製作:1935
監督:山中貞雄
出演:大河内傳次郎、喜代三、宗春太郎、沢村国太郎、花井蘭子
ストーリー>
柳生家に伝わる「こけ猿の壺」に百万両の金子の在り処が隠されていたのを
殿様が知った時には、婿養子に出した弟に持たせてしまった後だった。
壺を取り返そうと使いを送るが弟にばれてしまい、壺を巡って争奪劇が起こる。
一方、矢場の居候をしている丹下左膳は、親を亡くした男の子を連れ帰ってくるが、
男の子は金魚の入った壺を大事そうに抱えていた。
話が落語っぽーい!
林不忘という人の原作はあるらしいけれど、正に古典落語の世界。
百万両なのに、浮気なのに、親を殺されたのに、良い意味で軽い。
壺を巡っての争いの面白さもさることながら、浮気癖の殿様、憎まれ口を
言いつつも安坊をほうっておけない人情など、魅力ある人物が沢山出てくる。
戦前の古い映画なのに、セリフが聞きやすい(聞こえない時の字幕もあるし)。
職場の同僚に半ば無理やり「見るように!」と漫画山中貞夫物語とセットで
借りたDVDでの鑑賞でしたが、これは同僚に感謝です。
山中貞夫を初めて知りましたが、初監督「抱寝の長脇差(だきねのながどす)」
が22歳の時に撮影。
27歳で中国戦線に徴集されるまで五年半ほどの短い監督人生だったようです。
(29歳の若さで中国で病戦死してしまったそうです)
現存するフィルムは三本のみだそうですが、五年半で23本撮っているとか。
脅威の数ですね!
あと20本は戦争で焼けてしまったんでしょうか。
今後、見つかると良いですね。