東日本大震災 ボランティア 國井修医師、母子保健・衛生などで
行政に長期支援者必要
インド洋大津波やミャンマーのサイクロン被害発生時に現地支援してきたユニセフ・ソマリア事務所保健・栄養支援事業部長の國井修医師(48)が帰国し、東日本大震災の被災地に入り支援活動をした。
日本は先進国であり、国連組織であるユニセフとしての活動はできないため、2カ月の休暇を得ての“ボランティア”だった。
肩書は日本ユニセフ協会の緊急支援本部宮城フィールドマネジャーと、宮城県の災害保健医療アドバイザー。
母子保健、衛生などの分野でサポートするため、仙台市を拠点に自ら車を運転して同県沿岸部の自治体を回った。
「今でも石巻では毎日2万人以上が食料の配給を必要としている。
栄養が十分に足りない所がまだある」。
ビタミンB1を補給する強化米の導入指導も活動の一つだ。
がれき撤去や炊き出し、医療チームの活動、政策的アドバイザーなど、さまざまなボランティアが必要だが、「専門性を持って行うものと、そうでないものと、うまく連携できていたかは疑問な部分がある。
本当に必要なものをニーズに応じて調達するシステムが行政にはない」と指摘する。
「次から次へと新しいニーズが出てくる。
あと何カ月いれば十分というものはなく、エンドレスに近い」というが、アフリカに戻らざるを得なかった。
「系統的、計画的に県や市町村の行政を長期にサポートする人が必要。
災害対策としてシステムを作っておくべきだ」と提案する。
要介護者が被災地外に避難するには?
都道府県の高齢者部門に連絡を
厚生労働省高齢者支援課などに聞きました。
厚労省は被災地以外の全都道府県や政令市、中核市に対し、介護施設などの受け入れ可能人数を把握して報告するよう求めています。
被災地の自治体は被災した介護施設などからの受け入れ要請人数をまとめており、厚労省などが搬送方法などのマッチング(組み合わせ)を検討しています。
個人で介護する場合も、最寄りの都道府県や政令市、中核市の高齢者部門に連絡すれば、マッチングは可能です。
厚労省は今回の震災を受け、介護施設などの定員をオーバーしても、可能な限り弾力的に受け入れるよう求めています。
13日現在で約3万6000人分の受け入れが可能との報告があり、被災地の介護施設などを含めて約2800人が入・通所しています。
また、インターネット上では4月末、被災した要介護者と受け入れ可能な介護サービス事業者をつなぐ「要介護者受入情報センター」(http://www.caremanagement.jp/ )が開設されました。
介護関係情報を提供する民間会社のサイト「ケアマネジメント・オンライン」の運営で、介護施設などの受け入れ情報を見ながらメールで問い合わせることができます。
デイサービスなどの情報も含むのが特徴です。
毎日新聞東日本大震災 家の点検、室内なら高い位置を
「地震後、少しの風でも部屋が揺れる」
「傾いている気がして落ち着かない」といった不安を持つ人が増えている。
不動産コンサルタントの長嶋修さん(43)と2級建築士の大久保新さん(43)に、家の点検ポイントを聞いた。
チェック場所は室内と外回りだが、一戸建てなら床下と小屋裏(屋根裏)が加わる。
室内は
(1)天井の染み
(2)壁などのひび割れ
(3)ふすまやサッシを閉めた時の隙間(すきま)--を点検する。
壁と天井の境など、通常目にする場所より高い位置に注意を向けるとよい。
染みが雨のたび広がるようなら要注意。
「サッシやドアの開け閉め不調も、建物のゆがみの疑いがある」(大久保さん)
外回りでは
(1)壁や基礎コンクリートのひび割れ
(2)タイル継ぎ目などのずれ
(3)軒やバルコニー下の染み--などをチェックする。
幅0・5ミリ以上の亀裂は要注意だ。
「物差しがなくても、0・5ミリのシャープペンシルのしんが、割れ目にするっと入るかどうかで判断できます」(大久保さん)
一戸建ては外回りの前に床下と小屋裏を点検したい。
換気口や点検口から懐中電灯で中を照らし、新しい染みやひび割れ、水の跡がないかどうかを見る。
長嶋さんは「外側から見て分かるのは兆候だけ。
セルフチェックで気になる部分を見つけたら専門家に相談してほしい」と呼び掛ける。
「家が揺れる」などの相談には、震災後の心理的不安も影響しているという。
「もともと家はある程度揺れるもの。
揺れやきしみ音に敏感になっている人も、チェックポイントを参考に、安全性を確認してほしい」(長嶋さん)
毎日新聞