(1)氷解する人口
【 上半期/出生数の推移】
人口の減少が下げ止まらない。厚労省の速報値によると今年上期(1〜6月)の出生数は33万9280人だった。前年同月比では3.1%の減少であり、これで4年連続して40万人を下回ったことになる。一方、出生数から死亡数を差し引いた自然増減はマイナス49万7538人。年間なら出生数65万人、自然増減(人口)はマイナス100万人といったところか。
出生数が100万人を割ったのは2016年のことだ。それがどうだ。僅か9年で3割(30万人)以上も減らしたことになる。しかもまだ序章に過ぎない。出生率が改善しない限り延々と続いてゆく。これが如何に恐ろしいことか。昨年の(合計特殊)出生率(1.15)を維持してさえ2034年に45万人、2043年には30万人まで縮小してしまうのだ。これが東京並み(0.98)になったとしよう。すると今世紀末にも縄文時代の出生数(年間5〜6万人)が現実味を帯びる。これでは国家としての体をなすまい。
(2)命と暮らしが守れない
するとこうした過程では何が起きるだろうか。労力の枯渇は産業の崩壊を意味する。一次産業は壊滅。サービス業も機能不全に。製造業だって例外ではない。『AIが救う』も人材がいての話だ。IT技術者が不在では夢幻の世界でしかない。取り分け厳しいのは”公職“であろう。それも警察、消防、そして自衛隊といった国民の命と暮らしを守る分野である。
この先、激減する若者を巡って官民入り乱れての争奪戦が始まる。だが財力に大きな隔たりがあることから官が民に勝てる道理はない。その民間とて人材の枯渇は目を覆うばかり。頼りは外国人だが、ここにも大きな壁が立ちはだかる。最早、日本が絶対的有利な立場にはない。個人所得(給与水準)でも中国(都市部)や韓国に抜かれ、ASIAN諸国にさえ猛追される現実。IT技術者なら日本人の倍近い報酬を支払わねばならない。インド人を雇おうとすれば年収1千万円以上でないと来てくれないのだ。いずれは全分野で同様な事態に直面するだろう。
秘策がないわけではない。海外戦略に長けた企業なら世界各地に生産(販売)拠点を有する。こうした現地採用の従業員を研修名目で迎え入れることだ。一部とはいえ既に多くの業種で実践しており、これなら移民に懐疑的な面々であれ納得せざるを得ないのではなかろうか。
(a)過去10年間の国籍取得者の推移

(b)日本人の海外移住者の推移
❋(上表の如く我が国の帰化(国籍取得)認可数は年間1000人にも満たない。1億2千万の人口からすれば無いに等しい。それも元より国内に居を構える在日か傑出した実績を残すスポーツ選手を除き日本人と結婚でもしない限りは絶望的な数値なのだ。反面、日本人の海外流出(移住)は増えるばかり。移民に異を唱えるなら、外国人だけでなく、この国を出て行く日本人にも目を向けて欲しいものだ。最早、移民は外国人の流入だけではない。日本人の流出だって国の存亡に関わる一大事なのだから)
その移民に関してだが我々日本人は大きな勘違いをしている。移民の定義は多く国籍取得である。なのに日本にはそれがない。諸外国と比べても突出して少ない。不足する労働力を補完する一時的な手段であり、あくまで出稼ぎに過ぎないのだ。だから景気次第では追われる立場にある。バブル当時を思い出して頂きたい。南米だけではない。イランや中国といったアジア民族が多数を占めていた。今現在、これらがどれだけ残っているだろうか。二重国籍を有する日系人を除けばその殆どが帰国していることからも一目瞭然であろう。
諸外国では不法入国が社会問題化しているのは紛れもない事実だ。違法滞在では真っ当な職に就くことさえ出来ない。仕方なく犯罪に走る。だが圧倒的多数は帰化民族であり国家の根幹を担う側として欠かせざる存在になっていることも忘れてはならない。国籍を取得した以上は一定の義務を負う。だから、軍隊であれ本を正せば外国人ばかりであり、いわば他国籍軍そのものなのである。

日本の場合は違う。出稼ぎ(就労)が200万人になったところで公職にだけは就けない。このままだと、あと10年もすれば事故や病気、犯罪にさえ対応出来ない社会が到来する。自衛隊などは最たるもので隊員不足は如何ともし難い。有事の際、米軍が守ってくれる保証もない。某国と日本を天秤にかけて手を引く可能性だってあるだろう。台湾海峡や延坪島砲撃事件でさえ傍観を決め込んだように。ならば考えられる手段はただ一つ。猿の惑星の最終章が刻一刻と迫っている。
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(おまけ)
『シーザ様も御決断を』

「シーザって誰かいな?」
「シンジロウくん、サナエちゃん、それとも・・」
「・・・・😩」