初任給の底上げが凄まじい。あくまで大企業であり一部の職種に限定されるとはいえ30万円は疎か40万円台さえ登場している。外国人(主にインド系のIT技術者)に至っては70万円が相場になりつつあるとか。つい数年前までは20万円を僅かに超える程度だったはずだが。如何に人手不足とはいえ、これで大丈夫なのだろうか。永年勤続の中堅社員にしわ寄せが及ぶことはないのだろうか。あの日産やパナソニックですら大規模なリストラの真っ只中にあるというのに。


〈参考〉


(画像はネットから借用)


 こうした中、日本では今、定年延長のみならず終身雇用の是非までが論議され始めている。終身雇用は長年、経営家族主義の下、年功序列と共に労使関係の根幹であった。しかしどこか違う。従業員の生涯保証でなく、あくまで少子高齢化に伴う人手不足対策であり、とりわけ枯渇する国庫財源の確保にあるからだ。言わば国民の老後を自己責任で完結させるための『在宅“姥捨山”計画』のようでもある。
 
 〈高齢者人口の推移〉
 (厚労省データより)

【最多層たる団塊の世代も70代の後半に達した。自活を求められた場合、果たして何歳まで働けるだろうか】

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 昭和から平成にかけては職場の多くが55歳定年であった。1986年の法改正により60歳定年が企業への努力義務に、1994年からは60歳未満定年制が禁止事項となり初めて60歳定年が一般化した。そして現在は、一部の企業や公務員を除き大方65歳ではあるが、この数年にも70歳を努力義務にすべく法改正の動きにある。

 定年が55才だった当時(昭和末期)を覚えているだろうか。50才なら、かなりの爺様に見えたものだ。リタイア間近だけあって、どう足掻いてもナイスミドルではない。孫を膝に乗せて日なたぼっこが似合いそうな老人ばかりだった。今なら福山雅治(56歳)や木村拓哉(52歳)の年代である。全体が若返ったのか、若い(元気な)ふりをしていないと取り残されてしまうのか、どちらだろうか。後者のような気がしないでもないが・・。

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 戻って、、この生涯現役(終身雇用)とて誰もが可能なわけではない。知力に体力と年齢と共に衰えてゆくもの。死ぬまで働くにも、それまでは絶対に雇ってくれない。この先、加速度的に進む少子化は、年金制度の崩壊を不可避なものにする。住宅余りの時代にあっては不動産の資産価値だって喪失するだろう。無一文が明日は我が身の悲しき現実。約3割(3人に1人)が90歳に到達する高齢化社会にあって『働かざる者食うべからず』は若者だけではない。高齢者にも刻一刻と迫っている。

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《余談》

〈米は『買ったことない』で名を馳せた?農水相〉
(画像はネットNHKから借用)

 江藤拓(前)農水大臣の発言が物議を醸している。なんと、「コメは買ったことはありません、正直言って。支援者の方々がたくさんコメをくださるので、まさに売るほどあります」と来たから始末が悪い。価格高騰から国民の多くが苦しんでいる中にあってのこの発言。庶民感覚から掛け離れた先生様の思考には、羨ましい、、いや呆れるしかない。後任の“セクシー”進次郎くんは大丈夫だろうか。

 かつてこんなことがあった。近所に住む小学校教師の自慢話は貰い物のことばかり。なんと「父兄からの付け届けでいつも押し入れが一杯」なんだとか。中元や歳暮の時期の朝礼では「○○君、今年も○○を有り難う」で始まることから当然といえば当然なのだが、でもこれってどうなのだろう。公務に携わっている以上、紛れもなく収賄ではないのだろうか。農水相の発言も含めて情けない話題ではあるが。

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【働かザルもの食うべからず」

 「ならば、オラたちは、お手上げだわな」