本の表紙と帯
本の表紙と帯について
考えました。
ファイナルストーリーの本の表紙を思い出してください。
ファイナルストーリーお持ちでない方、今はネットでも簡単にその本の表紙は見れますので、宜しかったらご覧になってみてください。
表紙の写真は、バラの花でした。
そして、上下巻ともに同じバラの写真でした。
では上下巻の帯はどうでしたか。
上巻の帯は、ピンク
下巻の帯は、水色でした。
この表紙と帯にも意味があると、私は思っています。
本の表紙というのは、書籍の中身を守るためのものとしての役割もありますが、“本の顔”とも呼ばれていて、書籍の企画意図を反映したデザインが施されており、かつ読者に手に取ってもらえるように仕上げられたものだそうです。
ファイナルストーリーの表紙、バラの写真は、上下巻ともに同じバラの写真が使われています。
その写真の構図は、青空にすくすくと伸びた色とりどりのバラが印象的で、写真の奥にはフラワーアーチ?ガーデンアーチ?が見えています。
フラワーアーチがあるということは、どこかの庭なのでしょうか?フラワーアーチは人工物ですので誰か人の手で建てられたものと考えられます。
ではそれはどこかの庭なのでしょうか、それとも公園のようなところでしょうか?
私は表紙になったそのバラの写真は、キャンディが住んでいる家の庭のバラではないかなぁと思っています。
そして写真のアングルは、キャンディの目線、キャンディが見ているバラの姿、だと思っています。
キャンディキャンディの作品=バラ…
そんなイメージありましたっけ?
ストーリーの中に、品種改良したスイートキャンディと名付けられたバラをキャンディはアンソニーから送られましたけれど、キャンディ=バラではなくて、アンソニー=バラですよね、イメージとしては。
キャンディのイメージは、ポニーの丘の緑の絨毯でシロツメクサとかキンポウゲなどの花々に囲まれている、ということや木登りできる大きな木(楢の木だったかな?お父さんの木と呼んでたかな?)のある風景だ思ってました。(私のイメージですが…)
パッと本を手に取ったとき、バラの写真を見て、第一印象としてはアンソニーのイメージなんだと、思いましたけれど、物語を読んでくうちに、30代になったキャンディが住んでる家の庭に咲いているバラだという気がしてきました。
つまり、キャンディが住んでいる家の庭は、
【あのひとと住んでいる家の庭】ということです。
表紙は本の顔ですし、書籍の企画意図を反映したデザインを施すものだと前述しました。
なんでもいいわけではなく、ちゃんと企画意図が反映されているはずなのです。
ファイナルストーリーは30代のキャンディが、これまでの人生を振り返る物語となっています。
そして、あのひととの暮らしをほんの少し垣間見ることができます。
あのひとと暮らす家の庭には、ささやかなバラ園があるそうです。通いの庭師がいるそうですが、バラの世話は任せていないそうです。
任せていないという表現なので、この文を読めばキャンディがバラの世話をしていると読み取ることができます。
私はキャンディが一人でバラの世話をしていると読み取っていましたが、キャンディ一人ではないと最近は思うようになりました。
キャンディは誰と世話をしているのか…
こういうことを想像したり妄想することができるのが、リドルストーリーであるがゆえの楽しみですよね。
私は、キャンディは子どもたちとバラの世話をしてるんじゃないかと想像しています。
バラは一年中することがあるそうで、季節季節に合わせた世話があるそうです。かなりの手間や労力が必要な花だそうですね。
重い土や肥料などを運んだり、高いところの作業などは庭師に手伝ってもらうことはあると思いますが、“ささやかなバラ園”というくらいですので、それなりの広さであれば、家事や子育てをしながらのバラの世話はキャンディ一人ではとても難しいのではと思います。
バラに限ったことではないですが、草花などは手間や労力をかけて世話をした分だけ、答えてくれ、咲き誇る花を見れば世話をした甲斐があったと充実感や達成感を感じられるそうです。
キャンディは子どもたちとバラの世話をすることで、子どもたちに情操教育が行われていたのではと考えます。
バラの世話=情操教育ではないですが、生活の中で培われていたのかなと思っています。
なぜそう思ったのかといいますと、表紙のバラの写真は、バラの品種や花の数などからどのくらい時間がかけられたかを考えたときに、キャンディは子どもたちとバラの世話をしてたんじゃないかなーと頭に浮かんだのです。
どのくらいの時間がかかっているのか、私はバラのことも植物のこともまったく詳しくありませんが、いろいろな方のブログを拝見させていただいたのを参考にしますと、最低でも3〜5年以上の時間がかかっていると考えられました。
私の妄想では、表紙のバラたちは約10〜12年前後の時間がかけられているのではないかと思っています。
バラを育てるきっかけは結婚か出産を機にかもしれません。記念樹の一つとして植えたかも。
そして一年ごとに種類を増やしていき、子どもたちが物心ついたときから、どんな品種にするかなど子どもたちと相談しながら育てていたのではないかと想像しています。
幼稚園などでジャガイモを育てるのと同じ感覚です。
きっと楽しみながらキャンディは子どもたちとバラを育てたのではないかと、想像しています。
それは、ローズマリーが幼いアンソニーとともに世話をしたように…
バラを育てるきっかけがあったころはそういう意識はなかったと想像してます。育てていくうちにそういう感情になったのだと考えています。
キャンディはそのときの幼いアンソニーの気持ちでなく、母のローズマリーの気持ちのほうになにかの共感が…母心なのかもしれません。
そういうことで、表紙のバラの写真は、キャンディの見えている景色(子どもたちと育てたささやかなバラ園)だと私は妄想しています。
バラと言えば…
アンソニーのイメージがまったくないわけではなく、多少のエッセンスは残っていると思っています。なので、レイクウッドのアンソニーのバラ園ではないかと初めはそう思えました。ですが、実際にキャンディが暮らすあのひとはアンソニーではないので、表紙のバラはアンソニーだけをイメージしたという意図はなかったと考えていますが…
本当はアンソニーをイメージしてるのかもですが…。
本の表紙のバラは、キャンディがあのひとと暮らす家の庭にあるささやかなバラ園のバラたちで、キャンディが見ている目線であると私自身結論しました。
原作者先生は“希望”というイメージを生かしてもらったとあとがきに書いてありました。
キャンディの希望が叶ったと考えられました。
そして、本の帯についてです。
表紙の写真が同じならば帯も上下巻で同じ色でいいのではないでしょうか?
でも実際は、上下巻別々の色の帯になっています。
上下巻の帯を別々にした理由…上巻、下巻で色分けすればわかりやすくなる?…
ならば表紙の写真も変えたほうがいいですよね、帯は取ってしまう人もいれば、ボロボロになってしまうこともありますし。
同じ色でもよかったはずの帯、表紙の企画意図を反映したデザインということを考えれば、帯にも何かの意図があったと思えました。
ピンクと水色…これがヒントとなりました。
そうです、ピンクの帯はアンソニー
水色の帯はテリィを想定していると思えませんか?
アンソニー、ピンク色のイメージでした?
アンソニーといえばキャンディに送ったスイートキャンディという品種改良したバラですが、このバラの色、淡いピンクだそうです。
当初は白の花びらに緑色の縁取りがかったバラという設定でしたが、小説版より淡いピンクに変更されているそうで、現在スイートキャンディは淡いピンクの色ということになっています。
ということで、ピンクの帯はアンソニーを象徴していると思いました。
ちなみにスイートキャンディという品種、ホントにあるそうですよ。
一方水色の帯…
テリィから届いた手紙は水色のリボンでまとめられていましたね。
水色の帯はテリィの象徴ということが考えられました。
上巻のピンクの帯がアンソニー
下巻の水色の帯がテリィ
上下巻で帯を同色にしなかったのには理由があったのだと思いました。
そしてさらに、それぞれの帯に書いてある言葉、どんなことが書いてあったでしょうか。
帯に書く言葉は、その本のあらすじや作者の思いなどが書かれていたり、それを読んだ著名人の感想が書いてあったり、その本に関連したことが書かれていますよね。
上巻のピンクの帯には、こう書いてありました。
原作者・名木田恵子(水木杏子)が
大人のために書き下ろした
真実の『キャンディ・キャンディ』愛の物語(ラブストーリー)
あの日々、たくさん流した涙は
今はきらめくような美しい思い出になった
原作者〜を上の句、あの日々〜を下の句と便宜上させてもらいます。
上の句は、この本を誰に向けて書いたのか、どんな物語なのかが書かれています。言わば宣伝用。
大人のために…
愛の物語…
これについても考えたことがあるのですが、今回は省略します。
上巻のピンクの帯に書かれてある言葉で、注目してほしいのは上の句ではなく下の句のほうです。
あの日々、たくさん流した涙は
今はきらめくような美しい思い出になった
です。
上巻にはレイクウッドで過ごした日々のことが中心に描かれています。キャンディキャンディのストーリーをおわかりの皆さまには、下の句の言葉、『確かにそうだね』と思い当たることがありますよね。
下の句の言葉は、キャンディの言葉というふうに解釈できますよね。
そして下巻の水色の帯には、こう書いてありました。
30代になったキャンディが
回想する切なくも愛おしい日々
わたしが求めているのは、
ほんのささやかなこと
愛する“あのひと”と生きていくことー
先程同様、30代になった〜を上の句、わたしが〜を下の句とします。
ここで注目してほしいのもやはり下の句の言葉。
この水色の帯にもキャンディの心情が書いてあります。
そして明確に、愛する“あのひと”とキャンディは生きていると、そう書いてあるのです。
それが書いてあるのは水色の帯のほう、つまりテリィのほうに書いてあるのです。
私は表紙も帯も意味があると考えています。
なので帯に書かれている言葉にも意味があるはずなのです。
ということは、下巻の水色の帯の色の意味とそこに書かれている言葉から、あのひとはテリィだと解釈しました。
余談ですが。
私は、ピンクの帯がアンソニー、水色の帯がテリィと表現されていると思ってますが、あれ?誰か大事な人が抜けていませんか?
そうです、アルバートさんが抜けているではありませんか。(私の解釈でいえば、です)
ピンクの帯に真実の『キャンディキャンディ』愛の物語という言葉があります。
この表現がアルバートさんが表紙や帯、本の顔に選ばれていない理由なのだと思っています。
ファイナルストーリーは愛の物語(ラブストーリー)です。
アルバートさんとはラブストーリーに発展しなかった、そういうふうに私は解釈しています。
本の表紙は、キャンディがあのひとと暮らす庭のささやかなバラ園の写真で、
帯はアンソニーとテリィで…
そして真実のキャンディキャンディ愛の物語…
ファイナルストーリーはラブストーリーだと言い切っていますので、表紙、帯にアルバートさんがからんでいないことを考えますと、このラブストーリーにはアルバートさんは関わっていないと私は考えています。
このピンクと水色の帯の色は、上下巻それぞれの見返しにも採用されてます。
そして扉の題名にも…
どんな意図があったかは想像の域を超えませんが、細部までこだわりがあったことは伝わってきました。
こういう細かいところにも思い巡らせ、想像するのは楽しいですね。
*画像をお借りしました。
