自民党総裁は高市早苗に決まった。対抗馬はステマ騒動もあってか大失速。紆余曲折はあったものの日本初の女性宰相誕生は(野党が統一候補を擁立しない限り)ほぼ確実な状況にある。今や女性の社会進出目覚ましい。アジアでさえ、中国や北朝鮮などを除き、女性の大統領や首相が当たり前になっている時代だ。日本もやっと、こうした国々に並んだ、ということか。
ところで、あの『ステマ』騒動は何だったのだろう。もしや、どの陣営でも行っているので批判出来なかった、なんてことはないのだろうか。他の(記事の)コメント欄であれ、国民に最も人気のある○○さんが選ばれないのはおかしい。○○でなければ自民党は終わる。●●では日本が持たない。日本を変えるのは○○さんしかいない。●●になったらもう自民党には投票しない、、、といった書き込みばかりなのだ。それも一字一句の違いもなく。これとて『ステマ』かと勘ぐってしまうのだが。
極め付きは石破路線継承を唱える候補者に対する揶揄であろう。●●は親中派だから信頼出来ない、、といった内容のことだ。一年前を思い出して頂きたい。○○に入る名前は石破讃歌一色であった。国民に最も人気のある石破さんが選ばれないのはおかしい。石破さんでなければ自民党は終わる、といった瓜二つの文言で溢れていたのである。
不可解なのは外国人問題に関しする認識だって然り。現在、複数の政党が外国人排斥を掲げて支持を集めてはいるものの、その立ち位置はかなり違う。選挙が終えるや、『(外国人就労は(総人口の)1割まで容認』に豹変して反発を招いているように、どこまで本音で語っているやら。総人口の1割は1200万人。就労で今現在の約4倍、帰化が前提なら数千倍にも相当するが。
そもそも右派政党の支持者には中小企業の経営者が多い。昔は社会党や共産党系だったものの失われた30年を経て様変わりしてしまった。参政党の元共同代表とてプラスチック製品を作る200人規模の経営者である。従業員に外国人がいるか否かはともかく同業他社では50%を超えることさえ珍しくない。だからこそ、その現実は誰よりも理解しているのではなかろうか。
また高市早苗に戻るが、これまでの総理の中でも比較的苦労人であり、それだけ庶民派であろうことは推察できる。だがこちらも、どこまで本音で語っているのだろう。
先ずは夫婦別姓に関してだが彼女の配偶者は同じ自民党の山本拓議員である。なのに山本早苗ではない。高市拓でもない。戸籍上は高市家に属するとはいえ、お互い実名で活動しているのだ。ならばどうして・・。選挙を意識して別姓反対を唱えてはいるものの本心は賛成なのではなかろうか。
【復活するアベノミクスの概要】
❋〈第三の矢で『訪日(観光や就労)客の拡大』を謳っているところに注目して頂きたい〉
外国人政策でもそうだ。言うまでもなく彼女は自民党・安倍派に属していた。安倍政権のアベノミクスは大胆な金融政策、機動的な財政出動だけではない。観光立国であり、そして外国人(就労)受け入れの拡大であった。外国人観光客は3千万人(後に6千万人)、外国人就労では安倍総理自らがポスターの表紙を飾り大体的に「日本で働きませんか」と呼び掛けていた。当時の総務大臣は高市早苗であり外国人受け入れ拡大の重責を担っていたのである。なのにどうして。
こうは書いたが高市“首相”を否定するつもりはない。組織に埋もれてしまっては何も出来ない。操り人形なら尚のことだ。せめて初心だけは貫き通して欲しい。迎合して自分自身に嘘を付かないで欲しい。そして本音で語って欲しい。国民はそれを期待して支持したのだから。
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【嘘つきは国会議員の始まり】
本音を出さないのは政治家だけではない。 ジャーナリストだって同じだ。リベラル派と称される者は、現体制に否定的な記事を書き、辛辣な発言を繰り返す。だが驚くことも多い。リベラル=自由=革新=反体制かと思いきや、そうでもない。国政選挙があるや一夜にして体制派(自民党)の議員になっているではないか。それも一人や二人ではない。昨日までの、あの辛口は何だったのか。
結局は、彼(女)らもサラリーマンであり、タレントあることに気付かされる。フリーであれ食わねばならない。新聞社には社の、TV局には局の考えがある。記者もコメンテーターも社(局)の方針には従わねばならない。記事の方向性は事前に指示され、綿密な打ち合わせに基づき発言内容までが決められてゆく。
そう、彼らとて自由に書き、自由に発信しているわけではない。筋書き通りに演じる役者であり、社(局)の考え方を代弁している下働きに過ぎないのだ。真偽は、報道(情報)の中にあらず、といったところか。
因みに、安倍元総理の実父(安倍晋太郎)もそうだった。大学を卒業して毎日新聞に入社。政治部記者として政権を批判しつつも、1958年に自民党から衆院選へ立候補して初当選。彼の場合、衆議院議員の安倍寛の長男であり、岳父に内閣総理大臣の岸信介、義理の叔父は内閣総理大臣の佐藤栄作といった家系から当然の流れではあるが。
《参考》
(政治部記者から政界に転身した主な人物)
安倍晋太郎(毎日新聞)緒方竹虎(朝日新聞)小坂徳三郎(朝日新聞)鈴木恒夫(毎日新聞)竹内黎一(毎日新聞)野田武夫(朝日新聞)羽田武嗣郎(朝日新聞)藤井丙午(朝日新聞)細川隆元(朝日新聞)
重責を担った者だけでもこれだけいるが、その殆どは自民党衆院議員である。果たして、どんな心境で(政権批判を)述べ、書いていたのだろう。本音は絶対に明かしてはならない世界。やはり『嘘つきは国会議員の始まり』なのだろうか。