増え続ける認知症が大問題に
《とはいっても一般社会でなく塀の中のことだが》
〈高齢受刑者の認知症問題を報じる新聞〉
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高齢者犯罪が後を絶たない。年齢も上がるばかりだ。法務省の犯罪白書(令和6年版)によると、昨年(令和5年)の高齢受刑者は2,009人に達し、この10年だけでも約1.5倍になっている。70歳以上は更に深刻で同年と比べて約2.6倍であった。他の年齢層の多くが減少傾向にあることから高齢者犯罪の突出ぶりが際立っていることが分かる。
こうした中、法務省は全国の主要刑務所に入所する60歳以上を対象に認知症のスクリーニング検査を実施。結果は検査した930人の14%に当たる128人に認知症の疑いがあったという。18年は12%であったことから一段と悪化している様子が見て取れる。
また、新たに入所する65歳以上の高齢受刑者も増えるばかりで、2020年には全体の13%に達した。この10年でも約5%の増加である。一般的には65歳以上の16%が認知症とされ、これは高齢受刑者でもあまり差はない。だが刑務所は違う。深刻な問題を抱えることになるのだ。
刑務所は更生の館だ。社会復帰を促す場でもある。それが受刑者の高齢化著しくては社会復帰どころではない。認知症が進行する。徘徊が始まる。看守は老人介護に追われる。これでは誰もが「自分は何のために刑務官になったんだ」と嘆くのではなかろうか。
警察庁によると、高齢者犯罪の最多は万引きで全体の40.2%を占めるが、それだけではない。 暴行が全体の16.1%、殺人18.3%、脅迫18.4%、横領17.9%と、いずれも高い数値を示している。 これまでなら、万引きは「青少年」、窃盗団は「外国人」のイメージだったが、それも今は昔になってしまった。軽犯罪は圧倒的に高齢者であり、凶悪事件であっても、その頂点に高齢者が君臨していることさえ珍しくない。犯罪の温床になっていると見られがちな外国人であれ(犯罪率は)日本人平均より低いのだ。これでは先が思いやられる。この国は一体どうなってしまうのだろうか。
最早、犯罪に関する限りは、「青少年」だの「外国人」だのと言っている場合ではない。このままなら、この国は、老人の老人による老人だけの犯罪天国になってしまうだろう。そして刑務所の中で最期を迎える。刑務所が終の棲家になるのだ。看守とて心中穏やかではあるまい。
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片や、この国で高齢者の置かれた状況は厳しくなるばかり。80や90代でさえ介護を受けたくとも直ぐに叶うものではない。デイサービスや巡回入浴なら利用可能でも、こと入所となると不可能に近い。富裕層御用達の施設を除けば余程の裏ワザでも使わない限り5年から10年待ちは当たり前なのだ。しかも、加速する人手不足もあって、この先は更に難しくなるだろう。これでは存命中に入れるかどうか。
ヤングケアラーが話題になるが、これはまだいい。子供(主に孫)が担えば親が働けることから最低限の収入だけは確保できる。だが子供のいない家庭は悲惨でしかない。介護をするには退職しかないのだ。それも若くしての退職ならどうなることやら。収入はない。(本人の)年金もない。頼りは年老いた親の老齢年金だけ。事と次第によっては、こうした生活が、5年、10年、20年と続いてゆく。
このところ医療従事者を狙った事件が相次いでいる。被介護者の死は収入の途絶を意味する。これが背景か否かはともかく医療従事者を恨むなど筋違いも甚だしい。言語道断であろう。もし、そうだとしても生活保護を申請するなど、いくらでも方法はあるだろうに。いや、それが出来ないから凶行に走るのだろうか。そして誰もが年老いてゆく。
何れにせよ八方塞がりにある日本の高齢者福祉。親は看られない、我が子には頼れない、その前に結婚すら出来ない。だから子供はいない。こうした状況が延々と続く。親世代からしても我が子の将来を犠牲にするのは忍びない。だったらどうしよう。そうだ、あの手があるではないか。
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【こうして刑務所は認知症高齢者で満員札止めに】
「お隣の爺さま、やっと捕まったそうじゃ」
「だったら、もう老後は安心じゃのう」
「んん??🙄」
《なーんて時代になりつつあるのかも知れない》
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