2020年映画 独断と偏見のランキング -2ページ目

第71弾『スパイの妻』

《ベネチア国際映画祭》銀獅子賞(監督賞)受賞

監督:黒沢清

出演:蒼井優、高橋一生、東出昌大

~男と女で愛の定義は異なるか~

2003年ベネチア国際映画祭で北野武監督が『座頭市』で銀獅子賞を獲ってはや17年。時の進むのは速いものである。どうしてもパワーのある映画が獲る傾向にある賞レースだが、この映画での受賞は純粋に静かなる日本映画のメッセージが外国に伝わった証となる。そう言えば1997年の北野武作品『HANA-BI』(金獅子賞)も『座頭市』同様にパワー全開の映画。日本の戦争映画と言うと「日本はこんな風に戦争頑張った」映画が作れない以上、どうしても「被害者としての戦争映画」になりがちなのだが、これは日本の戦争犯罪に一歩踏み込んだ内容。タイトルに「スパイ」という単語があるがこれは高橋一生演じる福原優作がスパイとして行動しているわけではなく、単なる貿易会社社長である。彼がたまたま満州で目にした日本軍の暗部を世界に公開しようとした上手くいけばヒーロー(当然当時の日本からすると国賊)となりえる人物であり、蒼井優演じる聡子はどんなことがあっても彼と一緒にいることを幸せとする普通の妻である。しかし夫の正義心は彼女の幸せを壊してでも国家の罪を暴くことを優先しようとする。そんな中でも正義と幸せの両方を掴もうとあるアイデアを決行しようとするのだが…。この映画はハッピーエンドなのか、アンハッピーエンドなのか、分からないまま終了する。優作の選択が正しかったのかどうかは分からないし、その決心自体が「愛」なのか、聡子に対する「裏切り」なのか、男と女の立場で考えが変わるのではないだろうか。

 

2020年度 独断と偏見のランキング

1.       TENETテネット

2.       ジョジョ・ラビット

3.       パラサイト/半地下の家族

4.       9人の翻訳家/囚われたベストセラー

5.       グッドライアー/偽りのゲーム

6.       バルーン/奇蹟の脱出飛行

7.       コリーニ事件

8.       マリッジ・ストーリー

9.       ミッドサマー

10.    2人のローマ教皇

11.    名もなき生涯

12.    千と千尋の神隠し

13.    オフィシャル・シークレット

14.    ゲド戦記

15.    アイリッシュマン

16.    もののけ姫

17.    娘は戦場で生まれた

18.    レ・ミゼラブル

19.    ハリエット

20.    異端の鳥

21.    赤い闇/スターリンの冷たい大地で

22.    スパイの妻

23.    1917/命をかけた伝令

24.    フェアウェル

25.    エスケープ・ルーム

26.    スペシャルズ!~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~

27.    ファヒム/パリが見た奇跡

28.    ウルフズ・コール

29.    ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey

30.    ブラック・アンド・ブルー

31.    三島由紀夫VS東大全共闘~50年目の真実~

32.    ナイチンゲール

33.    グッバイ、リチャード!

34.    シチリアーノ/裏切りの美学

35.    TUNAガール

36.    風の電話

37.    黒い司法/0%からの奇跡

38.    新聞記者(リバイバル上映)

39.    風の谷のナウシカ

40.    人数の町

41.    リトル・ジョー

42.    ジュディ/虹の彼方に

43.    ペイン・アンド・グローリー

44.    リチャード・ジュエル

45.    ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語

46.    フォードVSフェラーリ

47.    バッドボーイズ/フォー・ライフ

48.    透明人間

49.    2分の1の魔法

50.    はちどり

51.    精神0

52.    海辺の映画館/キネマの玉手箱

53.    海底47m/古代マヤの死の迷宮

54.    思い、思われ、ふり、ふられ

55.    青くて痛くて脆い

56.    ミッドウェイ

57.    ランボー/ラスト・ブラッド

58.    ドクター・ドリトル

59.    フライト・キャプテン/高度1万メートル、奇跡の実話

60.    スキャンダル

61.    ハニーランド/永遠の谷

62.    海の上のピアニスト

63.    キャッツ

64.    Fukushima 50

65.    エジソンズ・ゲーム

66.    コンフィデンスマンJP プリンセス編

67.   

68.    映画ドラえもん/のび太の新恐竜

69.    映画 すみっコぐらし/とびだす絵本とひみつのコ(リバイバル上映)

70.    AI崩壊

71.    カイジ/ファイナルゲーム

 

 

第70弾『異端の鳥』

THE PAINTED BIRD

2019ベネチア国際映画祭》ユニセフ賞受賞

2020アカデミー賞》国際長編映画賞チェコ代表

監督:ヴァーツラフ・マルホウル

原作:イェジー・コシンスキ

出演:ペトル・コトラール、ステラン・ステラスガルド、ハーヴェイ・カイテル、ジュリアン・サンズ

~酷すぎる。しかし戦争はもっと酷い~

昨年のベネチア国際映画祭で、余りのむごさに途中退席者が続出した一方で、最後まで観た人はスタンディング・オベーションが10分続いたという。こういうセンセーショナルな宣伝はよくあることで、海外では気に入らない時はどんどん席を立つし、いい映画はちゃんと評価されるものである。ではこの映画はどうかと言うと断然後者である。確かにテレビ放映は絶対に出来ない映像は数か所出てくる。しかしこの悲惨さというのは戦争の現場と比較すると大したことないものである、逆に言うと戦争というのは実に理不尽なものであるのかを描いているに過ぎない。もしこんな大人が体験して気持ち悪いというのなら、主人公の子供(10歳くらいだろうか)からするとどれほどのものだろうか。私たちはそこまで想像力を働かせて鑑賞しなければならない。この映画の原題であり原作のタイトルでもあるTHE PAINTED BIRDとは「印をつけられた鳥」という意味でありこの映画では腕に番号を彫られたユダヤ人である。映画の中にも登場するが、この映画にはかごに入れられた小鳥、大空を舞う鳥、など複数のモチーフが登場する。鳥が自由の象徴であるにも関わらず、色塗られた鳥が大空でさえも仲間にいじめられ墜落するシーンが印象的だった。平和な社会でも「異端」なものは同じ人種内でさえ差別される現代にも形的を鳴らす。

 

2020年度 独断と偏見のランキング

1.       TENETテネット

2.       ジョジョ・ラビット

3.       パラサイト/半地下の家族

4.       9人の翻訳家/囚われたベストセラー

5.       グッドライアー/偽りのゲーム

6.       バルーン/奇蹟の脱出飛行

7.       コリーニ事件

8.       マリッジ・ストーリー

9.       ミッドサマー

10.    2人のローマ教皇

11.    名もなき生涯

12.    千と千尋の神隠し

13.    オフィシャル・シークレット

14.    ゲド戦記

15.    アイリッシュマン

16.    もののけ姫

17.    娘は戦場で生まれた

18.    レ・ミゼラブル

19.    ハリエット

20.    異端の鳥

21.    赤い闇/スターリンの冷たい大地で

22.    1917/命をかけた伝令

23.    フェアウェル

24.    エスケープ・ルーム

25.    スペシャルズ!~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~

26.    ファヒム/パリが見た奇跡

27.    ウルフズ・コール

28.    ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey

29.    ブラック・アンド・ブルー

30.    三島由紀夫VS東大全共闘~50年目の真実~

31.    ナイチンゲール

32.    グッバイ、リチャード!

33.    シチリアーノ/裏切りの美学

34.    TUNAガール

35.    風の電話

36.    黒い司法/0%からの奇跡

37.    新聞記者(リバイバル上映)

38.    風の谷のナウシカ

39.    人数の町

40.    リトル・ジョー

41.    ジュディ/虹の彼方に

42.    ペイン・アンド・グローリー

43.    リチャード・ジュエル

44.    ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語

45.    フォードVSフェラーリ

46.    バッドボーイズ/フォー・ライフ

47.    透明人間

48.    2分の1の魔法

49.    はちどり

50.    精神0

51.    海辺の映画館/キネマの玉手箱

52.    海底47m/古代マヤの死の迷宮

53.    思い、思われ、ふり、ふられ

54.    青くて痛くて脆い

55.    ミッドウェイ

56.    ランボー/ラスト・ブラッド

57.    ドクター・ドリトル

58.    フライト・キャプテン/高度1万メートル、奇跡の実話

59.    スキャンダル

60.    ハニーランド/永遠の谷

61.    海の上のピアニスト

62.    キャッツ

63.    Fukushima 50

64.    エジソンズ・ゲーム

65.    コンフィデンスマンJP プリンセス編

66.   

67.    映画ドラえもん/のび太の新恐竜

68.    映画 すみっコぐらし/とびだす絵本とひみつのコ(リバイバル上映)

69.    AI崩壊

70.    カイジ/ファイナルゲーム

 

第69弾『フライト・キャプテン/高度1万メートル、奇跡の実話』

THE CAPTAIN

監督:アンドリュー・ラウ

出演:チャン・ハンユー、オウ・ハオ

~中国の実話に基づく飛行機パニックもの~

2018年5月14日中国、四川航空3U8633便は操縦席のフロントガラス破損により、通常の空気圧を失い、自動操縦システムダウン、副操縦士負傷、無線不通という中、見事に帰還したという事実に基づく。フロントガラス損失という話は映画では聞いたことがあるが、こんな事が実際に最近起こっていたなんて知らなかった。フロントガラスのない物体が時速500キロで飛んでいれば、風圧だけも大変だが、上空はマイナス30度、当然酸素もない。体感気温など想像もつかない状態だっただろう。その後も前方に低気圧が出現、緊急着陸への道が絶たれようとする。現実とはむごいものである。そんな困難を乗り越えとうとう着陸に成功、と思いきや最後は逆噴射が効かず、オーバーランの危機までやってくる。この苦難を乗り越えた9名のクルーは中国で英雄と称えられたという。

 

2020年度 独断と偏見のランキング

1.       TENETテネット

2.       ジョジョ・ラビット

3.       パラサイト/半地下の家族

4.       9人の翻訳家/囚われたベストセラー

5.       グッドライアー/偽りのゲーム

6.       バルーン/奇蹟の脱出飛行

7.       コリーニ事件

8.       マリッジ・ストーリー

9.       ミッドサマー

10.    2人のローマ教皇

11.    名もなき生涯

12.    千と千尋の神隠し

13.    オフィシャル・シークレット

14.    ゲド戦記

15.    アイリッシュマン

16.    もののけ姫

17.    娘は戦場で生まれた

18.    レ・ミゼラブル

19.    ハリエット

20.    赤い闇/スターリンの冷たい大地で

21.    1917/命をかけた伝令

22.    フェアウェル

23.    エスケープ・ルーム

24.    スペシャルズ!~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~

25.    ファヒム/パリが見た奇跡

26.    ウルフズ・コール

27.    ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey

28.    ブラック・アンド・ブルー

29.    三島由紀夫VS東大全共闘~50年目の真実~

30.    ナイチンゲール

31.    グッバイ、リチャード!

32.    シチリアーノ/裏切りの美学

33.    TUNAガール

34.    風の電話

35.    黒い司法/0%からの奇跡

36.    新聞記者(リバイバル上映)

37.    風の谷のナウシカ

38.    人数の町

39.    リトル・ジョー

40.    ジュディ/虹の彼方に

41.    ペイン・アンド・グローリー

42.    リチャード・ジュエル

43.    ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語

44.    フォードVSフェラーリ

45.    バッドボーイズ/フォー・ライフ

46.    透明人間

47.    2分の1の魔法

48.    はちどり

49.    精神0

50.    海辺の映画館/キネマの玉手箱

51.    海底47m/古代マヤの死の迷宮

52.    思い、思われ、ふり、ふられ

53.    青くて痛くて脆い

54.    ミッドウェイ

55.    ランボー/ラスト・ブラッド

56.    ドクター・ドリトル

57.    フライト・キャプテン/高度1万メートル、奇跡の実話

58.    スキャンダル

59.    ハニーランド/永遠の谷

60.    海の上のピアニスト

61.    キャッツ

62.    Fukushima 50

63.    エジソンズ・ゲーム

64.    コンフィデンスマンJP プリンセス編

65.    糸

66.    映画ドラえもん/のび太の新恐竜

67.    映画 すみっコぐらし/とびだす絵本とひみつのコ(リバイバル上映)

68.    AI崩壊

69.    カイジ/ファイナルゲーム