romantaichoさんのブログ -3ページ目

死神シュクレン

ー第四話ー


山崎は街を歩いた。
肉体的な疲れもなければ腹も減らない。
鎌で引き込まれる事もない。
なぜ自分が存在しているのか全くわからなかった。
「眠くもなんともないな…」
街の日が暮れても山崎には何の感覚も無かった。
まるで暇な映画でも観ているかのようにただ時間だけが過ぎていく。
時にはさっきと同じような事故に遭遇する。
そして死んだ人間はまた同じように鎌で穴に引き込まれていったのだ。
「…俺はどうして存在している?」
世界に人はたくさんいるのに自分は一人だという孤独感だけが心を支配していった。
「ちくしょーっ!!俺はどうなってるんだーっ!!」
山崎は力の限りに叫んだがその声に反応し振り向く者は誰一人いなかった。
あれから数日経過したがいわゆる"お迎え"は来なかった。
山崎がうなだれているとふいに声がした。
「山崎さん?」
山崎が驚き振り返ると派手な装いをした女が立っていた。
「…女?あ…あんたも死んだのか?」
「ああ~私は死んでませんから」
女はクスクスと笑う。
「じゃなんで俺がわかる!?」
山崎は少し興奮した。
「お迎えにあがりましたぁ!!」
女は大きな鎌を笑顔で振り上げた。

死神シュクレン

ー第三話ー


どうしてここにいるのか?どうやって来たのか?
山崎は全く思い出せなかった。
「あれ…?おかしいな…俺…なんでここにいるんだ?何しにここに来たんだ?」
山崎は言いようのない不安に駆られた。
そして何かを思い出したように周りを見回した。
誰も山崎に目線を合わせるものはいなかった。
「お、おい!!ちょっと待って…」
山崎は周りを忙しく歩く人達に声をかけるが全く反応しなかった。
「ちょっ…!?」
通り過ぎる人の肩に手をかけようとしたらまるで投影されている映像のように手がすり抜けた。
「ど…どうなってるんだ…俺は…」
山崎はギクリとした。それは認めたくないものだった。
だがそれはほぼ確信となった。

自分はもう死んでいる。
だからあの死んだ青年が見えたのかもしれない。
「でも…なんで死んだ?」
肝心な事が全く思い出せなかった。
どんなに考えても何一つ思い出せない。
確かなのは自分は死んでしまったという事だけらしい。
「…だとしたら…俺もあいつみたいに?」
山崎は辺りを見回した。
空間に穴が開いて鎌が出てくるかもしれないと思ったのだ。

死神シュクレン

ー第二話ー


道路には男の脳髄がぶちまかれ手足は不自然に折り曲がっていた。
もう既に生きてはいないと容易に想像できた。
もう動くはずはない。
そう思った時だった。男から何かがふと立ち上がった。
それは紛れもなく死んだあの青年だ。
そして死体は確かに道路に横たわっている。
「ど…どうなってんだこりゃ!?」
青年は何事もなく歩き出した。
そして真っ直ぐに山崎を目指してきた。
「ねぇ…教えてくんない?俺どうなったの?」
青年は何も理解していないようだ。
「どうなったって…あんたさっき…」
山崎が見た光景を話そうとした時、青年の後ろに丸いバレーボール程の穴が開いた。
それは空間に不自然に。
そして中から光る刃物が現れた。鎌だ。
危ない!!そう思った瞬間に青年に鎌が襲いかかった。
そのまま青年を穴の中に引きずり込み消えてしまった。
「お、俺は夢を見ているのか…ん!?」
山崎は突然不安な気持ちになった。
「俺は…何しにここに来たんだ!?」
山崎は数時間前の記憶を辿ろうとするが全く思い出せなかった。