【菊と稲荷】の始まりの物語はコチラです→『プロローグ。』
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＜あらすじ＞
『怖いと思われている稲荷の誤解を解いてほしい』
その言葉と共に、六甲山の高取神社で
「神様」という存在に、前よりも強く接続してもらった私。
前からついていたという高野山の清高稲荷大明神さまの
子狐眷属の姿も確認できるようになり、
奇妙な共同生活（？）が始まっていた。
＊＊＊
突然来たくなった神社があった。
それは一番近所に祀られる神様で。
書きたいお話として、おみくじがポイントになる神社だったのに……
菊「着いたー♪」
子狐１「ちょうど夕陽に重なってきてるね！」
子狐２「おみくじおみくじ！」
菊「……………まさかの閉まってる💧」
16:00ちょうどくらい。
悲しいことに、授与所は閉まってきて、
いつも100円入れて木箱の中から選ぶタイプのおみくじも
既に仕舞われておりました………
菊と「ど、どうしよう💧
今夜のネタ………」
などと焦りながら貸切の境内で呆然としつつ、
せっかくだからお参りはする！ と手水舎に。
見上げるともう太陽も拝殿の屋根に隠れて。
菊「……おみくじは改めてだな〜」
本殿拝殿にて、二礼二拍手一礼。
神様のお言葉聞いてみよ、と思ったら、
先に奥にもお参りを……という感じがして。
奥には拝殿の向かって右側を入る。
狭い場所だけど、そこに入ると本殿の屋根が見えて、
そのシルエットが空に映えてかっこいい。
奥に祀られる神。
それは事代主命。
でもその名には（蛭子大神）とも添えられていた。
菊「事代主命というお名前と共に
蛭子大神というお名前。
要するに "えびす神様" という存在を祀ってはるってことか」
しかも「蛭子大神」というお名前で。
それは西宮神社に祀られている主祭神と同じくらいのレベルの存在……なのかな
そんな風に思ったり。
菊「…………………」
？「にしては狭い場所にいてるんだな」
菊「……(O_O)！」
？「そう思った？」
言葉を渡された方をみると、そこにいらしたのは……事代主命。
菊「……こちらでは初めまして。
遅い時間になって申し訳ございません……」
前回のお参りで、初めてここにいらっしゃることに気がついた事代主命。
……………はっきり言って、めっちゃ嬉しい……………✨
事代主命（以下：事）「参拝し直しですね。
そろそろ寒くなるから、少しだけ話そう」
確かに日が暮れてきたら寒くなってきて。
お昼は暖かくて薄着で出てしまったのでした💧
事「昔は海の見える場所にいてね。
今はここからは見えないけどね」
菊「……はい」
事「狭い場所にって思ったでしょう？」
菊「……あ、ええ。立派な神様なので……」
事代主命は微笑んだ。
事「そんなに居心地は悪くないんだけどね。
風があの木を揺らすと、さざ波の音のように聞こえるんだ」
絵馬を並べる場所の、後ろの木の枝が揺れていた。
その葉は笹の葉のようで、
ザザ……ッと擦れ続ける音は、確かに波の音のように聞こえた。
事「空もいつも見えるしね」
菊「……本当に。きれいに見えますね」
事代主命の目線に近づいて見上げると、
そこには凛々しい本殿の屋根と空。
なんとなく狭い場所だなあと思っていたけど、
ちゃんと感じてみると、そこはちゃんとした場所でした。
菊「…………♪」
事「一つ一つを感じてみる事は大切だな」
なんかこちらの事代主命さま、お話しがスムーズ。
事「近所に住んでいるからな」
菊「え？」
事「同じ町に住んでいるから。
同じ空気の中にずっといるんだから、繋がりやすい」
まあ……そうなんでしょうね。きっと。
一番近い神社がここだから＊
菊「お名前が……蛭子大神さまでもあるんですか？」
事「名前か。
……何者かである必要はあるのか？」
菊「…………」
事「私はお前がさっき思っていたように、
基本的には "えびす神" ということだ。
でも自分でも、事代主命の名は強いと思っている」
菊「？ 事代主さまとしての名が強い？」
事「改めての参拝の時に、その意味も分かるだろう（笑）」
事「さっき、名前の事を言ったけど……」
菊「名前の事ですか？」
事「何者かである必要はあるのかと」
菊「あ、はい。おっしゃっていました」
事「その時々で役割は変わっていく。また戻る事もある」
菊「………………」
事「名前にはその者が何者なのか、表れる事もあるな。
名前だけでなく、肩書き……という場合もあるが」
菊「はい……」
事「そういう表に見える何かは、その時々で変化するものだ。
その必要があれば、そうなる。
だが、本質は……そうは変わらない」
菊「…………」
事「見えるように、感んじるように、その対象は変化していくけれど、
でも奥の奥にある本質は変わらないものだ。
そこが見えているのであれば、名前のように表にあるものはそんなに関係ないものだ」
なんか仏教的な。
全ては「無」
だから「在」
そう思うと、いろんな事はどうでもよくなったりする。
菊「事代主命さま、なんかとても今の私に必要な言葉でした！
ありがとうございます。
遅くなったけど、今日お会いできて本当に意味がありました」
事代主命はニッコリと笑った。
誰もいない境内。
何か情報はないかな……と探してみる。
と、石碑。
でも刻まれた文字がだんだん消えつつあって……
菊「もともと古い言葉で？な上に、読めない……
あ。でも……このお名前は………」
『吉井良秀』
唯一、はっきり読めたその漢字。のお名前。
なんとなく、西宮神社の宮司さんな気がした………きっと以前の。
この石碑の言葉、消えてしまうのかな。
大事なことが書いてあるんじゃないのかな。
菊「…………伝えていきたいんですよね。こういう言葉」
そして改めて見た御祭神のお名前…………に
私は
心が止まった……………。
何度か読んだこともあるはずの、この看板。
菊「ここにも祀られてはったんや………建御名方さま」
そして思い出すのは、地震の記憶。
突然、涙が溢れた。
知らないと、その存在は自分の中に入ってこない。
何度か読んでいるはずなのに、私はここにその神がいるという意識がなかった。
それはその神のことを知らなかったから。
そして、今日、その神はこんなに近くに立ち現れた。
それは前回知った "事代主命" も同じで。
『コトシロヌシ』シリーズで深く調べるまで、私は "事代主" という神を知らなかった。
だから、こんなに近くにいて下さってるって、気がつかなかった……
やっぱり、知っていないと立ち現れることなんて無いんだ。
私はたくさんの神を、
たくさんの人の中に立ち現れるように。
それをしていきたい。
なんか遅くにお参りした一番近い神社の中で、改めてそう思った。
菊「じゃないと…………せっかく神様がいてはるのに、
いないのと一緒だと………
意味がなくなる神様もいるんじゃないかって思うし」
それが正解かは、今の自分には分からない。
でも、近所の神様はなんか私にそれを今日、教えてくれた気がした。
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あ。LINE@もあります（笑。最近サボってた💧）
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