園長通信~こころ~ №231
こいのぼり
2025.5.7
ここのところ見なくなってきた。4月下旬から5月にかけての「こいのぼり」である。幼稚園では、当たり前のように、こいのぼりが泳いでいる。ところが、それ以外となると、めっきり減ったように思う。 こいのぼりは、日本の風習のひとつである。江戸時代に武家で始まったらしい。端午の節句に男児の健やかな成長を願い、家庭の庭先に鯉の形に模して作ったのぼりである。風を受けてたなびくようになっている。皐幟(さつきのぼり)とも言う。屋外に飾るものを「鯉のぼり」、屋内に飾るものを「飾り鯉」と言うらしい。屋外の鯉のぼりは減ってきているが、その分、屋内の飾り鯉が増えているのだろう。少子化も影響しているのかもしれない。 自分が子どもの頃はどうだったのか。我が家では、シーズンになると、鯉のぼりが登場していた。本物の竹の先に矢車があり、吹き流し、真鯉、緋鯉、子鯉とフルセットだった。今思うと、これらを毎日準備するのは骨の折れることである。今更ながら、ありがたい。 我が家の鯉のぼりには、ちょっとしたエピソードがある。その日は、風の強い日だった。我が家のすぐ前には川が流れていた。竹竿は天然のものである。古くなってきていたのか、風の強さに耐えきれずに、バキッと折れてしまった。さて、鯉のぼりはどうなってしまったのか。うまい具合に川で泳いでいた。母親は、「鯉のぼりが、川で泳いでいるわ」とのん気なものだった。その後の対処が大変だったことは、容易に想像がつく。 単身赴任でお世話になった南会津では、それはそれは立派な鯉のぼりが空に舞っていた。意気込みの違いを感じた。山あいの地ほど、鯉のぼりが立派になるイメージがある。昔ながらの風習が大切にされているのだろう。子どもは地域の宝である。 昔からずっと受け継がれてきた日本の風習、慣習が徐々に消えていっている。それは仕方がない面もある。しかし、幼稚園にいると、それらを大事にしていることがわかる。かえって勉強になることが多い。 今年も幼稚園のこいのぼりは、元気よく泳いでくれた。こいのぼりは、初夏の晴天の青空にたなびくものである。青空がよく似合う。子どもの健やかな成長を願うものである。それは、昔も今も変わらない。ちなみに、鯉のぼりは、夏の季語である。春ではない。春が終わり、これから夏へと向かう時季にあたる。来年も幼稚園では、こいのぼりが登場することだろう。