4

そして俺は帰路に着いた。

ああ、これは良い仕事を見つけたものだ。
時給二千五百円、こんな商売がこの世にあったとは。

と快感に浸りながら、公園の角を曲がる。


それにしても今日は寒い。雨が降ったからか?
そういった考えを起こしながら手に温かい吐息を吐きかけた時、




右手の薬指が抜け落ちた。

「な、ななな・・・」

そう口走る舌も程なくして抜け落ちる。



・・・やがて髪も抜け、爪も落ち、腕と足は砂のようになりボロボロに砕けるが痛みはない。それどころか何か清々しい気分だった。


いつの間にか目の前に高身長の男がいた。
その男は辛うじて残っている俺の頭を掴む。そして、「erosion」と呟く。

・・・その瞬間、俺の意識は全て暗闇に呑まれた―――。


  5

何かがおかしい・・・・・・?

私は博物館の蔵書である「メリーさんの羊第十四章六百八十七巻」を読みながら疑問にふけっていた。

バイトの話でなんとか関係をつなぎ止めたは良いが・・・

・・・途中まで真面目だったあの青年があのタイミングであの態度を取るか・・・?
いや、真面目でなくともあの状況下で奥へ行こうとしない人間はいない・・・

ましてやあの剣豪が真面目じゃない人間を連れて来るわけがない。



ならば考えられる道はただ一つ。

あの青年が何者かに操られていた、ということだ。



思えば彼は途中までは普通だった。・・・よって、彼は話の途中から何者かに操られた可能性が高い。

「真実を彼に知られるのがそこまで嫌だったか・・・。」

しかしここで疑問が残る。
人を操るような大きな"力"が働けば、流石にその波長が読み取れるだろう。


つまり、私の気をそらした何かがある・・・?


思い出せ。

私が彼から気をそらしたのは・・・
ドアの前で確か・・・二回・・・?










ア ラ カ ワ ?


「荒川っ!!」
私は勢いに任せドアを開いた。
そこにいたのは荒川。いや、荒川だった人間がいた。


⇒「K」 ~「刹那」~