1・22調布三鷹AC観戦記 | ROKKO RUGBYFOOTBALL CLUB OFFICIALBLOG

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ROKKO FIGHTINGBULL / REDWING

激闘を乗り越えて
 晴れたり曇ったり、小雨や小雪がちらついたり…。 
 まるで試合前のナーバスになりがちな選手たちの気持ちを表現するかのように天気が変わる、京都・宝ヶ池球技場。
 「(ここ数年)いつも初戦は緊張で固くなったりするけど…。12月にあれだけ強化試合もやったし、自信を持って戦おう!」
 円陣の中で谷主将は仲間を見渡した。
 23年連続23回目の全国初戦の相手は調布三鷹オールカマーズ。六甲としては約8年ぶりの対戦となる。元東芝勢などのトップリーガーが大量加入し、今季圧倒的な力で東日本の予選を勝ち上がってきたチームである。メンバー表には、“レジェンド”オト・ラタニエラをはじめ6人の東芝勢、2人のサントリー勢が名を連ねる。
 「トップリーガーが何人いようが、俺たちは六甲のラグビーをやる。この試合のためにたくさんの人たちが支えて、応援してくれている。その人のためにも、最高のプレー最高のパフォーマンスをしよう!」
 強敵とぶつかる不安、今までやってきたことの自信。複雑に絡み合う情熱と鼓動を円陣で確かめ合い、六甲戦士が勝負のピッチへ飛び出していった。
 3分だ。三鷹陣ラックをターンオーバーからSH谷が鋭く切り込み大きく前進。勢いよくフォローに入ったLO福島清が右中間に飛び込んだ。
 試合前、「先手必勝!」と誓ったFWリーダーが有言実行。拝原のゴールも決まって7-0と六甲が先制する。
 この試合、最大のフォーカスがスクラムだった。三鷹自慢の『東芝フロントロー』。まだまだバリバリの①久保、熟練②塚越、125㌔③米谷に対し、どこまで六甲FWが踏ん張れるか。注目のファーストスクラムを六甲は8人がしっかり固まり安定した球をBKに供給する。
「三鷹は3人で組むスクラム。六甲は8人で組むスクラム。この意識を徹底させた。スクラムの頑張りは、何よりチームの鼓舞につながるからね」。ベンチで見つめる北迫コーチもうなづいた。
 だがここから六甲には厳しい時間帯になる。「敵陣でプレーを」の意識が強すぎたか、BK陣のキックがノータッチやラインオーバーなどやや安易なミスを連発。逆に三鷹は元サントリーのSO柳原が確実なキックで六甲ゴール前に迫り、三鷹のもう一つの強みでもあるラインアウト→モールで六甲に襲い掛かってきた。
 ⑧安井の突破力、⑤石澤の激しく痛いアタック、⑦オトの腕力だけでない巧みなボディコントロール。経験値の高いFW陣が六甲をゴール前にくぎ付けにして、9分、23分と197㌢の長身④高橋正にトライを許し、7-14と逆転されてしまう。
 重苦しい雰囲気の中、六甲戦士たちは、ひざに手をつき始めている三鷹FWを見逃さなかった。「走れば必ず逆転できるー。」26分、SH谷が再び右中間へボールを運び出しCTB拝原へラストパス。右隅に飛び込んだ。
 3年間ケガなどに悩み続けたが、くさらず裏方としてチームをサポート。念願の全国大会で先発をつかみ取った苦労人のトライに、再びチームの意気が上がる。
 その後も三鷹FWとの激しい攻防が続いたが、40分、WTB三木が満を持してひらりと相手をかわしてポスト裏に回り込み逆転に成功。ゴールも決まって19-14でのハーフタイムとなった。
 12分間のハーフタイム。ロッカールームに戻り、ゲームプランを確認する。
 「ちょっとBKのミスもあってFWにしんどい思いさせちゃったけど、後半、もっとボールを動かします。あと40分、もっと走ろう。楽しもう!」(谷主将)
 キックオフ前よりさらに自信に満ちた表情になった六甲戦士が勝負を仕掛ける。
 後半早々、CTB拝原の負傷交代というアクシデントもあったが、六甲は三鷹陣で左右にボールを散らし始める。
 7分、WTB三木が右中間に飛び込み24-14。
10分、LO青山がもろくなった三鷹防御を突破してトライ。亀谷のゴールも決まって31-14とリードを広げていく。
13分、会場がどよめいた。突破したWTB市橋をフォローしたのはなんと巨漢PR・永田だった。目の前がぽっかり空いた。スローモーションにも見えた猪突猛進で巨体ごとインゴールに転がった。36-14。三鷹の強力スクラムを必死にこらえてきた男にラグビーの神様の意気な計らいか。「(学生時代)宝ヶ池にはあまりいい思い出がないんですが…」と話していた未完の大器は仲間と破顔一笑のタッチをした。
 14分にはWTB三木がハットトリックを達成41-14。22分にはもう一人のWTB市橋がゴール中央に回り込み、SO亀谷のゴールも決まり48-14とした。16分間で5トライ。前半、激しい三鷹の接点を我慢した成果と集中力で六甲が試合を決めにかかる。
 三鷹も㉒斎藤のトライ・ゴールで追いすがるが31分に小野から替わった№8志磨が飛び込み55-21と試合の大勢を決めた。
 ラスト5分、開き直った三鷹は最後の攻撃に出た。ややタックルの甘くなった六甲陣にFB佐藤が切り込み、重量FWがラッシュされ、六甲は反則を連発。3トライを許し55-40でのノーサイドとなった。
 
 「点差も開いて、気が緩んだな。どんな状況でも最後まで相手に敬意をもって、アタックもデフェンスも攻め続けることが必要。今日は六甲の良い面と悪い面が出た」(北迫コーチ)
 「最後の5分。三鷹さんの強い部分を真正面から付き合ってしまい、あわてて反則を連発してしまった。この辺はしっかりと修正していきます」(谷主将)
今年も初戦はなかなか簡単に勝たしてはくれなかった。 最後の三鷹の執念は次戦への厳しいかつ、貴重なレッスンとなった。
やや不安な要素を残しながら、準決勝の相手は去年と同じ神奈川タマリバ。
雪辱の舞台へたどり着いた。スキのない相手に対し、昨年の悔しさを再び思い出して、この2週間最後まで情熱を積み重ねていく。
六甲ファイティングブル。
今はただ走り抜けるのだー。(三宮清純)