けてました。

 

でも、関東勢が弱すぎて、上位成績のランキングに私ともう一人しか載ってなくて。」

 

全国の進学塾に通う奴らが受ける模試、つまり、事実上、その学年の日本一を決めるテストで、上位10名に入るって。

 

だいたい1学年150万人いて、トップ10って、偏差値90じゃん。

 

それが塾に入ってなんとなくできたって。

 

「私は希学園でした。

 

小学生なのに、夜10時20分とかまで居残りで、帰宅したあとも勉強して、それが週6日続きました。

 

正直つらかったですね。」

 

これはもう虐待ですね。

 

「私は公文に行ってて、割とできたみたいで。」

 

「私は塾に行ってないです。

 

めっちゃ田舎で、四谷大塚の通信をやってました。

 

小学生は自然の中でのびのび育てて、中学からは東京でばりばり勉強させるのが、家の方針だったので。

 

そのかわり、東大以外はだめと言われてました。」

 

ほらね。

 

結局、出来る子は塾に行かなくても東大に合格しちゃうんです。

 

「灘中学は、みんな賢くて、生物オリンピックの金メダリストや、物理オリンピックは金銀銅メダリストが揃ってました。

 

在学中にITで大もうけした人もいました。」

 

「小学生の間に公文で英語も数学も終わらせてたので、その貯金で中学の間は部活をやってました。」

 

「私は灘と東大寺学園の両方受かりました。」

 

「私は開成と聖光しか受けてません。」

 

「私は桜陰と渋渋で、両方受かりました。」

 

「僕は筑駒と開成、両方受かりました。」

 

「私は洛南だけ受けました。」

 

ほら、100%合格してるでしょ。

 

出来る子は全部受かるんです。

 

何にも悩むことも、作戦もありません。

 

「私も公文で小学校2年生までに、中学校の英語と数学をやったので、中学校はなんとかなりました。」

 

「私も」

 

「公文の小学校1年生の時とかの全国模試の上位成績者リスト見ると、結構今の知り合いの名前とか出てくるよ。」

 

ほら、頭いい奴は最初から頭いいじゃん。

 

逆転なんかない。

 

公文最強ですね。

 

頭いい子は小学校2年生までに中学校の内容を全部終えちゃうんですよ。

 

じゃあ、公文行けばみんなこうなるかって、なるわけがない。

 

前にも書いたが、うちの生徒は、小学校6年間公文に通って、小学校1年生の算数も国語もできずに全部投げ出しましたからね。

 

「東進の東大特待コースに通いました。

 

数学でも、英語でも全部ただで授業が受けられるので。

 

特待に入れない普通の受講生が僕らの授業料も払ってくれるんです。

 

その代わり、僕たちの合格も東進の実績になります。

 

で、結局、それで成績が上がったかというと、あまり変わらなかった。」

 

やり方がずるいね。

 

無料で頭いい奴集めて、その実績を奪うみたいな。

 

そして、その授業料を頭の悪い奴が分配して払うみたいな。

 

社会に出る前にもうすでに、格差が広がっとるやん。

 

「私は、女子学院と豊島岡を受けて両方合格しました。

 

中学に受かってから4月の入学までに、中学校の内容は全て終わらせました。」

 

はい、出ました。

 

超天才の超絶エピソード。

 

小学生が独学で中学校3年間の全教科の勉強を1か月で終わらせるんだって!

 

「ただ、親がめちゃくちゃ厳しくて、高校卒業まで、携帯、テレビ、ネット、ゲーム雑誌、漫画は全部禁止でした。

 

それで、グレてしまって、高校2年までまったく勉強しませんでした。

 

で、高2でやっと予備校の模試を受ける気になったのですが、成績上位者に自分の名前がないという初めての体験をして、まずいと思いました。

 

それで、鉄緑会を知って入りました。

 

数学はまぁタメになったけど、英語は全然大したことなかったですね。

 

自分の子供を鉄緑会に入れたいか、と聞かれると入れたくないですね。」

 

はい、でました、天才エピソード。

 

勉強しなくても、全国模試に名前がいつでも載ってるんだって。

 

あの鉄緑会も、全然大したことないって。

 

中学3年間、高校2年間勉強しないで、そこから1年だけ勉強したら、東大理Ⅲに合格だって。

 

あれ?時間がなくなった。

 

次回、最終回にします。