《《セントポール学院にて》》
文化祭の催し物、キャンディのクラスはお化け屋敷。キャンディが受付係をしていると、他校の男子たちが次々誘ってくる。でもキャンディはそれに気が付かず、お化け屋敷が賑わっていると思っている。
🍀 キャンディ
ヘルプ😭受付一人足りない💦
🐴 テリィ
わかった。待ってろ。
10分後。テリィが受付へ入ると、状況は一変した。
「えっ……テリュース!」
「ほんとだ!あの人が受付やってる!」
その声はあっという間に校内へ広がった。制服姿の女子生徒はもちろん、文化祭に来ていた他校の女子生徒まで、お化け屋敷の前へ集まり始める。
「写真撮ってもいいですか?」
「一緒に撮ってください!」
「インスタ載せてもいい?」
スマートフォンが次々と向けられ、シャッター音が鳴り響く。テリィは苦笑しながらも、一人ひとりに穏やかに応じていた。
「はい、次。受付はこちらです」営業スマイルとは違う、自然と人を惹きつける笑顔だった。
少し離れた場所から、その様子を見ていたキャンディは思わず頬を膨らませる。
これじゃ、さっきより人が増えてるじゃない。しかも女子ばっかり。その時、スマートフォンが震えた。
🐴 テリィ
どうした。そんな顔して。
キャンディは驚いて顔を上げる。受付の向こうから、テリィがこちらを見ていた。目が合うと、悪戯っぽく笑う。
🍀 キャンディ
別に。
🐴 テリィ
嘘だ。
🍀 キャンディ
嘘じゃないもん。
🐴 テリィ
きみは分かりやすい。
🍀 キャンディ
テリィこそ。女子に囲まれて楽しそうね。
🐴 テリィ
ふーん。やっぱそれか。
だが俺は仕事中だ。ヘルプしたのはそっちだろ。
🍀 キャンディ
写真撮ってとか言われてるし。
🐴 テリィ
断れないだろ。
🍀 キャンディ
ふーん。
🐴 テリィ
妬いてるのか?
キャンディの指が止まる。数秒考えてから送った。
🍀 キャンディ
知らない😤
その返事を見たテリィは、小さく吹き出した。
「次、お願いしまーす!」
女子生徒の声に呼ばれ、「はいはい」と受付へ戻る。その様子を見ながら、キャンディはますます面白くない。
昼が近づき、人波も少し落ち着いてきた。交代の生徒がやって来て、「二人とも、お昼行ってきていいよ!」と声を掛けてくれた。
ようやく受付から解放された二人は、大きく息をつく。
「疲れたぁ……」キャンディが伸びをすると、テリィも肩を回した。
「人気者は大変ね」
少しだけ拗ねた声。テリィは横目で見た。
「きみもな」
「私は何もないわよ」
キャンディは本当にわかってないようだ。
「お昼、一緒に食べよ!」と言った瞬間、遠くから声が飛んできた。
「グランチェスター!」振り返ると、同じクラスの男子が手を振っている。
「そろそろ演劇始まるぞ!」
「ああ、今行く」
テリィはキャンディへ向き直った。
「悪い」
「ううん。行ってきて」
テリィは軽く手を振ると、人混みの中へ消えていった。その背中を見送ったキャンディのスマートフォンが震える。まだ歩き始めたばかりなのに。
🐴 テリィ
観に来るだろ?
🍀 キャンディ
うん。見に行くよ。
🐴 テリィ
最前列で。俺だけ見てればいい。
🍀 キャンディ
劇を見るのよ☺️
🐴 テリィ
まあ、そっか。
🍀 キャンディ
でも観る目的はテリィが演じるからなんだけどね❤️
その一文を見たテリィは、人混みの中で立ち止まり、小さく笑った。
【ブログ主より】
ほんのお遊びに、いつもお付き合いありがとうございました♡