『シャトー・シトラン詳解』

　 シャトー・シトラン　

　　　　　　　Chateau Citran

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２００３年 Crus Bouregeois superiurs 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　AOC　オー・メドック　Commune アヴァンサン

～シャトー名はシトランの地名によるものと思われる。

セカンド　　　　　ムーラン・ド・シトラン

　　　　　　　　　　　　　Moulins de Citran

畑　面　積　　　９６ha

年間生産量　　３０万本

隣　接　畑　　　ヴィルジョルジュ

オーナー　　　　ベルナール・タイヤングループの傘下

　　　　　　　　　　所有関係はSAシャトー・シトラン、メルロー家の記述も

コンサルタント　ミッシェル・ロラン

作付割合　　　　カベソー４７％メルロー４８％　カベフラ　５％

平均樹齢　　　　２８年

植栽密度　　　　６，６００本/ha

収　　　量　　　　４３hl/ha

土　　　壌　　　　砂礫質と粘土石灰質

収　　　穫　　　　手摘み。１８０人体制で２週間

発酵・マセレーション　ステンレスタンク(２２，０００ℓ)２４日間

新　樽　率　　　　４０％

樽　熟　成　　　　１２ケ月から１４ケ月

コラージュ　　　　する。

濾　　　過　　　　する。

アッサンブラージュ

　　２００５年　カベソー５０％　メルロー５０％　

　　２００６年　カベソー５０％　メルロー５５％　カベフラ５０％

　　２００７年　カベソー５０％　メルロー５０％

　　２００８年　カベソー４１％　メルロー５９％　
　　２００９年　カベソー４２．５％　メルロー５５％　カベフラ　２．５％

　　２０１０年　カベソー４２％　メルロー５５％　カベフラ　３％

　　２０１１年　カベソー４５％　メルロー５０％　カベフラ　５％

　　２０１２年　カベソー４４％　メルロー４８％　カベフラ　８％　
　　２０１３年　カベソー４７％　メルロー４８％　カベフラ　５％

　　２０１４年　カベソー５１％　メルロー４３％　カベフラ　６％

飲み頃の続く期間/　収穫後６年から１４年

　

　日本企業による買収から１０年(１９８７年から１９９７年)で、このシャトーの品質は急上昇した。この成功にも拘らず、ソシエテ・ベルナール・タイヤンに売却された。

　セラーの修復、新しい所有者の肩入れ、新樽比率の引き上げ、選別の厳格化・セカンドワインの導入、総合的な優れた運営により、最近数年間に渡り素晴らしいワインを生み出すようになった。

　批判すべき事があるとすれば、新樽の使用率を上げたために、ワインに唐突で、いぶしたような、殆ど焦げたような特徴を与えた事だろうか。

　繊細さと、微妙さを持つクラレットを好んでいた人たちは、この派手な力強さには気がそれてしまう恐れがある。

　それでも、新しいヴィンテージは１０年までは旨く熟成するだろうし、シトランが以前に生産したどのワインにも増して著しく興味深く、心地よいワインである。ここはブルジョワ級のシャトーでも最上級の１つで、ワインはしばしば格付けシャトーを凌ぐ。

○　１９９９年　PP８６　Wine Advocate April 2002
　‎これは典型的なシトランです。このミディアムボディの１９９９年には、ブラックベリーと一緒にトーストオークの豪華な量があります。それは短い終わりと、スモーキーで素朴です。‎　　予想される飲み頃　２００９年まで　

○　２０００年　PP８８

○　２００１年　PP８５～８７　Wine Advocate April 2003

　‎このよく運営されているプロパティは、近年設定されている基準によってやや軽い、このダークルビー/紫色、ミディアムボディのワインは、その気楽な性格で赤いカラント、甘草、トーストの新しいオークのノートを展示しています。‎ 　予想される飲み頃　２０１１年まで　

○　２００２年　PP８８

○　２００３年　PP８６～８８

○　２００５年　PP８５～８７　Wine Advocate ♯164 Apr 2006

　ブラックカラント、甘草のノーズ、フルーティで、ミディアムボディでスパイシーです。

　予想される飲み頃　２０１５年まで　　

○　２００５年　PP８７　eRobert Parker com June 2015

　‎カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロの同一部ブレンドです。良い、密な果物だけでなく、いくつかのおいしい新しいオークとスパイスは、このダークルビー/紫色のワインのガラスからジャンプします。親しみやすく、よく示して、この２００５年は、フルボディ、熟した、非常によく作られた媒体です。‎

　　予想される飲み頃　現在から２０２０年　

○　２００６年　PP７５　Wine Advocate February 2009

　‎これは、あまりにも多くのオークと十分な果物と濃度を持つ軽い、希釈、野菜のワインです‎。

○　２００７年　PP８７～８９　Neal Martin eRobert Parker com

　‎これは非常に細かい鼻を持っています:良い果物の濃度、清潔で、非常に純粋で、活気のあるブラックベリーとスミレを第一に汚染していません。口蓋はミディアムボディで、細かい酸味とタンニンとバランスが良い。自然で、オークの慎重な量で仕上げに良い焦点。難しいヴィンテージで非常に細かいシトラン。2008年4月に味わう‎

○　２００８年　PP８５　Wine Advocate May 2011

　‎暗いガーネット/ルビー色の後には、クリスマスフルーツケーキ、赤カラント、サクラン、ハーブ、アンダーブラシのノートが続きます。‎ 　予想される飲み頃　２０１５年まで　

○　２０１０年　PP８８ Wine Advocate February 2013

　‎ヴィンテージの枕木、これは甘草、香、ブラックカラント、クリスマスフルーツケーキノートをミディアムからフルボディ、魅力的でスパイシーなスタイルで提供する深刻なワインです。ダークルビー/パープル。‎

　予想される飲み頃　現在から２０２３年まで　

○　２０１１年　PP７９　Wine Advocate April 2014

○　２０１２年　PP８５　eRobert Parker com Apri 2015

　‎非常に無駄のない、厳格な仕上げ、これは深いルビー/紫の色と熟した果実の素敵な攻撃を持っていますが、その後、角度が入ります。‎　予想される飲み頃　現在から２０２１年まで　

○　２０１３年　PP８４～８６　Wine Advocate August 2014

　‎もう一つの良い努力は、２０１３年シトランはひどく濃縮されていませんが、それは鮮明な酸、スパイシーなキャラクター、魅力的な赤と黒のカラントフルーツ、ミディアムボディと背景にオークのタッチを持っています。この適度に恵まれたオー・メドック‎。　予想される飲み頃　２０１９年まで　

○　２０１４年　PP８９～９１　Neal Martin eRobert Parker com Apri , 2015

　‎シャトーシトラン２０１４年は新鮮な鼻を持っています:ブラックベリーと溶けたタール、時間とともに浮上するタバコのヒント、スタイルでほとんどPauillac。口蓋は鉛筆の鉛と注入されたグリッピーな黒い果実と口の中で良い重量を提供しています。このシトランには少し四角い性質がありますが、ここには印象的な長さがあり、リリース時に探す別の素晴らしいHaut Medocになると思います。うまくいけば、これは大きな価値を表します。‎‎ ‎‎

歴　史

　創設は１２３５年と言われています。６００年間ドニッサン侯爵家がシトラン公として領地としていました。１８世紀のシトランの所有地は３，０００ha以上ありブローニュの森の３倍であったと言われています。現在は４０５haあり、飛び地を含めると端から端まで約１０㎞あるようです。

１８３２年にボワイエ・クローゼル家（クローゼル家・現在マルゴーのトゥール・ド・モンス所有者）が取得し、１９３２年にクリュ・ブルジョワ格付けを取得します。第二次世界大戦後、ネゴシアンのミアイユ家（クーフランの所有者、ポイヤックのコンテス・ド・ラランドの所有者もこの家系）が１９４５年シャトーを買収します。

日系企業の努力

　１９８７年、日本の「東高ハウス」が買収し、ラベルを変更したり、畑の整備、発酵室や樽熟成庫の増築、独自設計のステンレス・タンクやターブル・ド・トリ（選果台）の導入、収穫時の選果、区画や樹齢による小ロットの醸造などの大規模な資本注入を行い、一大改革を押し進めました。
　１９８７年取得当時、畑面積は８０haありましたが、畑の管理は長期間杜撰であったため、畑の状況は悲惨だったようです。剪定も行われず伸び放題、枯渇している葡萄樹、抜根されたままの個所もあった様です。

新しい植え付け１０万株、補足植え付け８万株を要したようです。葡萄の病気対策として、カベルネ４種類、メルロ３種類のクローン苗木を既存８０haと新規植え付け４haを加えた８４haに植え付けています。いわば全面植え替えですので平均樹齢が２０年といわれているのもこのための様です。

　ワインスタイルを「自分の創ったワインを飲むのに１０年も待っていられるか！１０年後生きているかどうかもわからない」との考えから、「良質ボルドーワインは非常に長寿だけれど若いうちには美味しく飲めない。社会的、経済的条件も変わってきている、いまどき１０年も２０年もワインを自宅で保存できる人はいない。シトランは２０年も３０年も長持ちしなくてもいい、でも造ったときからたのしく飲め、熟成とともにさらに美味しくなっていく、そういうワインを造ろう。」とされています。

　多大な資本投入により、ワインは名声を得ていきますが、それとともに嫉妬と憎悪も生まれた様で、１９９３年には、醸造庫の変圧器に小形爆弾が仕掛けられていたこともあったり、「あの日本人は畑を日本に持ち帰るつもりだ」という噂話がされたり、ボトリング用トラックがシトランの敷地内で破壊される、シャトーの壁にジャップは出ていけとの落書きをされたりしたようです。

　現在の所有者はベルナール・タイヤングループのSAシャトー・シトランのようです。現在実権はセリーヌ・ヴイラールが握っているようです。