onLineの古本屋です。
1950-60年頃の懐かしい映画パンフレットを
出品に合わせて紹介しています。
今回は、新作『ゴジラVSコング』にあやかり
遡ること54年、1967年に公開された
『キングコングの逆襲 KINGKONG ESCAPES 』のご紹介です。
表紙をご覧になれば、内容は一目瞭然。
怪獣、恐竜、メカ怪獣
三大怪獣の凄絶な死闘が繰り広げられます。
では、キャラクター紹介文から抜粋
●大怪力怪獣「キングコング」
類人猿から巨大に成長した南海の赤道付近に棲息
身長20米、体重1万トン
人間に好意的で智能度は優れている
●原始恐竜「ゴロザウルス』
学名アロザウルス
ティラノザウルスと同じく約2億年前のジュラ紀から
白亜紀に地球を牛耳っていた原始恐竜
南ジャワ海のモンド島の火山熱で再び眠りからさめて姿を現した
体重8千トン 15米の長い尻尾で獲物をはたき落とす。
Wikipediaなどのネット情報によると
ゴロザウルスは、1933年版『キングコング』に登場する
ティラノサウルスのオマージュになっているようです。
●電子怪獣「メカニ・コング」
製造地 北極のドクター・フー研究所
全長 20米
体重 1万5千トン
主な装備 エレメントX炉ならびに発電装置 電子頭脳 催眠光線発射機 レーザー光線発射器 太陽光線採集機 削岩用ボンベ 広角レーダー 他
なんといっても、今回、いちばんの注目は
3つ目の「メカニ・コング」
天才科学者ドクター・フーが、
地球征服を企む某国の依頼を受けて作りあげた電子怪獣です。
最新鋭メカ怪獣ですが、
なんとなく親しみのあるデザインですね。
これまた、Wikipediaなどのネット情報によると
日米合作アニメ作品『キングコング』に登場する「ロボットコング」が基となっているようです。
監督は 本多猪四郎
特技監督は 円谷英二
言うまでもありませんが
『ゴジラ』『モスラ』『キングコング対ゴジラ』などなど
数々の特撮怪獣映画を手がけてきた名コンビによるものです。
出演は、
国連科学調査団団員 宝田明
同 司令官 ローズ・リーズン
同 看護婦 リンダ・ミラー
某国の諜報部員マダム・ピラニア 浜美枝
そして、天才科学者ドクター・フーに 天野英世
謎めいた科学者を演じたら
天野英世の右にでるものはいません。
後年に演じた、仮面ライダーでの「死神博士」に
つながっていったのでしょう。
このパンフレットで面白かったのは
当映画とは直接関係ありませんが
特技監督を目指し、逸る気持ちを抑えきれず
高校を中退して現場で働きたいという青年の気持ちに答える
円谷英二が書いた「A君への手紙」です。
僕が若い君に期待するのは、テクニックを憶えることよリも、むしろ否定することである。つまり、特殊技術に新しい方法を開拓し、スクリーンに驚異を生み出してほしいことだ。
そのためには、機械も、化学も、物理も、光学も当然必要になって来るだろう。
これから、どんな映画が現れるか、僕には想像もつかない。そうゆう時代に技術者として生きるためには、どうしても幅広い知識がいる。
(中略)
君が、世界一級の特技監督になりたいというのなら、なおさらのこと、豊富な知識がなくてはなるまい。だから、高校はもとより、大学も、できれば大学院までも出てほしいと思うのだ。
円谷英二が、モダンな精神の持ち主だったことが伺えます。
音楽も、言うまでもない
東宝怪獣映画に欠かせない伊福部昭
なお上の写真↑のような三つ巴の格闘シーンは、本編にはありません。(広告写真か?)
予告編もアップされていました
さらに、YouTubeを探っていると
歴代のキングコング(1933-2020)の映像とともにそのサイズを比較している映像がありました。
表情の違い、体つきの違い、そして何よりも動きの違いが一望できる、面白いものになっています。ぜひ、ご覧ください。
キングコングの進化を見てゆくと
先にあげた、円谷英二が手紙の中でいっていることに
頷けますね。
製作 田中友幸
監督 本多猪四郎
特技監督 円谷英二
脚本 馬渕薫
撮影 小泉一
音楽 伊福部昭
1967年公開
ストーリーなど、詳しくは→movie Walker
併映は、『ウルトラマン』
監修・円谷英二、監督・円谷一の特撮親子コンビです。
前年にテレビで放送され、高視聴率を稼いた全39話の中から
4本を劇場映画用に編集したものです。
画像は、パンフレットの裏表紙。
人気怪獣大集合ですね。
(パンフレットの中では6頁割いています)
古いパンフレットでは、広告を見るのも楽しみのひとつ。
時代の雰囲気を色濃く反映しています。
マルサンというメーカーのプラモデルの広告です。
きっと、ギングコングは版権がバカ高く、
苦肉の策として「ジャイアントゴリラ」というネーミングになっているんだろうことが、想像できます。
調べてみると、マルサンはこの翌年倒産しているようでした。
コングの呪いか
最後に、もう一つ面白いこと、
ドクター・フーの手下の一人に
なんと、ウルトラマンのハヤタ隊員(黒部進)が
いるではありませんか。
もしかしたら、キングコング対ウルトラマンなんて
実現したかも!