死神の精度 (文春文庫 (い70-1))/伊坂 幸太郎

出来のいい人も悪い人も、人間死ぬときはみんな一緒なんだよな。
これは僕の叔父が今日言っていた言葉である。
たしかにどんなに有名なスポーツ選手にしろ、政治家にしろ、芸術家にしろ、サラリーマンにしろ、ホームレスにしろ、死ぬときはみんな一緒。ただ地面に横たわるだけだ。人間の死に違いはない。
彼はすでに自らの死を予見して、しかもそれを受け入れている。
この短編集の最後に登場する老婆のように。
きっと彼にも死神を察知する能力が備わっているに違いない。
そして僕は彼のことがけっこう好きだ。
死の8日間前に死神が現れる。
人間の姿をして。
そして「死についてどう思う?」と尋ねる。
彼が現れるときはいつも雨。
ミュージックを愛し、渋滞を嫌う。
そんな死神の話です。
作者が死神を通して人間を語ります。
とても冷めた目で人間を見つめます。
人間ってのは・・・
たいていの人間は・・・
どうして人間は・・・
哀しいほど人間ってのは愚かな生き物だ。
死神じゃなくても思うのは僕だけではないはずである。
死神の精度はそれほどよくもないし、悪くもない。
人間と同じじゃないか。