厚生労働省によると、2008年に全国で起きた食中毒1369件中、カンピロバクターによるものは509件で第1位。「肉類を生食、加熱不十分で食べたことが原因の事例が多い」と同省食中毒被害情報管理室はみる。
また、生肉ではO(オー)157などの腸管出血性大腸菌の食中毒になる場合もある。
都内では08年に106件の食中毒が発生し、少なくとも34件は、生または半生の肉が原因と都は推定している。ほぼ3件に1件の割合だ。
カンピロバクターや腸管出血性大腸菌は、牛や鶏の腸管にいる細菌。肉の鮮度とは関係なく少量の菌でも発症させる力がある。加熱調理をすれば菌は死ぬので問題はない。
生食の実態を調べようと、都は09年に20歳以上の都民千人にネット調査した。ユッケ、鳥わさ、レバ刺しなどの生肉を3カ月以内に食べた人は40%に達し、若い年代ほど割合が高く20代では53%に。都健康安全課は「若者を中心に肉の生食が定着してしまっている」と話す。
飲食店に生の肉のメニューがあっても、実際には「生食用」の牛肉と鶏肉は現在流通していない。牛肉と馬肉は、厚労省が定めた生食用衛生基準を満たした肉にのみ「生食用」と表示して売ることになっている。だが、08年度の生食用牛肉の出荷実績はゼロ。鶏肉にはそもそも生食用の衛生基準がない。
飲食店は加熱用の肉を、「新鮮だから」などという判断で生肉として流用しているのが実態だ。衛生基準はあくまで行政指導なので、守らなくても罰せられない。
食品安全委員会は昨年6月にまとめたリスク評価で、鶏肉料理でカンピロバクターに感染する確率をシミュレーションした。飲食店で生の鶏肉を食べる人では、1回の食事あたり5.36%の確率で感染する可能性がある、と推計。生で食べない人はわずか0.07%。体の中に菌が入っても発症するとは限らないが、店で生肉を食べる人は食べない人に比べ約77倍感染しやすい、という結果だった。(大村美香)
2010年2月27日
知らなかった。ユッケ、鳥刺しなど好物の私には残念なニュースでした・・・。