1940sアメリカベークライト製 電気式目覚まし時計を修理しました | 路地裏の骨董カフェ

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1940年代にアメリカで普及した、ベークライト製の電気式目覚まし時計を入手しました。
交流60HZの周波数を時計に応用した時計で、日本では、アメリカの発電機を使った交流の60HZ地域糸魚川〜富士川のライン、長野県の一部と静岡県から西側で使用できます。
上は、ゼネラルエレクトリック社のテレクロンの機械を使った時計で、型番7H154「The Cantilly 」の名前がつけられています。
下のもう一台は、シェルドン社製です。
ともに、エボニー象牙色のベークライト製で、曲線と直線のシンプルなアールデコデザインがいいですネ。

当時日本では、ゼンマイ時計全盛で、一部にマツダが電気式の時計を製造していたようです。

電源につなぐと、ゼネラルの方は動きません。シェルドンの方は、稼働は問題ないようです。

ゼネラルのテレクロンは、長期化動かさないとモーター内部の油が固まって、動かなくなる不具合があるようです。
モーターのみ外して、ドライヤーで暖め過ぎないように熱風を当てて、注油をしながら固着を溶かしました。


暖めては、内部の歯車が回転するかチェックをしました。最初は、じーーと異音がありましたが、ずっと稼働させていると、内部の熱でいい塩梅に溶けて、音もモーターのウーーンとうなる音だけになりました。




ただ、電気が供給されると小窓の表示が、赤から白に変わるはずなんですが、変わりません。
磁力で、オンオフ表示が変わるのですが、引きつけが弱いようです。
色々と試してみましたが、引きつけられる金具と磁力を帯びる箇所との距離が広いので、うまく変わらないようです。
間に鉄の部品をハンダ付けし、引きつけられやすくしました。象の鼻みたいな部品がそうです。


歯車部分は、パーツクリーナーで洗浄し、注油しています。
また、電源コードは、新しい物に交換しました。


箱におさめて、稼働を確認しました。



窓の表示が変わらないと、様にならなかったのですが、オンオフで表示も変わり、モーターも安定して一安心です。ただ、電磁コイルも熱を持つので、モーター焼けが起こらないか心配しましたが、4日様子を見ていますが、問題なく稼働をしています。

シェルドン社の時計は、モーターの稼働もスムースです。こちらも電源コードを新しく交換しました。


4日程度、稼働を確認していますが、問題ありません。この時計は秒針がありませんが、その代わりに、小窓の表示がくるくる回ります。



精度は、60HZが安定しているので、日差は1分もない状態です。
ゼネラルのアラームはブザー音で、シェルドンは、ベルが鳴ります。

電気式の時計は、当時壁掛けタイプも含めて1960年頃まで数多く売れたようで、アメリカでは、現存数も多いようです。

ただ、ベークライトに割れや汚れが出やすく、この2台はなかなか当時のいい状態を残しているように思います。