え?いつ?なんで?
アシスタントの人も亡くなった事を知ったばかりで、詳細は解っておらず、
ただその事実を、まずは一番にサリーさんに、と急いで知らせてくれました。
アシスタントの人が、お土産を届けようと先生の家に行くと、ポストに新聞が溜まっていて、
おかしいと気付き、大家さんに聞いたり、先生の弟さんに連絡を取ったり動いてくれて
解ったそうなのですが、話が少しおかしい。
先生は一度も結婚していない。
弟さんが一人。
その先生と弟さん、というより弟のお嫁さんと上手くいっていなかったらしいのです。
だからなのか、アシスタントの人の電話に、迷惑だからもう連絡しないでくれと言い、
亡くなったと言うだけで、四十九日も経っていないのに、もう納骨してあると言う。
普通、人が亡くなったら葬儀があるのは当たり前だと思っていたのですが、
どうやら、執り行われなかった模様。
先生ほどの人なのに。
アシスタントの人が、先生の家で洋裁関係の不要な物とかあったら引き取りますから、
片付けを手伝いますからと、食いついて、連絡が途絶えないようにしてくれたおかげで
その後、弟さん夫婦とアシスタントの人が一度、面会できたけれど、
お嫁さんに延々と、先生の愚痴を聞かされたそうで、その勢いに思わず、アシスタントの人が
謝ってしまうほどだったとか。
解ったのは、先生が家で倒れ、救急車で運ばれ、その2週間後に亡くなったということ。
その2週間、お嫁さんが世話をしたそうで、それを猛烈に愚痴っていたというのを聞いて、涙が出た。
いくらでも手伝いますよ、倒れた先生のお世話しますよ!
私だけじゃない、アシスタントの人だって、他のおば様生徒さん達だって!
その2週間、知っていたら、余裕でみんなで代わる代わるお手伝いしたと思います。
無念でしかない。
葬儀でお別れをする、という心の整理もすることが出来ず、無念。
でも、一番の供養って、縫うことじゃね?と思った。
私達が縫い続けること、先生に教えてもらった技術を生かし続けること、
それが一番の供養じゃないかとアシスタントの人と話して、それで納得した。
そうそう、私は先生が望んだ協会の仕事とか、指導者になる事とか、
まるっと全部応えられなかったけれど、さすが先生、しっかり後継者を育てあげていました。
アシスタントの人がしっかり、先生のあとを継いで、外国人への指導とか、協会の仕事とか、
何より、グランプリという大会で1位、優勝して、最高の技術者に!
そして、二人いる娘さんの一人が、洋裁の道に進み始めたそうです!
最高!脈々と先生の技術が繋がっていく!
先生、今日、「マスクを20個お願いします」と依頼が来ました。
「何?マスク?全く~、もったいない、資格を持ってるのに、マスク?」
という先生の声が聞こえてきそうです。
指導員にならなくて、ごめんなさい。
マスク作って、ごめんなさい。
でも、数年前、
「マスクを作っているんですけど、パーツが小さいから、アイロンかけづらいんですよ~。
アイロンが大きすぎて」と言ったら、
先生が押入れの奥から小さな箱を出してきて「あげる」と渡されたのは、
小さなコテのようなアイロン。
あのアイロンでマスクを作りますね。
なぜ先生の事をここ何日かで書いたかというと、今日が先生のお誕生日だったのです。
いつもなら先生に会える日だったから。
もうお花やプレゼントを選ぶこともないんだなぁ、と、先生とのことを思い出していました。
でも、私が縫っている限り、先生は生き続けている気がする。ずっと。
先生、ありがとう。
先生に心からの尊敬と感謝を。
ありがとうございました。