校長室だより~燦燦~ №55
ガッツ
2020.2.5
3年生は、まもなく卒業し、多くの人たちが社会に出る。進学する人たちも、いずれ社会に出ることになる。それぞれの職場ではじめて会う人たちとの出会いが待っている。ゼロから人間関係をつくっていかなければならない。こう表現すると、大変そうに思えるかもしれないが、見方を変えればこれはチャンスである。
今までは、固定化された人間関係に縛られることがあったかもしれない。しかし、職場では“新入り”なのだから一番下の立場である。まわりもそう見る。これはかえってやりやすい。まわりが今までの自分を知らないというのもいいかもしれない。
職場によるが、職場全体で新入りさんの面倒を見るとは言っても、体制上、あるいは自然と「教育係」のような方が近くに現れるようになるだろう。人にはそれぞれタイプがある。一言で教育と言っても、様々なやり方がある。中には、優しいタイプの方がいれば厳しいタイプの方もいる。今は、やめてしまうことをおそれて厳しくしないようになってきている風潮があるように思う。それがいいかどうかはわからないが、だんだんと人が弱くなってきているのは間違いないだろう。学校現場に身を置く者として責任を感じないわけではない。
厳しくされなくても長い人生をやっていけるのであれば問題はないかもしれない。誰でも困難な状況にあったり、辛い目にあうことは必ずある。そのときに、自分の力で乗り越えられるだろうか。答えは「イエス」といいたいところだが、そうは言い切れない。
これから出会う教育係の方は、厳しいタイプかもしれない。それがその人の性格による場合と新入りさんのためにあえて厳しくしている場合がある。後者の場合は、新入りさんへの愛情と考えたほうがよい。厳しくしてもらえることはありがたいのである。
また、危険度が高い職場であれば、自ずと厳しくなるだろう。なぜなら命に関わるからである。安全第一という言葉があるが、徹底するためには厳しさも必要である。
大切なことは、相手に合わせることである。相手に変わってもらいたい、相手を変えようなどとはあまり考えないほうがよい。自分が変わるのである。そのほうがうまくいく。厳しくされて「今に見ていろ」と思うこともあるだろう。決してふてくされてはいけない。見返してやるくらいの気概がほしい。そのような「ガッツ」がほしい。これがだんだんと弱くなってきているように思う。ガッツは大きなエネルギーとなる。
梁川高校は少人数での手厚い指導が特徴である。先生方が生徒一人一人のことをよく把握し、生徒のことを少しでも分かろうとして指導に当たっている。これは少し見方を変えれば、生徒たちを守っている、生徒たちは守られているとも言える。優しく包み込むのはいいが、生徒たちは急に世の中の荒波に放り出されることになる。高校まではいいが、その後は大丈夫なのかという不安が出てくる。
そうであれば、高校生活の中で、ある程度の失敗経験や挫折も必要なのではないか。転ばないように転ばないようにといつも支えるのではなく、ときには転んでしまっても自力で起き上がるまで手を貸さないことも重要なのではなかろうか。
3年生が登校しなくなって3日目になるが、このようなことを考えることもある。「ガッツ」とは簡単にいうと根性、やる気のことである。どうも今の時代に合わない感じもするが、力強く社会人として生きていくためには必要なものだと思う。