山南修(CV: 江原正士)
オリジナルシリーズで山南修が登場したのは、アニメ映画『ヤマトよ永遠に』だけであるが、設定上では、沖田十三や土方竜の後輩に当たる。宇宙戦艦ヤマト艦長に就任するまでは、イカルス天文台へ併設された宇宙戦士訓練学校の校長として、宇宙戦艦ヤマト新乗組員の養成に当たっていた。プロデューサーの西崎義展のイメージを受け、総作画監督の宇田川一彦が、イギリス映画界を代表する俳優の1人、リチャード・バートンを元にデザインした。但し、本編での肌の色は色黒にされている。暗黒星団帝国の地球侵攻を機に、宇宙戦艦ヤマトの艦長となり、宇宙戦艦ヤマトを暗黒星団帝国の母星(デザリアム星)へ発進させる。古代進を始め、宇宙戦艦ヤマトの旧乗組員へ「ヤマトの旧乗組員を特別扱いしない」と宣言し、特に、戦闘では冷徹に指揮を執っている。デザリアム星での最終決戦で、大型ミサイルの被弾によって致命傷を負い死亡するが、その際にも「部品の1つが壊れただけだ」と言切って、古代進達を叱咤してから息絶えた程である。劇中では、沖田十三や土方竜のようなカリスマ的な指揮でなく、クルーの能力を拾い上げて活かしていくタイプの指揮官として描かれている。
リメイクシリーズでは、沖田十三の信頼する部下として登場する。リデザイン担当は結城信輝。容姿については、顔は色白で頬髯や顎鬚を生やしたもの、体格はやや細身と、それぞれオリジナルシリーズとは全く異なるものに変更されている。性格については、『宇宙戦艦ヤマト2199』では、楽観主義者と設定されていたが、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』では、楽観主義者を装っているだけで、本当は現実をドライに捉えている、という設定に変更されている。
『宇宙戦艦ヤマト2199』第1話・第3話・第11話に登場。沖田十三が座乗する金剛型宇宙戦艦「BBS-555 キリシマ」の艦長として登場する。年齢は48歳。制服の襟の裏地は緑色。第3話での宇宙戦艦ヤマト発進の際には、土方竜と共に、金剛型宇宙戦艦「BBS-555 キリシマ」から敬礼をもって見送る。なお、むらかわみちおの漫画版では、この直前、宇宙戦艦ヤマトを目掛けて発射された惑星間弾道弾の軌道を変更しようと試みて攻撃を加えたが、着弾(予想)時刻を数分遅らせる以上の成果は上げられなかった。第11話の回想シーンでは、劇中から8年前のガミラスとのファーストコンタクト時も、金剛型宇宙戦艦「BBS-555 キリシマ」の艦長を務めていたことが判明する。アニメ映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』では、プロローグにのみ登場。『宇宙戦艦ヤマト2199』第3話冒頭直後に、月面駐屯地で救助を待っていた空間騎兵隊の生存者達を回収する。
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第1話の「8番浮遊大陸奪還作戦」のエピソードで初登場。テレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト2』における、土方竜の役回りを兼ねており、地球連邦航宙艦隊総旗艦、前衛武装宇宙艦1番艦「AAA-1 アンドロメダ」艦長として登場する。制服の襟の裏地は青色。第1話では、ガトランティス艦隊を拡散波動砲によって8番浮遊大陸ごと壊滅させる。第5話では、前衛武装宇宙艦1番艦「AAA-1 アンドロメダ」で宇宙戦艦ヤマトの航海阻止に動くが、最終的には、司令部の命令で宇宙戦艦ヤマト追撃を中止し、収容していた元ヤマト航空隊の教え子達を宇宙戦艦ヤマトに向かわせる。この時、副官からこうなること(宇宙戦艦ヤマトの航海が追認され、航空隊員が宇宙戦艦ヤマトに転属すること)を予期していたのでは、と言われている。第17話では、本格侵攻を開始したガトランティス軍に対して、波動砲艦隊を率いて出撃し、土星圏で迎撃を開始する。波動砲と時間断層による物量をもって戦局を進めるが、第18話でワープしてきた白色彗星には、波動砲の総攻撃が全く通じず艦隊は壊滅し、親友の安田俊太郎一等宙佐(前衛武装宇宙艦「アンドロメダ級」の派生型、空母型「AAA-3 アポロノーム」[「アンドロメダ級」の3番艦]艦長)を始め、多くの者達を失って、地球・ガミラス連合艦隊に後を任せ、地球へ帰還する。第21話では、前衛武装宇宙艦アンドロメダ級の改良艦「ZZZ-0001 アンドロメダ改」に搭乗し、無人戦闘艦型の自律無人戦闘艦「BBB アンドロメダブラック」で編成された艦隊を率いて、都市帝国上方から攻撃するもやはり通じず、自艦以外は全滅してしまう。しかし、都市帝国からの脱出を試みる宇宙戦艦ヤマトを発見すると、単艦での奮戦を経て、波動実験艦「銀河」と協力して重力源を破壊し、宇宙戦艦ヤマトを救出する。その直後に自艦は轟沈してしまうが、山南修は加藤三郎の零式52型改 自律無人戦闘機 ブラックバード(有人先導機)に救出されており、重傷を負いながらも生還する。初期段階では、前衛武装宇宙艦1番艦「AAA-1 アンドロメダ」艦長は新キャラクターの予定であったが、脚本担当の1人である岡秀樹が、山南修を将来の宇宙戦艦ヤマト艦長という立場への種まきとして使用することを提案し、山南修が前衛武装宇宙艦1番艦「AAA-1 アンドロメダ」艦長となった。
『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』では、第65護衛隊隊司令として旗艦の宇宙戦艦ヤマトに乗艦し、ドレッドノート改級戦闘空母「ヒュウガ(DCVー01)」とドレッドノート改級補給母艦「アスカ(DAOEー01)」を率いて、新兵の訓練を兼ね、平和使節団をガミラス星とイスカンダル星へ送り届ける任務に就く。ガミラス星の崩壊を受けた反乱で、地球全権大使の芹沢虎鉄と駐地球大使のローレン・バレル共々排斥され、ガミラスの転移門の守備隊に引渡される。なお、ガトランティス戦役後に宙将への昇任の打診があったものの、本人は ガトランティス戦役の責任を取る形で地球防衛艦隊総司令を辞任、宙将への昇任も辞退し、若い者達を育てることが、ガトランティス戦役で多くの者達を死なせてしまった自分の責任の取り方と考え、育成部隊への転任を希望したという裏設定があるという。
アニメ映画『ヤマトよ永遠に』で、山南修の声を担当したのは、声優・俳優・ナレーターの小林修である。声種が「ボリュームがあるバリトンの小林修は、吹替え草創期より活躍しており、役どころとしては、威厳のある地位の高い役、心強い父親役が多く、青年から老人まで広くこなしていた。オリジナルシリーズでは常連の1人であり、『宇宙戦艦ヤマト』第1作でドメル将軍、アニメ映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』とテレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト2』でズォーダー大帝を演じる等、『宇宙戦艦ヤマト』旧シリーズには頻繁に出演していた。
リメイクシリーズでは、声優・俳優・ナレーターの江原正士が、山南修の声を担当している。音域がハイバリトンの江原正士は、俳優として大河ドラマや2時間ドラマ等に出演した後、1990(平成2)年からは、主に声優として活動するようになった。役を作り込み、シリアスな役からコミカルな役、陽気な役柄から冷酷非道な悪役まで、役柄を問わない多彩な演技力を持ち、土方竜役を演じていた石塚運昇が亡くなった後、石塚運昇の一部の持ち役を引継いでいる。また、リメイクシリーズで、真田志郎の声を担当している大塚芳忠とは、約40年の付合いという。