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ローリング・サンダー・レビュー

映画・音楽・小説・マンガのレビューブログ。

コードギアス 反逆のルルーシュ volume01 [Blu-ray]

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非常に評価の高いアニメ。

が、自分には全く合わなかった。
好きなところがほとんどない。
キャラクターもいかにもアニメなキャラでダメ、
キャラクターデザインも趣味が全く合わず、
声にいたってはこれまで見たアニメで最下級。
ターンエーでキースの声をしていた福山さんが主役だが、
キースの声は最高だったのにこのアニメでは良くない。
その他の声優はもう完全にアニメ声でなかなか辛い。
ロボットアニメなので戦争が描かれるが、
この戦争の描き方は生理的に受け付けない。
結局エンターテイメントなんだろう?
知ったようなふりしてエグいシーンを出せばいいもんじゃない。

というわけで全然好きではないのだが、
アニメファンが喜ぶような記号をバラまき、
裏と表の顔をもつ変り種のヒールの主人公を置き、
それでいて全体として先が気になる構成をつくって、
「売れる」ものを作り上げた大河内一楼には拍手を送りたい。
何よりもまず、売れなきゃダメだというのはひとつの事実だ。
俺はまだ本気出してないだけ 1 (IKKI COMICS)/青野 春秋

¥620
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こういうのニガテなので、
全然ダメかなあと思って読んでみたら、
意外にも単なるニートマンガではなかった。
いや、大半はどうでもいいニートマンガなのだが、
たまに人間存在の本質を突くようでギョッとする。

ニートだとダメなのか?
仕事が人間を測るのか?
能力主義が世にはびこって久しい。
その人が何をできるかで人間の価値が決められる。
将来キャッシュ・フローで私達の価値は測定される。
それが恐ろしいことだというのは簡単だが、
過去から働き者は評価されてきたのだ。
その事実をどう見るか?
僕の答えは決まっている。
人はみな、社会において役割を演じることを求められる。
その役割をうまく演じた者が、社会から高い評価を受けるのだ。
ただ、それだけ。
そいつがどれだけ金を稼げるかは関係ない。
そいつがどれだけ社会に貢献できるかだ。
金を稼げるか否かと、社会貢献できるか否かは違う。
家族だって、社会なのだから。

それにしても、タイトルがずば抜けて良い。
弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)/渡辺 航

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見てのとおりの自転車マンガ。
チャンピオンらしくなく、いかにも少年漫画。
アツいしウマい。
が、それがずっと続くのが惜しい。
なんだか単調なのである。
ずっとがんばって自転車こいでる。
あ、そうか、恋愛要素が少ないんだ。
やっぱ少年漫画には、ハルコさーん、が必要なのか。
帰りの電車の中で読むには面白いが、二度は読まない。
インサイド・マン (プレミアム・ベスト)

¥1,620

スパイク・リー監督作品。
デンゼル・ワシントン主演だから、
かの名作『マルコムX』のコンビだ。

銀行強盗映画だが、ひとつの面白いアイデアがある。
そしてこの映画は、そのアイデアだけで2時間もってしまう。
もたせてしまった、と言ったほうがいいかもしれない。
『マルコムX』のような社会派の映画ではなく、
ただ単に面白いだけの映画であるがそれでいい。
みんなが求めているのは、単に時間を忘れることなのだから。
何やってんだー、ジム・ジャームッシュ。

非常に好きな監督、ジム・ジャームッシュの新作。
前作『ブロークン・フラワーズ』が傑作だったので、
期待して観に行ってみたら、これがもうわけわからん映画。
おじさんがスペイン中をフラフラ歩き回るだけ。
しかも、セリフがほとんどない。
わけのわからん人たちがチョイチョイ出てきて、
わけのわからんことを言って去って行く。
「想像しろ」ということらしい。
映画の中にも何回もこのセリフが出てくる。
ジム・ジャームッシュは完全にモダンアートを狙った。
現代アートとしての芸術映画である。
これは、主人公が頻繁にソフィア王妃芸術センターに出向き、
何度となく絵画と向き合っていることからもわかる。
(ソフィア王妃には現代美術が多い。)
ラストなんてまさに、ってかんじだろう。

しかし、つまんねー。
つまんねーもんはつまんねーんだ。
そもそも現代アートがわかんねーんだよお。
日常よりも退屈な2時間としての非日常。
ぼくたちにはミンガスが必要なんだ (植草甚一スクラップ・ブック)ぼくたちにはミンガスが必要なんだ (植草甚一スクラップ・ブック)
(2005/01/01)
植草 甚一

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今のところ僕が一番好きなジャズミュージシャン、
チャールズ・ミンガスについての植草甚一の雑記。
ついに植草甚一まで来れた。
植草甚一がどういう人だったのかはわからないが、
当時(1970~80年前後)の若者にとっては、
まさに「カッチョイイおっさん」だったのだろう。
ポジションは寺山修司に似ている気がする。
そういえば、寺山修司もミンガスファンだ。

いま、植草甚一みたいな人は見つからない。
圧倒的な知識量で、しかし軽妙に、
映画を語りジャズを語り文学を語る大人。
映画を語る人はいる。
ジャズを語る人はいる。
ロックを語る人はいる。
文学を語る人はいる。
マンガを語る人はいる。
アニメを語る人はいる。
けれども、それらすべてを格好良く語る大人はいない。
文化にとって、消費者のレベルはきわめて重要だが、
それを向上させる最良の方法は議論であり批評である。
その意味では、植草甚一みたいな大人がいないことは、
われわれにとって寂しく、文化にとっては大問題だ。

いま、植草甚一なら何て言うんだろう。
まずは、誰もジャズを聴いてないことに驚くのかな。
スラムダンク『あれから10日後-』完全版スラムダンク『あれから10日後-』完全版
(2009/04/10)
井上 雄彦

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スラムダンク1億冊突破のときに、
どっかの高校の黒板に描かれた続編。
Switchに一部が載ったときも買ったんだけど、
あれには半分も載ってなかったみたい。

まあ、10日後みんなが何やってるかっていうだけで、
黒板にラフなかんじでザッと描かれてて、
話も何もあったもんじゃないんだけど、
それほどスラムダンク信者ではない僕でも、
スラムダンクのみんなにまた会えたことがうれしかった。

井上雄彦はやっぱりどんどん変わっていて、
河田兄弟のシーンで月が出てきたときなんかはギョッとした。
あれは完全に、バガボンドの月だ。
たった月の描き方ひとつで世界が一気に広がるすごさ。

あと、新聞に出した一面公告が全部載っているのもうれしい。
僕の好きなメガネ君バージョンのキャッチコピーは、
「ともに声を枯らした仲間たちへ。」
あのとき、僕らはみんな、声を枯らして応援していた。
王立宇宙軍 オネアミスの翼 [DVD]王立宇宙軍 オネアミスの翼 [DVD]
(2009/12/22)
森本レオ弥生みつき

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記念すべきガイナックスの初作品。
ガイナックスはこの作品のために創立された。
監督の山賀博之はこのとき若干24歳。
庵野秀明、貞元義行、樋口真嗣、藤原カムイ、坂本龍一など、
いま思えば錚々たるメンバーが参加している。
スタッフの平均年齢も24歳であったというから驚く。

が、それにしては老成した作品。渋い。
ど派手なシーンがあるわけでもなく、
人類初の宇宙飛行士の青年の日常は坦々と描かれる。
ファンタジーな世界で描かれるきわめて現実的な日常。
ファンタジーだからこそリアリティが求められることを、
この若いスタッフたちは十分に理解していたのだ。
一般受けはまったくしない作品だが、
アニメファンの間で妙に評価が高いのもうなずける。

ただ宇宙船を打ち上げるというだけの話を、
主人公の成長とかファンタジーな世界観とか
政治とか歴史とかロケットオタクの設定とか、
いろんなものを詰め込んでいながら破綻もなく、
うまくまとめて見せただけで評価に値する。

昔のオタクたちは好きなことに猛進した。
好きこそものの上手なれという言葉は彼らのためにあった。
作中で打ち上げられる人類初のロケットはまさに、
80年代のオタクたちが自力で完成させたアニメだったのだ。
ドラゴンクエストIX 星空の守り人ドラゴンクエストIX 星空の守り人
(2009/07/11)
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ふつうに面白い。
なんだか酷評されているが、
個人的には?・?よりは上の評価。
ドラクエモンスターズジョーカーよりは圧倒的に上。

ドラクエの面白さは「ときめき」でしょう。
町を出て知らない場所に行く。
歩いたことのない場所を歩く。
入ったことのない洞窟に入る。
戦ったことのない敵と戦う。
行ったことのない町へ行く。
話したことのない人と話す。
少年時代に経験した、冒険の楽しさ。
世界が広がっていくことの、いや、
世界を広げていくことのうれしさ。

このドラクエらしさは?でも健在。
そりゃあガングロ妖精はイラつくけどさ。
でも基本的にはいつもの「ドククエ語」。
町の人のはなしを聞いているだけでも面白い。
装備を変えたら服装が変わる着せ替え感覚も面白いし、
はじめはモンスターが見えていることに違和感があったが、
モンスターがウロウロしているマップは、
それだけでなんだか楽しげで良い効果を出している。
マップ上にアイテムが落ちてるから歩いてるだけで楽しいし。
30時間くらいでクリアできる短さも良い。最近の長すぎやねん。

ドラクエ語がやや劣化している、
セーブデータがひとつしかない、
仲間がしゃべらない、など不満もあるが、
おっちゃんは久々にときめきました。ありがとう。
できそこないの男たち (光文社新書)/福岡伸一

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『生物と無生物のあいだ』の著者の作。

生物学的には男は女のできそこないらしい。
すべての生物はもともとメスしかいなかった。
そこに多様性をつくるために、メスを改造したのがオスである。
よってオスはいわば不完全なもので、だから体が弱い。

というだけの話なら一冊の本にはなりえないのだが、
この詩性を有する科学者は一冊の本にしてしまえる。
寺田寅彦を例にあげるまでもなく、
理系だから詩を解さないという事実はない。
生物学的な観点からのオスとメスのはなしに、
遺伝子にまつわる発見のミステリーを入れ込み、
旧約聖書やボーヴォワールを引用する。
縦横無尽に飛び回る文章はやはり巧い。

が、やはりテーマは弱いかなあ。
新たな発見が少なかった。
個人的には「アリマキ」の生態が一番面白かった。