彼の事がとても好きだった。
好きだった、と過去形で言うのはいうのはおかしいのかもしれない。
嫌いになった訳じゃないんだから。
むしろ今でも変わらずに好きだ。
好きなんだけど、もう会うことはない。
どうして別れてしまったのか、もう何度も考えた事だけど。
それはたぶん。私が私の事を嫌いになってしまったからだと思う。
私の事を嫌いになってしまった私を、彼も嫌いになったんだと思う。
付き合いはじめた頃、私は彼を好きな自分が好きだった。
ただただ好きで、ただ会いたかった。
望みはあまりにシンプルで、彼に会う事だけを求めていた私に悩みなどなかった。
その当時、私は彼に会う為だけに生きていた。
他に望むものなどなかった。
そんな5年間を私は過ごしてしまったのだ。
なんてバカで、なんて愚かで、なんて贅沢な時間だったんだろう。
でも、いつからかシンプルな私の望みは、
複雑なものになってしまった。
それはなぜなのか。今考えてもぼんやりしてしまいよく分からない。
でもただひとつハッキリと変わってしまったことがある。
彼と会える事が当たり前になってから、
私は彼に会える日より、会えない日を数える様になったという事。
その瞬間にすべての景色が変わった。
それは紛れも無い事実だ。
自分でも気がつかないうちに、私は彼に会える事を喜ぶのをやめてしまった。
そして、そんな自分を嫌いになった。
誰かに会う為に生きるには人生は長すぎる。
だから誰かに会う為に生きるなんて愚かだ。
きっと、自分の人生をそんな風に生きるものじゃない。
自立すること、依存しないこと、1人の時間を楽しめることは、
今や素敵な女性の条件だ。
でも。
それでも私はもう一度、誰かに会う為に生きたいと思う。
そして今度は、会えない日を数えてしまう自分を許すんだ。
抱きしめて、一緒に眠ってあげるんだ。