2・3 全国大会準決勝観戦記 | ROKKO RUGBYFOOTBALL CLUB OFFICIALBLOG

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それでも、何度でも、懸命に

 2月3日、曇り空のパロマ瑞穂ラグビー場。

 26回を数えるクラブ大会で、実に14回目の対決となる六甲ファイティングブル対北海道バーバリアンズの準決勝が行われた。

 キックオフ直前の午後13時27分。ロッカールームで熱く固い円陣が組まれた。

「リアクション、戻りを早く、0、1チャンネルのディフェンス…」

 六甲ファイティングブル主将・中村圭佑が最後の確認をする。そして目を閉じ、大きく息を吸い込んで決意を込めた。

 「このジャージを着れなかった仲間のため、支えてくれるたくさんの人たちのために、最後まで体を張ろう。行くぞ六甲ッ!」

 昨年の決勝から350日。再び王者・バーバリアンズとの決戦のピッチに六甲戦士が飛び出していった。

 六甲のキックオフで始まった。序盤は互いに激しいブレイクダウンを繰り返し、中盤でのプレーが続く。

 バーバリアンズは昨年よりメンバーがいくらか変わってはいるが、LOに193㌢のトンプソンライアン、CTBに7人制日本代表候補にもなったターファイ・トゥマナワが加入。日体大や流経大の新戦力も加わり、戦力はさらに分厚くなっているようだ。

 試合が動いたのは前半25分。自陣で六甲は反則を喫し、バーバリアンズは5㍍ラインアウトからFWラッシュでゴールに迫る。十数回のフェイズの後、先制トライを許してしまう。

 敵陣に行きたい六甲だが、自陣でミスや反則を繰り返し、なかなかリズムに乗ることができない。

 ようやくチャンスが巡ってきたのは35分だ。バーバリアンズスクラムを六甲がプッシュして球出しを乱れさせ、バーバリアンズがパスをノックオン。こぼれ球をCTB江藤が鋭く反応し拾い上げるとSO衣川へ。衣川は2人のタックルを受けながらも果敢に前進しWTB三木へ。六甲の韋駄天男はそのままゴールポスト真下へ一目散トライ。安部のゴールも決まって、7-5と逆転に成功する。

     これで流れが変わるかと思われたが、バーバリアンズは慌てることなく再び六甲陣に迫ってくる。ここで六甲はまた反則を喫し5㍍ラインアウトからのフェイズの攻防となった。ゴールラインを背に必死の防御を繰り返す

六甲だったが、前半ロスタイム、23回目のフェイズでトライを許し、7対12でのハーフタイムとなった。

 ロッカールームで落ち着きを取り戻しながら後半へ向けて照準を絞っていく。昨年の決勝よりはいける!と感じたポイント、修正できるポイント。時間を有効に使いながらチームでの共有を図る。「もう一度円陣組もう!」中村主将がチームを一つにする。

「あと40分。絶対に逆転できる!仲間のために体を張って、そして思い切り楽しもうッ!」

 バーバリアンズのキックオフで始まった後半、早い段階で敵陣入り得点のチャンスを握りたい六甲だったが、攻め込んでのノットリリース、スクラムでのコラプシングを取られチャンスをつぶしてしまう。

 後半7分、バーバリアンズはカウンターからWTB黒川ラフィがミスマッチを逃さず俊足を生かして六甲防御を突破。最後はCTBターファイにつながれトライ。7対19と差を広げられる。21 にはまた前半と同じようなFWラッシュでトライを喫し7対26。結果的にこの2つのトライが六甲には最後まで大きく響いた。

 ラスト15分。前の駒場戦と同じ19点差。「奇跡よ再び!」と六甲が敵陣に斬り込む。ようやくこの辺りから六甲の連続攻撃がつながるようになる。後半28分。おそらくこの試合初めてであろうゴール前のマイボールラインアウト。細く長いクサビを形成し、最後はPR越田がゴールになだれ込んだ。

 さらに32分だ。相手ボールを奪ってからの連続攻撃。江藤→和田→安部とパスが回って左中間にトライ。安部自らのゴールも決まって19-26。7点差と迫り、会場は六甲の追い上げに熱気も高まってきた。

 だが、バーバリアンズは慌てていなかった。後半途中から投入していた7人制日本代表のセル・ジョセに、ラインアウトから大きく前進を許し、七戸にトライを許し、19-33と再び点差が開いてしまう。

 あと3分。駒場戦で最後の最後まであきらめてはいけないことを知った六甲は、全員で必死にボールをつなぐ。仲間のため、支えてくれる人のため。197㌢のセル・ジョセに捕まりながらもインゴールに飛び込んだ和田のトライ、難しい位置からでも決まった安部のコンバージョン。まさに執念がこもった得点だった。

image あと7点、1トライ1ゴール。しかし「奇跡」を起こすには点を取られすぎた。ラストプレーでバーバリアンズSH露木は冷静にタッチに大きく蹴り出しノーサイド。六甲ファイティングブルの2018年シーズンが終わった。

image 「地域を取れず、マイボールを継続できなかった。自陣や、敵陣での反則。当たり前のことができませんでした」(安部副将)

 反則数は六甲8に対しバーバが3。特に六甲はトライチャンスやピンチの場面で反則を繰り返したのが大きく響いた。

 「昨年と同様、点差以上に完敗の感が強いな。マイボールキープができなかったこと、反則で思うようにプレーができなかったのは、重要な所で個々の差が出てしまった」(北迫コーチ)

 もちろん、最後の追い上げや、セットプレー、デフェンス面でも良かった面もある。

「(練習環境の厳しい)クラブチームは、個人でどれだけトレーニングしているかで決まってくる。個々の力がなければチーム力はアップしない。悔しいのであれば、六甲はもっとトレーニングしてレベルアップしなければならない」(北迫コーチ)

 「選手は全力で勝ちに行きました。キャプテンとして本当に申し訳ないです」

 中村主将は唇をかみしめる。「打倒!北海道バーバリアンズ」の目標を果たせぬまま終わるシーズンに「やはり、僕たちは何かが足りなかった。それをチームで、選手個人で見つめ直し、この瞬間から、またチャレンジしていきたいです」。

 何度つまづいても、ひるまず、立ち上がって、前に進まなきゃならない。人生はChallenge。それを教えてくれたのはラグビーだから。必ず俺たちはまたこの場所に帰ってくる。

 今季も多くの人々に支えられたシーズンでした。感謝申し上げます。

 六甲ファイティングブル。

 今はただ走り抜けるのだー

(三宮清純)

 ※写真の一部は関西協会・清水良枝様よりご提供頂きました。