ほらでいっぱいの町にぼくのうそが白い息と共に流れてる -29ページ目

ほらでいっぱいの町にぼくのうそが白い息と共に流れてる

わたしはかもめ。飛べないかもめ。日記みたいなもの。

「暇だなぁ。」


太朗は氷だけになったグラスをストローで無意識に混ぜながらつぶやいた。
彼の視線は隣の席の大金持ちらしいおばはん3人組である。


「この調子じゃ、あと3時間は居るなぁ。はぁ~。」


と、ため息をついた。太朗は私立探偵で、浮気調査をしていた。


「男はタフじゃないと生きていけないかぁ。はぁ~。」


と、憧れのチャンドラーのハードボイルド小説の一節を繰り返しては我が身を励ましていた。
どうやら、この3人組のおばはんのうちの一人の浮気調査を依頼されたようだ。
アメリカの探偵小説に憧れて開業したのはいいが、訪ねてくるのは、今回のような浮気調査が主であった。
そして、それは社長の奥さんの浮気調査か、社長の浮気調査で、
こういう所に来る奴に限って、


「この面で浮気なんかするわけねーぜぇ。」


って思えるやつばかりであった。
なので太朗は最近、税金対策じゃねえのかぁと疑っているが、
しかし、訪ねてくるやつはどうやら本気のようだ。
お金持ちなんてやつは、やつなりにいろんなものを守らなきゃいけないという固定概念があるんだろうなぁ。


「はぁ、今みたいな生活が俺には合ってるのかもなぁ。」


ちょっと、やけ気味につぶやくと、ドリンクバーへ向かった。
テーブルに置いたままの手帳には「別にこれといって異常は無し」と半ばやけ気味に書きしるしてあった。


~~~~~


かなよは2日ぶりの出勤となった。

従業者入り口にたどり着いたとき、

かなよは本能的に嫌な胸騒ぎを感じた。

自分を落ち着かせるため、深呼吸をして、

店の中へと入って行った。


ロッカー室でその嫌な感覚を確認するように、

慎重に制服に着替えながら、神経を研ぎ澄ませて、

店内の雰囲気を感じ取る。


「かなよちゃんおはよう!」


そこに、かなよと同じ、昼からのシフトとなっている真緒がやってきた。


「あっ、お、お、おはようございます。」


かなよは驚いた表情で真緒の方を振り向いた。


「どうかしたの?」


真緒はきょとんとした顔でかなよを見つめている。


「え、いや、ちょっと考え事をしてたんですぅ。」


かなよは苦笑しながら応えた。


「あっ、そうなんだ。今日もがんばろうね。」


真緒は何事も無かったようにささと着替えを済ませて、

店内に向かっていった。


「あ、待ってくださーい。」


かなよは慌てて、着替えを済ませると真緒を追いかけた。


店内に入り、かなよは店内を隈なく見回した。

これといって変化はない。

そう思った瞬間、まりりんと目が合った。


「とうとう来たんだ。」


かなよはつぶやいた。
そして、軽く会釈だけ済ませると、

冷静さを装いつつ、何事もなかったように作業を開始した。


しかし、まりりんは不確かな反応を感じ取った。


「あいつは人間じゃない!」


まりりんはかなよをずっと見つめていた。

病気になった時。
かかり付けの病院があると信頼して身を預けられるように、
評論家と云われる人も、
お気に入りの評論家を数名知っていると、
じゃ、その人の薦める作品なら大丈夫だろう。
という知識の道しるべとなる。

今日、読み終えた本。
『ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック/ピーター・バラカン』(光文社知恵の森文庫)

ピーター・バラカンさんは信頼できる音楽評論家の一人。
彼が推薦する音楽はほぼ僕にとって大切な音楽となっている。
現在は「インターFM」で番組をされているらしいけど、
関西在住の僕は残念ながらOAを聴くことはできない。

僕がよく聴いていたのはNHK-FMで番組をされていた頃。
今でもたまに聴くブルガリアの民族音楽「ブルガリアン・ヴォイス」は、たぶん、彼の放送を聴いていなければ出会うことは無かったかもしれない。

この本はタイトルが示す通り、彼が日本に来る前。学生時代から出会った音楽を項目別に語った語りおろしの作品。

ただ、彼が好きだと語った曲はもちろん大好きなんですけど、
彼が大嫌いだ。と語った音楽も僕は好きだったりします。
「嫌いも好きなうち?」じゃないと思いますが(笑)
たまに、大嫌いだと語った音楽を聴きながら、
「あぁ、バラカンさん嫌いそう。」なんて思いながら聴くのも歪ながら味わいのある音楽の聴き方なのかもしれません。(笑)

生存確認。


仕出し屋の忙しさとイーモバの絶不調によりますダブルパンチで、

ほとほと疲れております。


ただ、救いなのは本を読む気力は残っているようで、

今日は2冊読了しました。


『疾風ロンド/東野圭吾』(実業之日本社文庫)

『雀蜂/貴志祐介』(角川ホラー文庫)


自分でもびっくりですが、

精神的に物語に飢えていたんでしょう。

どちらも文庫書下ろし。


特に東野圭吾さんは本屋の天敵である電子書籍には懐疑的なのがありがたいです。


でも、この両作品。面白かったんですけど、

おすすめできるかと聞かれたら…。

どちらも正直言うとあっけない感じがしました。


何かしっくりこないというか、

特に「雀蜂」はどんでん返しについていけずに終わっちゃった感じがしました。

ここまで引っ張ってこの返しはないんじゃない?

ネタバレになるので書きませんけど…。

俺自身、中学生の頃に雀蜂に追いかけられるというトラウマを持ってますので、

どんでん返しは無しにストーリーを展開してほしかったかな。

なんて思いました。


「疾風ロンド」はドラマ的にはとても面白いんですけど、

ラストがちょっと急ぎ足になってる感じがしたので、

登場人物たちの顛末をもうちょっと書ききってほしかったと思いました。


いろいろ書きましたけど、

やっぱり読書はええなぁ~。

と思った次第。


で、他の人はどう思ったのか?

さっそく、アマゾンのド素人(俺もだけどね。笑)

の評価をみてみました。


うーん。さすがに厳しい感じですね。


ただねぇ。低評価しているやつの文章が幼稚臭くて、

改めて、こういうやつらのようにはなったらあかんなと思った次第です。


悪いのなら、どう悪いのか?

ただ、けなせばいいっていうわけじゃないと思うんですけどね。