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セカンドワイン考

                    ぶどう セカンドワイン考
 

 

 ル・プティ・リオン・デュ・マルキ・ド・レオヴィル・ラス・カーズLe Petit Lion du Marquis de Lascases が、2007年ヴィンテージからレオヴィル・ラス・カーズのセカンドとしてリリースされています。


                
 

 従前クロ・デュ・マルキがセカンドとされていたのですが、ご存じのように別格セカンドのレ・フォール・ド・ラトゥールとクロ・デュ・マルキはファーストとは別畑の葡萄から造られていました。


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いちご セカンドワイン(ネガティブ・セレクションとも)はフランスでは、スゴン・ヴァン~Second Vin と呼ばれ、18世紀にシャトー・ブラーヌ・カントナックが販売したのが最初であり、シャトー・ ル・コンテス・ド・ラランドが1874年ヴィンテージのセカンド・ワインし、1904年にシャトー・レオヴィル・ラスカーズがクロ・ド・マルキ~Clos du Marquisを、1908年にシャトー・マルゴーがピジョン・ルージュ~Pavillon Rouge をセカンドとして出荷したようです。

 
 シャトー・ムートン・ロートシルトでは、1927年の作柄が悪く、カリュアード・ を発売。1930年にはシャトー・ワインの販売を諦め、周囲の反対を受けながらシャトー・ムートン・カデを発売します。
 現在のシャトー・ムートン・ロートシルトのセカンド、ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロートシルト~La Petit Mouton de Mouton Rochschild は1993年からのリリースです。
 

                  

 

 セカンドワインは1980年代に一気に潮流に乗った感がありますが、始めたのは一流シャトーであり、自社ブランドの品質保持のためでであり、昨今の品質向上のための選果の厳格化により、場合により、選に漏れた葡萄の処理にも役立っていることになるのでしょう。

 

リンゴ 葡萄畑での理想的な樹齢は35年前後とも言われる様ですが、30年以上も改植を行わなければ畑全面が新しい葡萄樹となります。

 AOCボルドーでは5年未満の葡萄樹から採れた葡萄でワインを造れませんので、毎年数%づつ植え替えを行なっている様です。当然若い葡萄樹が存在しますのでセカンド用に回されるでしょうし、区画毎のロットのワインでもシャトー・ワインに使用できないものも現れることになり、セカンドは重要な役割を果たすことになるのでしょう。

 もっとも、シャトー・ワインとかけ離れたワインとなるとブランド・イメージが損なわれますのでさじ加減(選果・ブレンド等)が難しいこととなります。

 当然ブレンド比率は異なったものとなるでしょうし、新樽比率も下げざるを得ないこととなり、熟成期間も短くなるものと思われ、早飲みタイプと称される所以でしょう。

 

 冒頭のプティ・リオン2007年は、メルロー85%、カベルネ・ソーヴィニヨン15%であり、ラス・カーズはカベルネ・ソーヴィニョン58%、メルロー35%、カベルネ・フラン5%、プティ・ヴェルド3%と異なっており、プティ・リオンにはクロ・ド・マルキが10%ブレンドされているとか。


ぶどう ラス・カーズの新しい葡萄樹が一定の樹齢(樹齢8年以上?村名ワインは7年以下のものは使えないのかも?)に達したので、プティ・リオンをセカンドとし、ラス・カーズ、クロ・ド・マルキ、プティ・リオンという3本立て体制にしたのではないでしょうか。

 

さくらんぼ ところで、一般的にセカンドワインの説明として、シャトーワインとして使われない立地的に劣る区画のもの、個性の薄いワインを生みがちな樹齢の若い葡萄、醸造初期の熟成段階において選別されたワイン等がセカンドにまわされるとされており、ヴィンテージにより異なりますが概ね収量の40%程度がセカンド(場合によりサード)となるようです。

 それでは、シャトーワイン用の葡萄畑から採れた葡萄を使用しなければセカンドを名乗れないかとなると前記の様に別畑でも名乗っている様です。

 

 おそらく、当初はファーストとして使えない葡萄(醗酵済みワイン)によって造られたワインがセカンドと呼ばれたものと思われます。ところが商業的にファーストが成功すると、セカンドを名乗ることにより高価格が見込まれるため、自社の別シャトーをセカンドとするところも現れます。 例えば、2003年のクリュ・ブルジョワ・シュペリュールであるシャトー・デュ・グラナは、クリュ・ブルジョワのシャトー・シレーヌをセカンドとしていました。このケースはAシャトーのセカンドがBシャトーのワインのケースです。 

                                    

       

 もともとセカンドの定義が無いようなので、ファーストのアペラシオンがポイヤックでセカンドのアペラシオンがオー・メドックなどというのも有りと言うことになり、シャトー・ランシュ・ムーサとセカンドのレ・オー・ド・ランシュ・ムーサがこのケースとなります。所謂、村名ワインを名乗れるシャトーが域外にも畑を持っているケースは結構ありますから、今後も出てくる可能性があるのかも。

 

     

キノコ 明確にシャトーのホームページでセカンドとして明記しているものもあれば、通販でセカンド、セカンド扱い、セカンド並み、実質セカンド等の文言が踊っています。

 このようにセカンドの定義がないのであれば、極端な話、ジェネリック・ワインでもセカンドを名乗ることも可能となってしまう気がします。

 

 セカンドではありませんが、ムートン・カデは、年間1,500万本の販売量を誇り、現在コート・ド・ブライ、コート・ド・ブール、サンテミリオンの葡萄も使われているようですし、自社生産以外の葡萄も使用されている様です。このケースはシャトー・ムートンのネームバリューを最大限に利用したものだと思われます。

 

 

 セカンドの意味するところが「2番目のワイン」から「2種類目のワイン」へと変化しているような気がします。

 結局のところ、ファーストの品質を継承したワイン等の謳い文句を鵜呑みにするのではなく、セカンドの「格」を消費者が判断していかなければならないので情報の共有化とセカンドの定義化が求められているのではないでしょうか ・・・偉そうですみません

 

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