CH パプ・クレマン詳解 その4
シャトー・パプ・クレマン その4
Chateau Pape Clement
AOC Pessac Leognan
ボルドーにおいて最も古いシャトーと葡萄畑の1つを有するパプ・クレマンは、ペサック近郊の有名なシャトー・オー・ブリオンから数㎞のところに位置している。歴史的には、パプ・クレマンはボルドー地域の最も重要なシャトーの1つであった。もともとの所有者の1人、ベルトラン・ド・ゴは1299年にこの田舎の地所を買い取り、、その6年後に法王クレマン五世となった。教皇の座を陽光のまぶしい、神聖なプロヴァンスの町、アヴィニョンに移すという彼の大胆な決定は、フランス人に称賛された。この歴史上の一時期は「バビロン捕囚」として知られ、アヴィニョンの外にあるシャトーでクレマン五世によってつくられたワイン、シャトーヌフ・デュ・パプという名とともに人々に記憶されている。クレマン五世はアヴィニョンにとどまり、パプ・クレマンの畑を教会に譲り渡し、そこはフランス革命のさなかに剥奪されるまでは、誰に邪魔されることもなく営みを続けていた。
1937年の凶暴な嵐のような雹で完全に打ちのめされてしまった葡萄畑は、1939年にこのシャトーを購入した、卓越した農業工学者であったポール・モンターニュによってよみがえった。現在、シャトーは故モンターニュの相続人が管理しており、運営は、ベルナール・マグレが担い、多大な情熱とエネルギーを注ぎ込んでいる。
1950年代、1960年代、そして1970年代初めにはパプ・クレマンの品質を疑う者などいなかったのだが、細部への注意不足や、設備への投資を怠ったことから、1975年以降、質の低下が深刻なものとなった。その後の10年にこのシャトーがつくったワインはしばしばカビ臭く、新鮮さに欠け、早い話が出来の悪いものだった。貧弱から凡庸なワインが続いたが、それは1985年、若くて熱心なベルナール・プジョルが雇い入れられて終わりを告げた。プジョルには、パプ・クレマンの品質を復活させるための全責任が与えられ、その最初の結果が深遠なる1986年に表れた後は、偉大なオー・ブリオンやラ・ミッション・オー・ブリオンに近づき、肩を並べるほどになってきている。プジョルは1990年代の後半に辞し、ベルナール・マグレは聡明なワイン醸造コンサルタント、ミシェル・ロランを雇った。
パプ・クレマンは極度に軽い、砂利質の土壌の上にあり、よくできたときには魅惑的で抗しがたいブーケがあり、タバコとミネラルの強い香りと混じり合ったたっぷりとした黒系果実の香りがする。メルロの割合が比較的高いため、ごく若いうちから飲めるし、最高のヴィンテージには数十年間熟成し続けるものもある。1980年代後半の5年でパプ・クレマンはボルドーの花形の1つになり、2001年、2000年、1998年、1996年、1990年、1988年、1986年といった深遠なワインを生み出した。
彼らの品質への新たなこだわりは、希少な白ワイン用の畑の割合が増加していることでもわかる。昔はごくごくわずかな生産量(通常100ケース以下)はシャトー専用であったが、今は600ケース近い白ワインをつくっている。手短に言えば、ここはボルドーのスーパースター・シャトーの仲間入りをしたのである。
一般的な評価
骨の髄までエレガントで、複雑で、ボルドーの中でも最も独特なワインであるパプ・クレマンは、1986年のヴィンテージ以降、とりわけベルナール・マグレがこのシャトーを手に入れてからは絶好調である。マグレは、1990年代後半以降のヴィンテージが実証しているように、このシャトーをボルドーの最高レベルに押し上げようと、懸命にあらゆる努力をしている。抜け目のない愛好家ならぜひとも買うべきワインである。
歴 史
聖職者ベルトラン・ド・ゴ(1264年生)は、ピレネーのコマンジュの司教となり、1299年にボルドーの大司教となります。大司教就任を祝して、ローマ法王よりぺサックの“モット”と呼ばれる葡萄畑を領地として与えられたとの説と、パーカーが記述している様に地所を買い取ったとの説があります。
買収説では、街中からすぐ近くに別荘を建てる土地を求め、自分のための葡萄畑を作ったとされています。
いずれにせよ、葡萄栽培には熱心だったようです。1305年に棚ボタでローマ法王になってしまったので、後任の大司教に引き継がれ、フランス革命により国家に没収されまで、教会所有が続きます。一説では、従前無秩序だった葡萄の苗木を整列栽培するようにしたと言います。整列することにより、葡萄樹の管理が飛躍的に楽に成ったと言われ、フランスにおける整列式管理を導入した最初のシャトーと言われています。財産没収後、領地は複数の所有者に引き継がれていきます。
1858年、ボルドーのワイン商ジャン・バプティスト・クレールが購入し、ワインの質をより高め、ジロンド農業組合からは金賞を、さらに1878年のパリ万博では、農務省大賞を得たようです。
1937年、雹害により大打撃を受け、その2年後、ポール・モンターニュの手に移り。彼は領地の都市化に対する圧力に耐え抜いて(敷地が予定道路となった)再建に取り組み、シャトーを再生させます。
その後、後継者のレオ・モンターニュとベルナール・マグレによって、シャトーの伝統が引き継がれている。
ペサックの河川礫層の特徴が、スパイシーでスモークがかったブーケを生みだしており、特徴的な香りとされています。
価 格 Chateau Pape Clement
2000年 £169 2008年 £ 94 2016年 £ 91
2001年 £130 2009年 £162 2017年 £ 77
2002年 £ 90 2010年 £182 2018年 £ 83
2003年 £125 2011年 £ 84 2019年 £ 69
2004年 £ 99 2012年 £ 83 2020年 £ 67
2005年 £177 2013年 £ 69 2021年 £
2006年 £104 2014年 £ 79
2007年 £ 86 2015年 £102
WINE SEARCHER 2022.4.8記
クレマンタン・デュ・パプ・クレマン
Clementin du Pape Clement
AOC Pessac Leognan
年間生産量 3,000本
平均樹齢 27年
植栽密度 7,300本/ha
植栽比率 カベソー51% メルロー46% プテ・ヴェ 2% カベフラ 1%
平均収量 37hl/ha
畑 面 積 53ha
アッサンブラージュ
2021年 カベソー45% メルロー54% プテ・ヴェ 1%
○ 2009年 PP~PP Robert Parker Wine Advocate Dec 2011
2番目のワインである2009年の Le Clementin du Pape Clement は、同様のブレンドから作られています。甘いタンニンとたくさんの赤と黒の果物に、スモークハーブ、木炭、鉛鉛筆の削りくずやハーブのヒントが混ざり合って、より緩やかにまとめられています。青々とした丸みを帯びたミディアムボディで、今後10年間の飲酒に最適です。 予想される飲み頃 2022年まで
○ 2010年 PP92 Wine Advocate #205 Feb 2013
おそらく私がパプ・クレマンから味わった中で最高のセカンド・ワインです。それは確かにその高品質を考慮して、より少ない選択として考えるべきではありません。濃密なルビー/パープル、スモークハーブ、青と黒の果物、クレオソート、クスノキのノートを持つワインは、1970年代と1980年代のほとんどのパプクレマンよりも優れています。 予想される飲み頃 現在から2028年
○ 2011年 PP90 Wine Advocate #212 April 2014
パペ・クレマンはフランスの中で最も華麗に運営されているシャトーの一つであり、セカンド・ワイン、2011年クレマンタン・デュ・パプ・クレマン(60年代後半と70年代に作られた多くのパペ・クレマンよりも優れています)に反映されています。消費者は、1305年に教皇クレメント5世となったフランスの最初の教皇ベルトラン・デ・ゴスの住居であったこの歴史的なシャトーを復活させる彼のコミットメントに対する所有者ベルナール・マグレに感謝することができます。ボルドー郊外のブドウ園から、オー・ブリオン、ラ・ミッション・オー・ブリオン、レ・カルム・オー・ブリオンからわずか数キロのこの豊かで層状のしなやかな2011年は、セカンド・ワインのための素晴らしい成果です。 予想される飲み頃 現在から2029年
○ 2012年 PP89 eRobert Parker com April 2015
ディープルビー/パープルそれは1970年代と1980年代初頭にパペクレマンのほぼすべてのヴィンテージよりも優れています。梅、カシス、タバコの葉と甘草のノートと深いルビー/パープル、ワインは甘い、しなやかなタンニンと長い頭の終わりで、ミディアムボディです。これはすでによく飲んでいます, また、いくつかの急成長の複雑さを示しながら。 予想される飲み頃 現在から2030年
〇 2013年 VP88~VP90 Antonio Galloni Vinous.com Apr 2014
2013年の Le Clementin du Pape Clement は、ダークチェリー、ゲビエ、プラム、スモーク、ダークスパイスで締められています。今年の濃厚で質感のあるワインである2013年 Clementin は、この非常にトリッキーなヴィンテージのアペラシオンの強さの素晴らしい例です。スモーク、ゲーム、アーシーなノートがテクスチャーのある上品な仕上げに再び現れます。
○ 2013年 PP84~86 Wine Advocate Aug 2014
ベルナール・マグレズのゴッドセカンドワイン、2013年 Le Clementin du Pape Clement は、柔らかく熟したベリーフルーツとミディアムボディの口当たりを持っています。 予想される飲み頃 2019年まで
○ 2015年 PP90 Lisa-P- Brown Wine Advocate Feb 2018
2015年の Le Clementin du Pape Clement は、ミディアムガーネットパープル色で、温かいプラム、桑の実、アースの香りの香りのノーズにドライハーブのタッチが施されています。ミディアムボディでしっかりとしたテンションとグリップ力があり、長くフルーティーに仕上がります。
○ 2018年 PP92 Lisa-P- Brown Wine Advocate Apr 2021
深いガーネット・パープルの2018年Le Clementin du Pape Clementは、熟したブラックカラント、ジューシーなブラックプラム、杉の箱のクラシックな香りに加えて、グラファイト、月桂樹の葉、燻製されていない葉巻、エスプレッソのタッチで自信を持ってグラスから出ています。ミディアムボディでエレガントなスタイルの味わい(アルコール度数13.5%)は、きめの細かいタンニンとシームレスなフレッシュさが特徴で、明るいブラックフルーツのフレーバーをサポートし、ミネラル感のある香りで仕上げる、セカンドワインにふさわしい優雅さと存在感があります。
Clementin du Pape Clement
Wine Searcher Average $37 2016.03記
Les Cles de Pape Clement
AOC Pessac Leognan
Wine Searcher Average $41 2016.03記
ル・プレラット・ド・パプ・クレマン
Le Prelat de Pape Clement
AOC Pessac Leognan
畑 面 積 53ha
年間生産量 3,000本
平均樹齢 27年
植栽密度 7,700本/ha
植栽比率 カベソー51% メルロー46% プテ・ヴェ 2% カベフラ 1%
平均収量 37hl/ha
アッサンブラージュ
2012年 メルロー70% カベソー30%
de が削られ、Cuvee に変更されたのでは?そして元へ?(下)
Le Prelat Pape Clement
Wine Searcher Average $41 2016.03記
シャトー・パプ・クレマン詳解 1986年~2000年 その1 詳解はこちら
シャトー・パプ・クレマン詳解 2001年~2012年 その2 詳解はこちら
シャトー・パプ・クレマン詳解 2013年~ その3 詳解はこちら
シャトー・パプ・クレマン詳解 その4 詳解はこちら
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