【2・4全国大会準決勝観戦記】 | ROKKO RUGBYFOOTBALL CLUB OFFICIALBLOG

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我等、鬼門ヲ突破セリ

 キックオフ早々の前半2分。

 ファーストスクラムを六甲FWが8人の塊となって一気に押し込んだ。結果的にフリーキックを取られたが、「いける!」と六甲戦士の誰もが手ごたえを感じ取っていた。

 「この試合はFWにかかっている」。

 前夜のミーティングで北迫コーチ、中村主将も同じ言葉を口にした。相手のドラゴンズは流経大の最高の環境で毎日厳しい鍛錬を重ねている学生チーム。六甲はリザーブにもFWを重点においたメンバーで大一番に臨んだ。

 前半7分、試合が動く。相手ボールのブレイクダウンをFL中村主将が巧みボールを奪取して大きく前進。ラックから左に展開しCTB村尾が力強くゴール前まで迫る。タックルを受けながらもWTB玉川にボールが渡り、左中間に先制のトライをあげる。

 続く11分。相手スクラムを六甲FWが再び猛プッシュしてターンオーバー。すかさずSH谷が防御の薄くなった逆サイドを責めあがる。「(相手の)学生が波に乗らないうちに、風上の前半で点を重ねたかった」(SH谷)。4人に絡まれながらも、なお前進。167㌢の小さな体を精一杯伸ばして左隅に飛び込む。安部のコンバージョンはポストに当たり外れたが、「開始直後の10分」を12-0と六甲がリードする。 

 その後、16分に六甲のキック処理のもたつきからドラゴンズに7点を返されたが、直後の18分、SOヘンリーのタックルからターンオーバーで逆襲。CTB前田がドラゴンズラインの裏に絶妙なショートパントを上げ、自ら拾い上げてゴールポスト裏に回り込んみ、19-7と再びリードを広げる。

        あぶない場面もあった。ライン際を快走してきたドラゴンズWTB永井がゴールに迫る。逆サイドから上がってきたWTB玉川が懸命のタックルでタッチの外に引きづり出した。

 ピンチに後にはチャンスありだ。直後のラインアウトでSH谷はFWにモールを組ませて前進させる。相手防御がモールに入り薄くなったブラインドをついて大きく前進、フォローよく上がってきたWTB三木に渡り、30㍍を走り切りトライをあげた。

 攻撃の手を緩めない六甲はさらに敵陣に斬り込む。28分にはFW・BK一体となった14回の連続攻撃。最後はFL中村主将自ら左中間に飛び込んだ。

 

 36分、六甲が得たペナルティに、タッチキックを狙うと思ってボールに背を向けたドラゴンズをWTB三木は見逃さず、クイックスタートから「スキあり!」トライ。前半を40-7と大きくリードを広げてのハーフタイムとなった。

 近畿リーグが終わった頃から、メンバーに「意識・意思統一」を深めることに心を砕いた中村主将。前半の反則は「0」。2回戦・駒場戦での大苦戦の経験が最高の糧となった。

 「思い切りペースを上げていた」と息を切らしながらロッカールームに戻ってきたのはSH谷。「まだまだこれから。3年前にドラゴンズとやった時は、後半で逆転されていますから」。

 中村主将もチームをもう一度引き締める。「風下の後半、相手はキックを使って思い切り攻めて来る。決め事をもう一度確認して、シンプルにしっかりやろう!」

 後半、風上に立ったドラゴンズは定石通りにキックで六甲陣に入り、有利に試合を進めていく。やはり学生はアタックが大好きだ。右に左に大きくボールを振って、BKのキーマンでもあるFB平井がトライをあげる。

 直後のキックオフもミスとなり、六甲に嫌な雰囲気が流れる。

 「この時間、この時間帯や!引きずるな!次のプレー!」

この日の六甲は気持ちの切り替えも早かった。敵陣に上がった少ないチャンスに、SH谷が相手裏にグラバーキックを転がし、上がってきたWTB三木が足で合わせてゴール裏にボールを転がす。最後はバウンドを確かめて丁寧にタッチダウン。ドラゴンズの反撃ムードを断ち切った。

 後半17分にはラックの連取から№8福島勇がトライ。その後はドラゴンズの猛攻を浴び続けるが、六甲は次々と選手を入れ替えて必死にしのいでいく。34分にはWTB三木のこの日4本目のトライが生まれ59-14とスコアは大きく開いた。

 最後はドラゴンズの執念で1トライを返されたが、59-21と、六甲の準決勝の戦績として最高の得点を挙げ、欲しくてたまらなかった決勝切符を勝ち取った。

 「駒場戦で出た課題をしっかり修正できました。この勝利は選手に、チームに大きな自信になりました」(中村主将)。

 印象的な場面があった。ゴール直前、ドラゴンズのスピードあふれるアタックを、中村はものの見事になぎ倒しピンチを摘み取った。観客席からはこの日一番のどよめきと歓声が上がった。

 5大会ぶりに決勝の舞台あがる六甲。相手は連覇を目指す北海道バーバリアンズ。過去の全国大会でも何度も対戦している強豪だ。特に過去直前の2戦は「苦い思い出」として胸に残っている。

 「選手はもちろん、トレーナーやスタッフ六甲クラブが一丸となって戦い、必ず日本一になります」

 中村主将は瑞穂の空を見上げて固く誓った。

 六甲ファイティングブル。

 今はただ走り抜けるのだー。

 (三宮清純)