283 ELEPHANT ★★★★★ | ローリング・サンダー・レビュー

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Elephant

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【2000年代、僕が狂った20枚】 第13位

ザ・ホワイト・ストライプス 『エレファント』(2003)


ホワイト・ストライプスは多分、日本人には聴きにくい。ブルーズだから。本来のブルーズは、日本のブルースから連想される昭和ムード歌謡的なものとはまったく違う。ブルーズとは「Blues」であって、「ブルーなこと」すなわち憂鬱なことを歌ったものだ。奴隷として働いていたアメリカ南部の黒人が憂鬱なことを憂鬱なままに歌う歌だから、サビなんてあるわけないしダラダラと単調に長く続く。憂鬱な心に明るい音楽など不要だ。単調に繰り返される憂鬱な歌詞と憂鬱な音楽こそが憂鬱な心を溶かす。

『エレファント』を作っているときにはすでに、ホワイト・ストライプスは故郷デトロイトあるいはアメリカに見捨てられていた。ヨーロッパでは絶賛され、「Seven Nation Army」をW杯で優勝したイタリアチームが合唱したくらいなのに、アメリカではハイプだのなんだのとくだらない批判が絶えない。3曲目「There's No Home For You Here」(ここにはお前の居場所はない)とはまさに彼ら自身のことだった。ボブ・ディランが「Like A Rolling Stone」で「No Direction Home!」(帰る家がない)と叫んだように。ジャック・ホワイトのギターが叫んでいる。うるせえ、黙れ、と。このアルバムは過去のどのアルバムよりもブルーズ色が強い。それはジャック・ホワイトがまさに「ブルー」だったからかもしれないし、誰よりもアメリカンな音楽をやって間違ってるのはお前らだと叫びたかったからかもしれない。いずれにせよ、ここには不健康な精神としてのロックがある。