【1・24 全国大会2回戦観戦記】 | ROKKO RUGBYFOOTBALL CLUB OFFICIALBLOG

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ROKKO FIGHTINGBULL / REDWING

      我等ニ決意アリ

 30~40年ぶりの大寒波が襲った日本列島。

 気温は2度。キンキンに冷え切った京都・宝ヶ池球技場だったが、ロッカールームだけはほとばしる熱気に満ちてた。

「さあ、始まるよッ!」

キックオフ直前。互いの肩をググッと引き寄せた円陣の中で、六甲ファイティングブル主将・谷晋平が声をかける。

「今日、この試合にたくさんの仲間が集まってくれた。メンバー外、スタッフの人たちは最高の準備をしてくれた。スタンドにはOBや家族、仲間が応援に来てくれている。これが六甲。六甲クラブはオンリーワンだとオレは思っている」。


「だけど、オンリーワンだけじゃ意味がない。オレ達は絶対にナンバーワンになるんだ、行くぞ、六甲ッ!」

 それぞれの決意を胸に秘め、多くの想いを背負って、凍てつくピッチに六甲23戦士が飛び出していった。

 強烈な風下からのキックオフ。名古屋クラブは定石通りにキックで奥深く攻め込んでくる。

 いきなりゴールラインを背負ってのラインアウト。塊となって押し込む名古屋FWを懸命に押し返す。伝統クラブ同士の激しい攻防に緊張した時間が過ぎていく。

 「風下からのキックが戻されたら攻めよう。思い切ってアタックして行こうと話していました」(谷主将)

 前半23分。試合が動く。WTB三木が巧みにステップを切って大きく前進して敵陣深く持ち込む。巨漢LO福島がさらに縦突破で数的優位を作り、最後はFL板垣が左中間に飛び込んだ。

 続く27分にはブレイクダウンのこぼれ球をFL板垣が鋭く反応して名古屋陣深くに蹴り返し、CTB前田が競り合いに勝ち、最後はフォローしてきたSHが巧みに拾い上げトライを上げる。

 さらに36分、SO越村のノータッチとなったキックは、忠実にチエイスしてきたWTB和田の胸におさまり、和田はそのまま30メートルを走り切った。

 猛烈な風下での3トライ、19-0での折り返しに、ハーフタイムのロッカールームでは「もっとやれる!」と意気軒昂の雰囲気となった。ロッカールームでは修正点を確認、六甲陣営の多くが「この試合、もらった!」と自信を深めての後半だった。


 谷主将が悔やむのは、後半の立ち上がり、攻め込んだ場面で得点できなかったことだ。

「あそこでスコアできていればもっと展開も違っていたはず・・・。」

 なかなか簡単に勝たせてくれないのが全国大会初戦でもある。攻め急いだか、キックも多用することなくやや強引な攻めで反則を繰り返す。悪循環に陥った。それはFL板垣の負傷退場も重なり増大していく。

 「攻防エリアの選択が悪かったです」と№8小野も振り返る。

 後半18分、名古屋はちぎれたモールから元六甲でもあるFL鎌田がトライを上げ反撃の狼煙を上げる。

 「このあたりからデフェンスも淡泊になってきた」(谷主将)

 盛り返してきた名古屋は、2・3列中心に球際に鋭さを見せ連続攻撃を仕掛けてくる。六甲のキック処理のまずさもあってトライを許すなど、一時は19-17の2点差に迫られた。

 六甲ベンチ、応援席に重苦しい雰囲気が漂う。

「あのへんの時間帯が精神的にもキツかった」

初の全国の舞台でLO福島が振り返る。入替選手は流れを変えようと奮闘するが、気持ちが空回りして反則を取られる。「(踏ん張りどころは)ここだ、ここだぞ六甲ッ」コミュニケーションを取りながら我慢のデフェンスが続いた。

 そして後半38分。待ちに待ったチャンスがやってきた。

 敵陣右中間マイボールスクラムをFWは確実に押し込み、№8小野が突破を図る


 最後は主将自ら相手防御を交わし、激闘にケリを付けるトライを決めた。

26-17。六甲ファイティングブルが、苦しみながらも初戦を突破した。

「キツ勝ったあ~」「プレッシャーで思い通りに体が動かんかった」

 ノーサイドの瞬間、ホッと息をつき、安堵の笑みを浮かべる六甲戦士たち

「前半リードしたところで『色気が出た』」

「もっとスクラムを有効に使いたかった」

など色々と反省点が出てくる。東田哲也総監督も

「やはり全国初戦は難しいね。名古屋さんの激しいデフェンスと執念に本当にいい勉強をさせてもらいました」

と、何とも言えない表情で首をすくめた。

「(公式戦の)ゲーム感がない中で、相手はデフェンスの激しい名古屋クラブ。厳しく難しい試合になることは覚悟してました」。

 試合感のない中、上手くゲーム運びができない場面もあった。反則を繰り返し、自分たちで首を絞めている場面もあった。

「その中でも勝ちきった。僕は勝つべくして勝った試合だったと思います」

 谷主将が勝負のカギとして挙げたのは、地味な場面だった。

 後半、名古屋に2点差まで迫られたトライシーン。CTB前田が懸命に戻り、名古屋のトライを中心にさせなかったことだ。その後の名古屋のコンバージョンは不成功だった。

  ロッカールームで確認し合ったことがあった。

「苦しい場面は必ず出てくる。抜かれたら全員で走り、全員で戻ろう!」

例えピンチになっても、動揺せずに勝利のためにするべきことをする。前田の隠れたプレーが勝敗を分けたと言う。

 準決勝の相手は予想通り、全大会王者・神奈川タマリバクラブに決まった。

 「全国大会、最後は気持ちの面が一番大事になってくる。どれだけ強い気持ちで、どれだけの想いを背負って戦うか。我々はチャレンジャー。六甲クラブ全員で戦いたい」(谷主将)

激戦を乗り越え、チームも個人もさらに「ONE」になっていく。

大会前、全員の決意はさらに強いものになった。

六甲ファイティングブル。

今はただ走り抜けるのだ。