ブロードウェイで拍手を浴びる俳優たち。
華やかな舞台に立つテリュース・グレアム(テリィ)の懐事情は、果たしてどのようなものだったのでしょうか。
1920〜30年代という時代背景を踏まえつつ、彼の歩みと収入の変遷をまとめてみました。
朗読劇『Still』や『ヴェニスの商人』で代役を務めていた頃のテリィは 、週給25ドル前後 が妥当と思われ、これは当時の舞台俳優の平均的な給与です。
[内訳]
・年間52週勤務の場合:25ドル×52週=1,300ドル/年
・当時の1ドルは、現代の約3,000円(購買力換算)
・→1,300ドル×3,000円=約390万円/年
したがって、現代の価値では年収約350〜450万円程度の生活水準。
俳優としては決して裕福ではなく、宣材費の自己負担や劇団までの通勤費などは個人負担のため、実質可処分所得はさらに低くなると考えます。
そして、テリィは2件のアルバイトをし、スザナの生活やマーロウ家の生活を支えていました。
テリィの人生を変えた大役――『ハムレット』。
主演級俳優の週給は 200〜400ドル に跳ね上がり、年収は 約1,500万〜3,000万円 に。
当時の平均年収の約10倍に相当します。
さらに、この頃からテリィは、舞台だけでなく広告モデルや雑誌記事などでも活躍し、ブロードウェイの人気俳優の仲間入りをして世間に広く知られる存在となりました。
『ハムレット』はニューヨークでロングランを果たし、さらにイギリス巡業へ。
劇団の看板俳優としての契約になっており、年収は 3,000万〜4,500万円 に到達したと推測されます。
舞台収入に加え、広告出演や寄稿などの副収入も得ていたと思われます。
Before Dawn〜ショパン期
・劇団の看板俳優として、固定契約+歩合(興行収入に応じたボーナス)がついたと考えられます。
そのほかの手当として、ロングランによる歩合や特別手当も考えられます。
ロングラン公演の主演は、成功報酬やボーナスが契約に盛り込まれることが多く、興行収入の数%が分配される仕組みも史実でもありました。
このため、テリィは固定給に加えて数千ドル単位のボーナスを得ていたはずです。年収にしてさらに数百万〜1,000万円近い上乗せもありました。
「Before Dawn」「ショパン」時期のテリィの年収は、おおよそ4,000万〜6,000万円規模(現代換算) と考えられます。
これはもはや「ブロードウェイでもトップクラスのスター俳優」。
街からポスターが消えるほどの人気が、そのまま彼の収入にも直結していました。
テリィの収入は、ハムレット主演を境に「上流階級に肩を並べる水準」へと急成長しました。
彼の才能と努力は、舞台上の喝采だけでなく、生活の安定と豊かさももたらしていったのです。