ほらでいっぱいの町にぼくのうそが白い息と共に流れてる -14ページ目

ほらでいっぱいの町にぼくのうそが白い息と共に流れてる

わたしはかもめ。飛べないかもめ。日記みたいなもの。

まだまだ学生の頃の話。
だから、ずっとずっと昔の話。

部屋にテレビなんてありえない話。
だから、情報の発信元はラジオ。

今でもテレビよりもラジオの方が好きなのはその名残なのかも。

当時は「ヤンタン」や「ヤンリク」など、
勉強しながら聞いていた。
ちょっと背伸びして、「オールナイトニッポン」を雑音まじりで聞いていたっけ。
中学生にとって、午前1時は未開の時間。
ちょっといけないことをしている気分になってラジオを耳元まで持ってきて、
布団をかぶって聞いていた。

ただ、日曜の夜はどこか寂しい。
まだNHKラジオも「ラジオ深夜便」が放送開始される以前の頃。
午前1時を過ぎるとラジオ局が一斉に放送が終わる。
もちろん、当時はテレビの放送はもっと早く終わっていた。

微かなノイズだけが残った部屋はどことなく終末的な感じがして、
怖くなって日曜だけは夜更かししないようにしなきゃ。
と、早めに就寝してた。
日曜日は、いつも聞いているにぎやかな番組はなくて、
どこか大人向けの番組が多かった気がする。
それに、目が覚めたら、月曜の朝と云う憂鬱な要素が加わって、
日曜の夜なんてこなくていいのに。
と、本気でうらんでたあの頃。

今になってみると、
メリハリが利いていて、
なにもかもがボーダレスな時代になった今。
子供たちはそんな中で、
メリハリの無い育ち方をしているんだろうな。
なんて思ったらちょっと可哀想な気がした。
朝、目覚めたら外は雪景色。
あるラジオ番組では、
30歳までが雪が降ると喜ぶらしい。

ふむふむ。

たしかに、うれしくないや。

2月になって、暦の上でも春。

しかし、なーんで寒いんじゃぁ!

まぁ、雪のバレンタインデイも乙なものなんじゃないっすか。

といいつつ、心の中では、
凍結した道でこけろぉ。馬鹿カップルめぇ!
と、悪態をついて、自分を慰める初老のおやじなのであります。

明日はオフ。
愛犬ビビとまったりと過ごす予定なり。
今日の夜、本屋のバイトを終えて家路に着く途中。最後の上り坂を上がりきる前方の道端に大きな塊が鎮座していた。あぁ、この数日の寒さで野生の鹿が道路に下りてきて車に轢かれたんだな。あまり見たくないなと思っていたら、その塊が微妙に動いている。
生きている。
俺は少しはや歩きで、その場所へ向かった。
車に轢かれた鹿は、事切れる寸前ではあるが、確かに生きている。しかも、首だけ白線から出ている。
夜、街灯から少し離れていて、しかも、坂を上りきった場所なので、鹿の首が再び車に轢かれるのは時間の問題であった。
どうするばいいんだろう。
こういうシチュエーションに遭遇したことないので、どうしたらいいのかわからず、ただ、鹿のそばにいて、上ってくる車に危ないと知らせるしかできない。
すると、遠くにいたおじさんがこちらにやって来た。どうやら、この状況から、一度離れたが、どうしても気になって、さらに、俺が対応し始めた事で、戻ってきたようだ。
俺はおじさんに、
「どうしたらいいですかね。」と尋ねてみた。
すると、
「翌朝はカラスが来るから大変だ。」
と、あまりよい返事はしてくれず、とりあえず、警察に連絡するしかない。
と云うことで、110番を携帯からかけた。
事情を説明して、警察から「どうされます?」と聞かれたので、とりあえず、警察が来るまでは、この鹿を見守るしかないので、
「居ます。」と返事をした。警察を待つ間、おじさんは「あんた優しいなぁ。」という言葉を残して何事も無かったように帰っていった。
えっ!帰るの。
俺は呆気にとられながらも、とりあえず、自宅に遅くなると連絡を入れておくことにした。
携帯を閉じたと同時にパトカーがやってきた。
どうやら、パトロール中の警官が来てくれたみたいだ。しかし、警官2名もこういうシチュエーションは味わったことが内容で、3人でどうしようか?と悩んでいたら、市役所の人と猟友会の人が来てくれた。その人の話では、俺より前にこの現場を見て保健所に連絡を入れたようだ。
とりあえずパトカーが道に止まって居ることで、車が鹿に近寄ることもなく、さらに専門家が来てくれた事でひと安心。
ただ、俺が警察から氏名などを訊ねられている瞬間に、鹿は安楽死と云う事になったようだ。
道路には血がべっとりと着いてあり、鹿の角がいっぽん、ぽっきりと根からとれていた。轢いた車はそうとうダメージを受けているようで、車が通る度にガチャガチャと部品を踏みつける音がしていた。道路に散乱した車の部品を足で脇に蹴った後に、警察の人が「車種はホンダだな。」と言っていた。前方についてあるマークまで外れていると云う事は、相当なダメージ受けている事だろう。
そろそろ、解散となる直前、一台の車が猛スピードで横切っていった。慌てて警官がパトカーに乗り込んでサイレンを鳴らしながら追いかけて行った。呆然と立ち尽くす俺と市役所の人と猟友会の人。
もしかしたら、鹿を轢いた車が慌てて逃げるように去って行ったのかな。
結論は出ないまま。ここで帰宅した。