1700万円を失った。


数字にすると、とんでもない金額だ。私にとっては人生を変えるレベル。


車検のことを考える。

冷えないエアコンのことを考える。

次女の修学旅行代のことを考える。


何か買おうとするたびに、


「もし騙されていなかったら」


と思う。


だから私はずっと、お金が苦しいのだと思っていた。


でも、本当は違った。


もちろんお金は苦しい。


1700万円なんて簡単に取り戻せる金額じゃない。


だけど、私を毎日苦しめるのは、お金のことだけじゃなかった。


LINEを読み返してしまう。


そして思う。


「どうして私はこんな言葉を信じたんだろう」


「どうして気づけなかったんだろう」


「私はなんて馬鹿だったんだろう」


そうやって、自分を責める。


詐欺師に言われた言葉は今でも覚えている。


「寝る前に最後に恋しくなる人」


「目を覚まして最初に恋しくなる人」


「来世ではもっと早く会いましょう」


今読むと、恥ずかしい。


情けない。


こんな言葉に心を動かされた自分が嫌になる。


でも、その時の私は本気だった。


だから苦しい。



信じた気持ち。


信じていた未来。


そして、信じていた自分。


それが今でも痛い。



詐欺師の誕生日が来ただけで動揺する。


その日付だってフェイクだろうに。


そんな自分が情けなくて仕方ない。


でも最近気づいた。


私はまだ引きずっているのではなく、


傷が痛いだけなのかもしれない。


傷があるから痛む。


思ったよりも深い傷が、まだ治っていないからだ。



まだ悔しい。


まだ虚しい。


まだ泣きたい。


そして今日も私は、その気持ちと向き合いながら生きている。