職員室だより「切磋琢磨」№49 福島市立野田中学校 2022.4.28
教科書が読めない子どもたち
野田中学校では、昨年度から読解力向上に取り組んでいます。この読解力は、汎用的読解力です。これを「リーディングスキル」と言っています。リーディングスキルテスト(RST)は、汎用的読解力のうち、200字程度の短文の読解力(汎用的基礎読解力)を測るものです。暗記した知識を問うものではありません。RSTは、評価で言えば診断的評価にあたります。基盤となる力です。 では、そもそも、なぜリーディングスキルなのでしょうか。私たちは、取組を進めるにあたって、その背景や経緯を理解しておく必要があります。 産業革命により、ブルーカラーの仕事が奪われました。これからは、AIによりホワイトカラーの仕事が奪われようとしています。AIは、確率や統計で数値化できるものには強いのですが、意味を考えているわけではありません。正しさは保証していません。まだまだ文脈は読めません。しかし、結構正しいのです。そこそこの仕事はできるということです。 AIによる仕事の正誤が判断できない人は、そこそこの仕事もできないことになります。AIの進化とともにふるい落とされることになります。文章から意味を読み取り理解することは、AIにできないのです。すなわち、文章から意味を読み取り理解する力を子どもたちにつけさせる必要があるということになります。それが、汎用的読解力です。分野を問わず読解する力です。 ところが、教室の半分の子どもたちが、教科書を読めてはいないことが、全国的なデータにより明らかになりました。声に出して音読はできても、意味を理解していないのです。半分の子どもたちです。これは由々しきことです。 そこで、全国的に様々な取組が始められました。福島県もそうです。西会津町、塙町、相馬市をはじめ福島市の取組も昨年度からスタートしました。野田中学校の研究実践は、この動きの一環として存在しています。 子どもたちの読解力は、先生方の授業の中でしか耕すことはできません。耕せるのは先生方です。RSTは健康診断のようなものです。まずは、RSTを受検し、実態を分析・把握します。健康診断と同じで、RSTを受けっ放しにしないことです。 子どもたちは、読めてはいないのだということを念頭に授業を構想していきます。その際、「係り受け解析」と「照応解決」に着目する必要があります。文の構造の理解や照応先が分からないと、誤った知識を獲得してしまう可能性があります。自学自習ができなくなります。もし、RSTの結果がよければ「イメージ同定」や「推論」に取り組むようにしていきます。 RSTの結果には、学力との強い相関、深い相関があります。だからと言って、RSTの結果を上げることを目指すわけではありません。目指すのは、単元のねらい、本時のねらいなどです。これは今までと変わりません。
ただし、授業の中で、少しだけリーディングスキルを心がけるようにします。野田中学校で言えば、この“少しだけ”の一つが「学習課題の『共書き』」となります。少しだけを1年間続けることで、じわじわと効果が出てきます。スキルの定着は出力の精度で確認するようにします。したがって、書く、話す、声に出して読むなどの活動を取り入れる必要があります。 RSTが測るタイプの読解力では、学年が進むにつれて分散が大きくなります。授業が困難になるということです。それでも、野田中学校では、“一人も取り残さない”授業を構築していくことを目指していきます。