一般的な家庭の普通の父親が主人公。
ある日、息子が少女殺害事件を起こしてしまう。
主人公の両親が、とんでもない事をする(ネタバレなので内容は書きません)
んだけど、「ありそう」なことだと思った。
現代社会における介護問題、教育問題を扱った話。
家族って、親子って何だろうと考えると共に、
日本人の道徳(正義感や、思いやり、正直であること、卑怯なことは良くない、
親を敬う、お年寄りには親切にとか)がなくなってきているのを感じました。
道徳観については、この小説だけでなく、普段から気になってることではあります。
自分の利益や得が先にあって、「法に触れなければいい」「見つからなければいい」
「自分さえよければいい」ような考え方が多くなってるような気がするんですよ。
身近ではゴミの投げ捨て、挨拶をしない、道を譲らない、ネット上での誹謗中傷などなど。
大きなところで未成年の犯罪増加から、企業の不正事件、今話題の政治献金などなど。
悲惨なストーリーの中、ラストの加賀刑事と父親の話は救いでした。
言葉は交わさずとも親子の絆があるのでした(昭夫一家とは対照的に)。
加賀刑事は刑事として切れ者というだけでなく、訊きこみ捜査中の加害者・
被害者への配慮も行き届いていて、その仕事っぷりにも感動。
ほんとにこういう刑事がいたらなぁ。
