月並み!べた!
 
 
 
でも、毎年、2月14日になると思い出す気持ちを、
今日は、なんだかすごく思い出した。
 
 
正確に言うと、
バレンタイン→ホワイトデーの一連の流れで、
コトが起こったのは、
3月14日のことだったりするわけですが。
 
 
 
当時5歳のわたしは、
(たぶん)好きだった男の子に、バレンタインのチョコレートを渡したのです。
 
 
(たぶん、というのは、今となってはほんとに好きだったのかどうかわからない。おそらく、どの男の子を好きになるのかという選択肢もあまりなかったと思う←ひどい。でもこれもまた、恋愛の真理。)
 
 
地元のデパートに、母親と買いに行った記憶も鮮明で、
(父親の分も買ったのも覚えてる、しかし、どんなものだったかは覚えていない)
それはクレヨンを模して、ケースにカラフルなクレヨン型チョコレートがたくさん収まったものだった。
 
 
子どもらしい、かわいらしい感じですねぇ。
 
 
バレンタインデー、
雪の降る中(北海道に住んでたから)、
その子の家までひとりで行って、
ひとりでピンポーンして、はいって渡して、
なんか、そのピンポーンするときのドキドキな感じも、
よく覚えてる。
 
 
ここまでは美しいです。
 
 
それで、
問題は、
ホワイトデー、なわけです。
 
 
なんでそうなったのかわからなかったけど、
その子の家に呼ばれて、バレンタインのお返しをもらうことになった。
 
ピンクの、表に女の子の絵が描かれている、クッキーの缶。
 
わたしはすごく張り切って出かけて、
すごく嬉しくって、
誇らしくって、
「ありがとう!!」
って言って、それで、その子の家の玄関先でその缶を胸に抱えて…
 
 
視線を落とした先、
お母さんの前に立ってにこやかにしている、
彼の足元左側に、
色違いのグリーンのやつが置いてあるのを、見てしまった。
 
 
それで、
気づいてしまったわけね。
 
 
ああ、わたしは彼にとって、特別じゃなかったんだっていうことに。
 
これ、同じの、他の女の子にもあげるんだねって。
 
 
ガラガラガラ〜〜〜〜
って、何かが崩れた感じがしました。
俗に言う、音を立ててって、やつ。
 
 
たぶんわたしの、「特別な感じ」や「誇り」というものでしょう。
 
 
今でも、時々、ある。
 
自分だけかなって思ってたことが、
実は自分だけじゃなかったこと。
 
ちょっといい気分でいたのが、
一気に切なくなってしまう瞬間。
 
大人になったら、
「まっ、そうだよね」「そりゃ、そうだよね」
って、
大人になった風に、
一人で(心の中で)苦笑いなんかしちゃったりして、やり過ごす感情。
 
 
…でも本当は、なんか泣きたいくらいな感情…
 
 
そういう、胸がきゅうぅ…ってするような感情を、
初めて持ったのが、まさに、その日、その瞬間のことだったって、
はっきり言える。
 
 
だから、
チョコレート会社の思惑だとか、悪しき習慣とか、
女性がプレゼントを渡すのは日本だけだ!!おかしい!!などなど、
バレンタインにはなんとかかんとかまつわる話があるわけだけど、
わたしにとっては、
わたしが、ひとつの感情を持った、
人間的な成長の日の記念でもあるんだなって、
いうことです。
 
 
あの、きゅうぅ…、だけは、
いくつになっても、
あぁ、ヤダヤダ。
 
 
オンリーワンになりたい気持ちの、
恥ずかしい、かっこ悪い。
を真正面から突きつけられる、きゅうぅ…です。
 
 
あまりに、
舞い上がってた自分が恥ずかしくてかっこ悪くて、
家に帰り着いたとき、
その悲しい気持ちを、母親にも話せなかったなぁ。
 
 
それで今日は、
そのチビっこなわたしを、
抱きしめてあげたい。
とも、思います。
 
 
…そのチビっこが、ただでっかくなって、おばさんになってきたって、
ただそれだけだっていう真実も含めて。