ほらでいっぱいの町にぼくのうそが白い息と共に流れてる -25ページ目

ほらでいっぱいの町にぼくのうそが白い息と共に流れてる

わたしはかもめ。飛べないかもめ。日記みたいなもの。

冬がやってきた。
自慢げに小さく咳を吐いて、
白い息が冷えた空へ軽く舞い上がる。
冬は叫ぶ、


「気温よ下がれ、お前たちの出番は終わった。今は夏じゃない。お前たちは森の動物たちと一緒に冬眠するがよい!」


ぶつぶつと愚痴を言いながら、気温たちは引き下がっていく。
冬が肩を揺らして大いに笑う。





気温の1度が地球の真裏に全力疾走で駆け抜けて、
夏の元へ訪れる。


「夏さん。」


「どうした。1度。」


「僕は冬が嫌いだ。」


「俺も冬は嫌いだ。あんな暗い奴、相手にしなくてよい。さぁ、俺と一緒にエンジョイしよう!」


1度はよろこんで夏に溶け込んでいった。





別の1度は引きこもっている秋の元に向かった。
秋の扉をノックしても、返事は返ってこない。
何度も何度もドアをノックすると、
気力のない返事と共にドアが開いた。


「何か用?」


秋は顔色も悪く、何日も、いや、何か月もこもっているからだろう。
目が死んでいた。秋の瞳に映る1度はどこか寂しげに見えた。
1度はそんなことはないと、身震いをして、秋に尋ねた。


「ねぇ、秋さん。家に閉じ籠ってないで外に出ようよ。」


「しんどい。」


秋はそういうとドアを閉めようとした。
1度は慌てて、


「ちょっと、待ってよ。」


「なんだよ。」


秋は迷惑そうな顔を1度に向けた。


「君が出てこないと、冬が我物顔で地表の気温を下げてしまうんだ。夏と冬の間には君の存在が必要なんだよ。」


1度は必死に秋の必要性を語りかけた。


「俺にそんなこと、言う前に気圧に言えよ。俺なんて忘れられた存在なんだよ。もう、帰ってくれ!」


そういうと、秋は乱暴にドアを閉めた。
ガチャと鍵をかける音が響いた。


「ちぇ、なんだよ。」


1度は舌打ちをして、その場を離れた。






1度が秋の住む家を出ると、大きな音が近づいてきた。


「なにしょぼくれた顔してるんだよ!」


春だった。


「さては、秋を説得しようとしたんだろ。ダメダメ。もうあいつの出番は終わりだよ。」


と、春は高らかに笑った。
そんなに笑うことも無いじゃないか。
1度はそう思ったが口には出さなかった。
春は笑うのを止めると、真顔になって1度に話始めた。


「秋にしろ、俺にしろ、季節というやつは人間様には用がないんだよ。冬と夏さえあればいいのさ。」


「そんなことないと思うけど…。」


1度は小さな声で反論した。


「いいや、そういうことさ。俺たち四季は自然があってこそ、成立する1年と云う地球の周期と関係した現象なわけさ。でも、どうだよ。自然は破壊されて、地球上に無かった物質が大気を汚染して、俺たちのバトンを崩してしまった。冬と夏はいいさ、一方は寒さを保てばいいし、もう一方は暑さを保てばいい。その中立的なバランスを俺と秋は保たなければならない。でも、俺たちの出る幕はもうないようだな。親しかった山や海が死んでいるのを目の当たりにして、秋は引きこもってしまった。俺はこうして当てのない旅を続けなければならない。少数でもいい。俺を必要としている場所をもとめてね。しかし、そんな場所ももう無くなっちまったようだな。」


1度は反論できなかった。
春は弱弱しく笑って、


「これからどうするんだ。」


と1度に尋ねた。


「わからない。」


1度は正直に答えた。


「一緒に行くか?お前が居ると、とりあえずは他の季節と間違うこともないだろうからな。寒い春は俺はごめんだ。」


そういうと、1度を春の乗る乗り物へ導いた。
1度は春に大きくうなずいて乗り込んだ。
どこかで春の存在を見つけてくれることを祈りながら。

(前回のつづき)


「かなよちゃん。話があるって何?」


店長のタカヒロは言った。
全員の視線がかなよに集まった。


「実は…。」


かなよは意を決したように話し始めた。


「みなさんに知ってほしいことがあるんです。」


そして、かなよは衝撃の事実を語り始めるのである。


ここでCMです。


「CMじゃねーだろ。」


ダメっすか?


「どこまで引っ張るんだよ。」


タカヒロは隣に居たヒデユキの頬を引っ張った。


「イテテテ…。何すんだよぉ!」


「えっ?あっ、ごめん。」


タカヒロは謝った。

しかし、タカヒロはなんで僕はこんなことしたのだろうと首をかしげた。


がははは。


「おいっ、作者ぁ!」


はい? 呼びました?


「だから、なんで引っ張ってるんだよ。」


つぎは隣のえりかがヒデユキの頬を…。


「だから違うって!」


…。はぁ?


「はぁ? じゃねーよ。おめーが早くストーリー展開しねぇーから、かなよが、「実は…。」の「は」の口のままで固まってるじゃねかよぉ。」


「ふがふが…。(苦しい)」


あっ、ほんまや。(笑)
でも、なんかさぁ、あっさりとストーリーが展開したら、おもしろないですやんぅ。


「…。」


…。


「お前、馬鹿か?」


でへっ。(照)


「でへっ。じゃねぇよ!」


かなよは強引に物語を続けた。


「で、実は…。」


「お、おいっ、突然、戻すなぁよぉ。」


「えっ?」


かなよは驚いて、ヒデユキの方を見た。


「あっ、ごめん。」


ヒデユキはかなよに謝った。そして、こちら側を睨んだ。

でも、著者は気にしなーい♪


「あ、あのぉ。わたし、実は裏山に住んでるたぬきなんです。」


全員が信じられないという表情でかなよを見た。


わぁ、みんなの顔おもしろい。


ここで一時停止ぃ♪

と、ここでまたCMで~す。


(全員)「…。」


(あれぇ。全員がこちら側を睨んでるぅ。泣)


次回、ファーストシーズン最終回に続くぅ。

何気ない日常の中にも秒単位でそれなりのドラマは起きている。
まず、生きていること自体がドラマなのだ。
わかっていてもやっぱり現代の高速な時間の流れに身を任せて、
とりあえず、今日も終わったと帰りに自販機で買った缶珈琲の暖かさで今日の終りを実感する。

でも、それでいい。
それがいい。
無理をせずに時間と自分自身に正々堂々と向き合う。
それが大切なのかもしれない。

今、読み終えた本。
『ふるさと銀河線 軌道春秋/髙田郁』(双葉文庫)

9編が収録された短編集。
主人公たちのドラマの中に微かに列車の音が響いている。
遠くに列車の音を聴く度にふと、
そこに乗車している名も顔も知らぬ人たちの人生を思い浮かべる。
もちろん、毎回じゃないけどね。(笑)
ただ、ふと意識が微かに聞こえる列車の音を心で聴きとる。
そんなときに思ってしまう。
たぶん、尋常な精神じゃない時なんだろうね。(苦笑)

髙田郁さんは「みをつくし料理帖」で人気作家になった人。
彼女の厳しくも優しい言葉の構成力は、活字を追いながらも彼女の心も追っているような感覚にとらわれる。
この作品も内容によっては救われない現実の中で、たくましく生きていく人たちが温かな目線で書かれている。
年末の忙しい日々に、ふとこの本を読めたことが、
ひとつの大きな気分転換になりました。

本を読み終えた幸福感に今、包まれています。