onLineの古本屋です。懐かしい映画パンフレットを出品に合わせて紹介していきます。
邦画が続きましたので、ここらで洋画へ。
巨匠デヴィッド・リーン、1954年の作品『ホブスンの婿選び』
Tip-top comedy entertainment for all audiences
と書いてあります。
誰もが楽しめるサイコーのコメディ
なんだか、背景の渦が騒動を予感させますね。
原題の”Hobuson's Choice"とは、英語の慣用句で「(選択の余地がありそうに見えながら)えり好みの許されない選択」(goo辞書より)だそうです。
デヴィッド・リーン監督の10本目の作品です。
後に撮る『アラビアのロレンス』『戦場にかける橋』『ドクトル・ジバゴ』といった超大作を連発する前の107分の佳作です。
ところは、イギリス北西部の小都市サルフォード。三人の娘を抱えたやもめ暮しの老いたる靴屋の親爺、娘達の結婚を巡って巻き起こる騒動のコメディ。
ネットで調べたところ、けっこうコアなファンがいるようです。
寄稿文の中に、淀川長治の日曜洋画劇場を彷彿させる名調子の解説がありました。
★「見て驚きました。流石にディヴィッド、リーンだけあって実にいゝですね」
「ぼくはまた”超音ジェット機”のディヴィッド・リーンだから、もっとハイカラなアカ抜けした映画かと思ったのに、古くさい教訓芝居みたいで・・・・・」
★「どこが古くさいのです?」
「どこって云えませんが、とにかくモッサリしたのばかり出てきて色気がなくて・・・・」
★「こんな色気があって、こんなに粋な芝居が、貴方にはそう見えるの」
「粋ですって・・・・・それこそ、どこが?」
★「貴方・・・・・・おいくつ」
「何がです」
★「貴方のお年はいくつ?」
「いやですネ、あらたまって・・・・・二十三ですョ」
★「なるほど、二十三才の青二才では解らない」
「失礼ですネ、そんな云い方」
★「貴方、芝居や落語や講談や、そんなものをあんまり見たり聞いたりしないでしょう。もしも貴方はせめて、あの有名な”芝浜の革財布”という落語講談でも聞いていてくれると、この映画の味が解るのですが・・・・・・」
「だから、けっきよく古めかしいのでしょう」
★「古いとか新しいとか云う問題じやありませんよ。人情ばなしの魅力ですよ。人情ばなしの嬉しさなんて貴方には未だ解らない。せいぜい”終着駅”とか”愛の泉”の主題歌とか・・・・・・・そんなのがいゝのでしょう。可哀想みたい」
英国の”芝浜”のような味だって!
未見なボクにとって、居ても立ってもいられない気分にさせてくれます。
さらに解説は続き、江戸川柳や川口松太郎も登場、最後に「とにかくイギリスという国は嬉しいじやありませんか、ちやんと江戸小ばなしの味をもつているんですからねェ」
観た〜い。
ワンシーンがupされていました。
※尚、デヴィッド・リーン監督の表記は、パンフレットの中でも「デーヴィッド」「デヴィッド」「デヴイッド」「ディヴィッド」等、バラバラでした。
監督 デヴィッド・リーン
脚色 デヴィッド・リーン、 ノーマン・スペンサー、 ウィンヤード・ブラウン
制作 1954年
パンフレット制作 新世界出版社
あらすじなど、詳しくは→Movie Walker
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ホブスンの婿選び [DVD]
5,076円
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古いパンフレットを見る楽しみのひとつに、当時の広告があります。
眼鏡店の広告が2点。期せずして、同じアメリカAOC自動検眼機が売りです。
近未来です、ね。